いやはや、先週のラッセル地獄は殊の外身体的ダメージを与えたようで、帰宅後の晩酌では…クラシックを二本空ける前に「寝落ち」してしまい、翌朝半分以上残っていたクラシックを、つい寝起きに飲んでしまった…「頑なにクラシックを愛し続ける…登山家」のもじょでごさいまする。
しかし、先週の大雪のアト、有り得ない事に二桁近くまで気温が上昇する小春日和が続き、「一体、山はどんな雪質になっておるのだ?」と心配していたのだが、流石に…拙者の股ラッセルのトレースは消えてはいないだろうから、そこへ繋がる新しいルート開拓を考えてみた。
先々週、「ネオパラ尾根」上で見掛けた…「永峰沢」側から上がってきた蝦夷鹿トレースは、一体何処から取り付いたのだろうか?
「ネオパラ尾根」の南側は、地形図でも解るように…「崖垂」と呼ばれる垂直に近い崩落崖が続く崖表記が連なっているし、それ以外の場所も等高線が密になっていて、一見すると…とても登れそうには見えないのだ。
一昨年、その崖垂に続く枝尾根に偵察に入った事があったが、立ち木の隙間からは迫力満点の崖垂が覗いていて、登攀技術や装具が無いと太刀打ち出来そうには見えなかった。
しかし、先々週「ネオパラ尾根」で見掛けた蝦夷鹿トレースは、明らかに…その斜面から続いていたノダ。
という事は、きっと…拙者の知らない、蝦夷鹿だけが知っている登坂可能な場所があるという事ナノだろう。
こ~ゆ~事が気になりだしたら、自分自身の目で確かめずにはいられない…悲しい性を背負った人生を歩んできた。
確かめに行くしか無いだろう。
ちゅうか、鹿トレース目的に雪山行く奴が何処に居るノダ?
もう、マニアック過ぎて、自分自身でも収拾がつかなくなっておるノダ(トホホ…)。
少し寝坊して遅めの出発になったが、今回は「ネオパラ尾根新ルート探索」と共に、もう一つの目的があった。
拙者は、TVの札幌の街ブラ(歩き)企画が大好きで、各局の番組をチェックしては、美味そうな飲食店はないか?と探しておるのだ。
現在放映中では…
●HBC「今日ドキッ」の毎週火曜日の「たくアキのぶらリサーチ」
●HTB「イチオシ」の毎週月曜日の「しあわせ散歩」
●UHB「みんなのテレビ」毎週水曜日の「明るい散歩」
●UHB、「タカトシランド」毎週金曜日19:00~
…などがあり、欠かさずチェックしている。
その中の「しあわせ散歩」は、お笑いコンビ「オクラホマ」の「河野君」と、超天然キャラHTB局アナ「土屋まり」二人が、街中で出会った人々から願い事を集めると称して、飯屋巡りをするという内容だ。
特筆すべきは、土屋まりアナの大ボケっぷりだ。
そこに、河野君の鋭いツッコミが入るのだが、「オクラホマ」の漫才の何倍も面白い。
その「しあわせ散歩」で、西区西野にある…しめ鯖専門店「北海〆鯖」を取材していたのを今週見たノダ。
この店は、一昨年の夏ぐらいから「手稲山」に行く途中のバス中から発見して、気になっていたのだが、「食べログ」で調べると…営業時間が15時で終わってしまって、山から下りてきて帰路に立ち寄るという事が出来そうに無かったので、諦めていたノダ。
しかし、今…季節は冬だ。真冬だ。厳冬期だ。
この時期ならば、入山前に立ち寄って購入して、ザックに入れて半日持ち歩いても腐敗はしない筈だ。…という鋭い作戦を思い付いた。
JRバス「西野二股」下車、徒歩10秒で「北海〆鯖」に到着。
中に入ると、持ち帰り専門店のようで、先客が三組居た。
ショーケースには、殆ど商品は無く…TVの影響で、早くも売り切れたらしい。
棒寿司やサバガリ巻きなんかは売り切れており、〆鯖だけの販売になるようだった。
順番を待って、2000円(半身×2パック」の〆鯖と、鯖をマヨネーズで和えた「サバマヨ」を購入し、再びバスに揺られて「平和の滝入口」に向かう(早く山に登れョ)。
「平和の滝入口」からは、「発寒川」を渡り、いつもの宅地造成地に向かう。
林道跡に到着すると…我が目を疑う光景が広がった。
なんと、林道跡には笹が出まくっておるのだ。
イヤイヤイヤイヤ、先週「ネオパラ尾根」にあった1m半の積雪は何処に行ったのだ?
