7時間18分!
見てきました。もう完全に体験してきましたと言った方が正しい表現。
2012年、これで引退と自ら公言している作品「ニーチェの馬」を観て、後ろから頭を木の棍棒で殴られた様な衝撃を受けて以来待っていた作品です。
その「ニーチェの馬」の前に、「倫敦から来た男」という作品がありました。これで長回しの虜になりました。長回しのシーンに写し出されるスクリーンの隅々までを“探索する”というワクワクを知ったんですね。
今作その積み重ねが7時間18分あるわけですよ。正直長いですよ、そら。
でもね、気付くと背筋がぞっとするような体験があるんですよ。
同じ場面を観点を変えてオーバーラップして描かれているところがある(この意図も観れば解る事になると思います)んですね。するとある時これをフックに、別のとあるシーンの冗長なまでの時間の意図を納得させられて、背筋が凍るんですよ‼︎
これはホントにすごい体験でした。
そんなことも踏まえると、この作品7時間18分もある上にインターミッションが2回としても、一気に見ないとダメなんですね、構成上も。
タル・ベーラの作品に関しては自分の中に沢山の驚きを発見させられるんですが…恐れ多くてあまり語れないです。個人的な体験であるような気もして。でもそうさせる所が作品の哲学性なんでしょうね。
「ニーチェの馬」は2012年公開。震災のすぐ後という事もあって色んなことが去来した作品でした。
「サタンタンゴ」はこの後、そんな集大成「ニーチェの馬」に結実していくという作品でもあります。
タル・ベーラ監督のインタビューでの印象的な言葉があったので添付します。

「私のボキャブラリーの中では、「ストーリー」という言葉は、アメリカ映画の言語における「ストーリー」と同じものを意味しません。人間の物語、自然の物語、すべての種類の物語があるのです。」
「映画を完全に物語によって記述することができるなら、私は映画を作りたいと思わないでしょう。」