なんだか半分くらいは騙された様な気になりながら観てたんですけどね…ところが観終わってみると結構根源的なね、そんな問いかけをされた作品でした。
【大枠でネタバレ有ります】
まずこんなことが提示されます…モスクワに都市伝説があると。「ライカは霊として地球に戻り、彼女の子孫たちと共に街角をさまよっている」今も殺伐とした環境を生きるモスクワの野良犬を表した伝説ですね。
初めて宇宙に行った動物がソ連の犬ライカなんですよ。正確には軌道飛行ですよね、無重力で軌道を何周かしたそうです。ゆくゆくはガガーリンの為の準備で、生体にどんな影響があるかデータを取るわけですから、船内ではカメラを回してですね…ビデオでしょうね、データ送信されて残っていまして、実はこの映画の中でも無重力状態の中ライカが瞬きしてる映像が使われてます。当初から帰還させる計画ではなかったので10日程で息絶えるのではと思われていたんですが、ロケットのトラブルもあって高温のため1.2日しか持たなかったと言う事です。でもホントのこと言うと5〜7時間で事切れていた…との説もありますね。
で、このライカをどうやって調達したかと言う話でもあるんですが…兎に角強い犬を探そうと言う事で。では強い犬はどこに居るかと言うと、モスクワの街中にいる野良犬が一番生命力が強いだろうと。で、10匹ほど候補に捕らえて訓練したそうです。その中の一匹が主役のライカなんですね。
つまり野良犬ですよ…雑種なので、犬種がライカ犬ではなく名前がライカなんですね。宇宙競争の最中ですから、ソ連にもいろいろ思惑あっての名付けでしょうか。
でこの映画の画は、もうほぼ現在のモスクワの野良犬の生態を撮っているだけなんですね。
後は、当時の宇宙犬の資料映像。訓練だったり、センサーを体内に埋め込む手術だったり、実際の飛行中のカプセル内映像だったり。
それと冒頭に少しある、船内からの犬主観の宇宙のイメージ的映像。(これめちゃくちゃイイです)
それらの構成なんですね。それでもこの作品が強烈なメッセージ性を持っているのは、冒頭の都市伝説の提示があるからなんですね。スゴイ!
そして我々は、「人類の進歩と、調和」と言うフレーズを思い出して考えてしまうわけです。
宇宙好きの方是非ともオススメ。