此方側には降雪は無かったのか?
まさか、あの小春日和のせいで、先週の積雪はみんな溶けちゃったのかぁ?
訝しみながらも装具を整え、宅地造成地へ上がる。
雪質は見事な「最中雪」だ。
スノーシューのテールを引きずると、ガリガリとウルサい。
そこに、山スキーと思われるトレースがうっすらと残っている。
林道跡には、笹だけで無くススキまでが露出している。
つまり、降雪自体が無かったって事か…。
宅地造成地に到着すると、そこもススキが至る所に出ている。
何度もイグルーを作った場所だったが、今年の積雪量は20cmも無いかも知れない。
宅地造成地から右手の尾根に向かうが、そこも笹だらけでルーファイに苦労する。
笹原だから、至る所に落とし穴のような隙間があり、5歩に1歩は股までズボった。
これは…先週とは違う意味で、厳しい勝負になりそうだぞぉ(全然嬉しそうじゃない)。
それに、この…最中雪だ(さいちゅう、じゃ無いョ)。
「最中雪」というのは、雪面が日照や風雨で溶け堅く氷化する事だが、最中というぐらいだから、最中の皮のように薄い筈だが、今日の最中の皮は5cm程もある。
こんなのは、最中とは言わんっ。
どら焼きの皮だって、もう少し薄い(それに柔らかい)。
ブルジョアな上流階級の家の、カステラよりも…ぶ厚い(全然フワフワしてない)。
むしろ、喫茶店で出てくるハニートースト並みの厚さだっ(何のハナシをしとんねんっ?)。
ぶつぶつ文句を言いながら、高度を上げると…一昨年、尻ボでダブルコーク1440(だったけ?)をやろうとして失敗したコル(鞍部)に辿り着いた。
うーん、何気に…この場所は好きだなぁ。
雨に浸食された源頭地形に挟まれた鞍部には、ミズナラやアオダモの大木が残っていて、灌木も少なく素敵な地形が広がっている。
見上げる斜面には、灌木の隙間から崖垂の赤茶けた岩肌が見え、一見して一筋縄ではいかなさそうに見える。
しかし、雪面には幾つもの蝦夷鹿トレースが刻まれていて、その何本かは確実に、崖垂に向かっている。
一服してから、スノーシューのヒール・リフターを上げて、尾根上に続く蝦夷鹿トレースを辿って行く。
徐々に崖垂が近付いて来る。
ギリギリ直下まで接近して、崖垂を観察する。
崖垂には、所々に立ち木もあり、垂直に近い割には手掛かりは多そうだ。
左寄りのルンゼ(岩溝)なら、足場も手掛かりも揃っていそうだ。
高度差は30m程だが、ルンゼの上にはテラスもありそうだし…と、アタマの中で登攀ルートを無意識にシュミレーションしてしまう。
いやいや、待て待て。
ここはクライミングが出来る沢登りのギアや靴があればやれない岩では無いが、今日は足元はスノーシューとスノーブーツだ。
自己確保のロープもギアも持って無い。
そもそも、蝦夷鹿君は…こんな所は登れんだろ。
今日の目的は、蝦夷鹿君でも攀じれるルートの確認だろ?
何をやる気になっておるのだ?と己に言い聞かせる。
冷静になって、周囲を観察する。
右手な崖垂が続いていて、弱点は無さそうだ。
左手には崖垂下に立ち木の生えた斜面が続き、崖垂が崩落して途切れていそうな雰囲気もある。
ここは、左手を探ってみよう。
崖垂下には、落雪したらしいデブリ状のスノーボールが沢山落ちていて、余り良い気持ちはしないが、崖垂には落ちてきそうな雪塊は無く、慎重にステップを作りながらトラバースして行く。
すると、案の定…崖垂の切れ目があり、かなりな斜度だが攀じれなくもなさそうな場所を見つけた。
最近の蝦夷鹿トレースは見当たらないが、攀じるなら此処しか無い。
大きくジグを切りながら、斜面を詰めると…見覚えある場所に出た。
ちょうど、先週…昼飯を食った場所の近くの「ネオパラ尾根」に乗れたようだ。
うーん、流石…蝦夷鹿君だ。
こんなルートがあったなんて、完全に盲点だったな。
拙者が拓いた「ネオパラ尾根」末端ルートが、唯一のアプローチかと思ったら、こんな場所もあったのか。
むしろ、距離的には…此方の方が短く、労力も少ないかも知れない。
但し、藪が隠れるほどの積雪量があれば…のハナシだが。
せっかく「ネオパラ尾根」に乗ったので、更に尾根を詰めてみよう。
高度が上がって最中雪は解消し、春の締まり雪みたいな堅い雪面に今朝方降った新雪が乗っていて、大変歩き易い。
灌木地帯を進んで行くと、尾根の北寄りには古い山スキーのトレースが残っていた。
確か…この辺りだったかな?
昨年、イグルー泊をしたのは。
しかし、小春日和のせいか…積雪は1mも無さそうだ。
暫く進むと、我が天敵…スノーモービルの深いトレースが残っていた。
こんな積雪量の少ない里山に、モービルなんかで来るんじゃねぇよ!(チコちゃん風に)
興を削がれて、それ以上進む気持ちが失せたので、先週ランチをした場所まで戻って、遅めの昼食にする事にする。
崖垂に沿って下降しながら地形を観察する。
落差40m以上の崖垂が続いているが、所々…崖垂が崩落した場所もある。
斜度はキツいが、空身ならやれそうな場所もある。
同じような平坦面溶岩が作った「永峰尾根」には、崖垂の切れ間は2箇所しか無いが(その内の一つが夏道ルート)、「ネオパラ尾根」には幾つか弱点はありそうだ。
先週のランチ場所を探すが、なかなか見つからない。
確か…この辺りだった筈だが、それらしい跡は見えないし、膝上ラッセルで作った自分のトレースも見当たらない。
うむむむ…ど~ゆ~事だ?
やっと、それらしい場所を見つけたが…何という事だ、あんなに深く掘った椅子も、膝上ラッセルの痕跡も殆ど消えかかっておるではないかっ。
やはり、あの…3日続いた小春日和のせいで、トレースが消えてしまったノダ。
南風が吹いていたので、見晴らしの良い側にスノーブロックを積む事にした。
スノーソウで切り出したブロックは、とんでもない重さになっていた。
暖かさと重力によって圧雪された雪は、昨年3月のイグルー泊の時よりも更に重くなっていた。
こんな雪質じゃ、今シーズンのイグルー建設は無理かも知れないな。
ランチは、「北海〆鯖」で買ってきた〆鯖と、スーパーの焼き鳥(塩)、コンビニの「助六寿司」と「永谷園の松茸のお吸い物」である。
勿論、アレもある。
冷え冷えの焼き鳥は、バーナーの火で炙って温める。
浅く〆た鯖は、腹身の脂がコリコリして抜群に美味かった。
こりゃあ、クラシックが進むわい。
のんびり1時間休憩して、下山にかかる。
今日は忘れモノも無いから、上がってきたルートを下りる必要は無い。
しかし、先週のラッセル跡が気になったので、先週作った自分のトレースをなぞって下降してみる。
すると、ものの見事に…我が苦闘の痕跡は、消えかかっていた。
嗚呼、先週の…あの拷問のようなラッセルは一体何だったノダ?
自然の為す事とは云え、人間の業(わざ)など、なんと儚く脆いものなのだろうか…。
嘗て道内中に縦横に張り巡らされた伐採用作業林道ですら、半世紀も待たず自然復元してしまうノダ。
雪面に刻んだトレースなんぞ、瞬く間に消え行く運命(さだめ)なのだ。
しかしながら、それ故に…雪山もラッセルも楽しいのかも知れない。
高度を下げて行くと、台地に乗る枝尾根上に付けた我がトレースの上に、無数の蝦夷鹿の足跡が残っていた。
このー、ラッセル泥棒めっ。
ジビエ料理にして、美味しく召し上がっちゃうぞぉ、コンニャロー!
…と悪態をついてみたが、内心は少し嬉しい…もじょなのでしたぁ(今日のワンコ風に)。
おわり。
【写真1】先週の大雪は何処へ行ったノダ?
【写真2】崖垂直下から見上げると(やる気になるんじゃないのっ)
【写真3】北海〆鯖はオススメ








