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いやはや、先週のラッセル地獄は殊の外身体的ダメージを与えたようで、帰宅後の晩酌では…クラシックを二本空ける前に「寝落ち」してしまい、翌朝半分以上残っていたクラシックを、つい寝起きに飲んでしまった…「頑なにクラシックを愛し続ける…登山家」のもじょでごさいまする。

しかし、先週の大雪のアト、有り得ない事に二桁近くまで気温が上昇する小春日和が続き、「一体、山はどんな雪質になっておるのだ?」と心配していたのだが、流石に…拙者の股ラッセルのトレースは消えてはいないだろうから、そこへ繋がる新しいルート開拓を考えてみた。

先々週、「ネオパラ尾根」上で見掛けた…「永峰沢」側から上がってきた蝦夷鹿トレースは、一体何処から取り付いたのだろうか?
「ネオパラ尾根」の南側は、地形図でも解るように…「崖垂」と呼ばれる垂直に近い崩落崖が続く崖表記が連なっているし、それ以外の場所も等高線が密になっていて、一見すると…とても登れそうには見えないのだ。
一昨年、その崖垂に続く枝尾根に偵察に入った事があったが、立ち木の隙間からは迫力満点の崖垂が覗いていて、登攀技術や装具が無いと太刀打ち出来そうには見えなかった。
しかし、先々週「ネオパラ尾根」で見掛けた蝦夷鹿トレースは、明らかに…その斜面から続いていたノダ。
という事は、きっと…拙者の知らない、蝦夷鹿だけが知っている登坂可能な場所があるという事ナノだろう。
こ~ゆ~事が気になりだしたら、自分自身の目で確かめずにはいられない…悲しい性を背負った人生を歩んできた。
確かめに行くしか無いだろう。
ちゅうか、鹿トレース目的に雪山行く奴が何処に居るノダ?
もう、マニアック過ぎて、自分自身でも収拾がつかなくなっておるノダ(トホホ…)。

少し寝坊して遅めの出発になったが、今回は「ネオパラ尾根新ルート探索」と共に、もう一つの目的があった。
拙者は、TVの札幌の街ブラ(歩き)企画が大好きで、各局の番組をチェックしては、美味そうな飲食店はないか?と探しておるのだ。
現在放映中では…

●HBC「今日ドキッ」の毎週火曜日の「たくアキのぶらリサーチ」
●HTB「イチオシ」の毎週月曜日の「しあわせ散歩」
●UHB「みんなのテレビ」毎週水曜日の「明るい散歩」
●UHB、「タカトシランド」毎週金曜日19:00~

…などがあり、欠かさずチェックしている。

その中の「しあわせ散歩」は、お笑いコンビ「オクラホマ」の「河野君」と、超天然キャラHTB局アナ「土屋まり」二人が、街中で出会った人々から願い事を集めると称して、飯屋巡りをするという内容だ。
特筆すべきは、土屋まりアナの大ボケっぷりだ。
そこに、河野君の鋭いツッコミが入るのだが、「オクラホマ」の漫才の何倍も面白い。
その「しあわせ散歩」で、西区西野にある…しめ鯖専門店「北海〆鯖」を取材していたのを今週見たノダ。
この店は、一昨年の夏ぐらいから「手稲山」に行く途中のバス中から発見して、気になっていたのだが、「食べログ」で調べると…営業時間が15時で終わってしまって、山から下りてきて帰路に立ち寄るという事が出来そうに無かったので、諦めていたノダ。
しかし、今…季節は冬だ。真冬だ。厳冬期だ。
この時期ならば、入山前に立ち寄って購入して、ザックに入れて半日持ち歩いても腐敗はしない筈だ。…という鋭い作戦を思い付いた。
JRバス「西野二股」下車、徒歩10秒で「北海〆鯖」に到着。
中に入ると、持ち帰り専門店のようで、先客が三組居た。
ショーケースには、殆ど商品は無く…TVの影響で、早くも売り切れたらしい。
棒寿司やサバガリ巻きなんかは売り切れており、〆鯖だけの販売になるようだった。
順番を待って、2000円(半身×2パック」の〆鯖と、鯖をマヨネーズで和えた「サバマヨ」を購入し、再びバスに揺られて「平和の滝入口」に向かう(早く山に登れョ)。

「平和の滝入口」からは、「発寒川」を渡り、いつもの宅地造成地に向かう。
林道跡に到着すると…我が目を疑う光景が広がった。
なんと、林道跡には笹が出まくっておるのだ。
イヤイヤイヤイヤ、先週「ネオパラ尾根」にあった1m半の積雪は何処に行ったのだ?
此方側には降雪は無かったのか?
まさか、あの小春日和のせいで、先週の積雪はみんな溶けちゃったのかぁ?

訝しみながらも装具を整え、宅地造成地へ上がる。
雪質は見事な「最中雪」だ。
スノーシューのテールを引きずると、ガリガリとウルサい。
そこに、山スキーと思われるトレースがうっすらと残っている。
林道跡には、笹だけで無くススキまでが露出している。
つまり、降雪自体が無かったって事か…。
宅地造成地に到着すると、そこもススキが至る所に出ている。
何度もイグルーを作った場所だったが、今年の積雪量は20cmも無いかも知れない。
宅地造成地から右手の尾根に向かうが、そこも笹だらけでルーファイに苦労する。
笹原だから、至る所に落とし穴のような隙間があり、5歩に1歩は股までズボった。
これは…先週とは違う意味で、厳しい勝負になりそうだぞぉ(全然嬉しそうじゃない)。

それに、この…最中雪だ(さいちゅう、じゃ無いョ)。
「最中雪」というのは、雪面が日照や風雨で溶け堅く氷化する事だが、最中というぐらいだから、最中の皮のように薄い筈だが、今日の最中の皮は5cm程もある。
こんなのは、最中とは言わんっ。
どら焼きの皮だって、もう少し薄い(それに柔らかい)。
ブルジョアな上流階級の家の、カステラよりも…ぶ厚い(全然フワフワしてない)。
むしろ、喫茶店で出てくるハニートースト並みの厚さだっ(何のハナシをしとんねんっ?)。

ぶつぶつ文句を言いながら、高度を上げると…一昨年、尻ボでダブルコーク1440(だったけ?)をやろうとして失敗したコル(鞍部)に辿り着いた。
うーん、何気に…この場所は好きだなぁ。
雨に浸食された源頭地形に挟まれた鞍部には、ミズナラやアオダモの大木が残っていて、灌木も少なく素敵な地形が広がっている。
見上げる斜面には、灌木の隙間から崖垂の赤茶けた岩肌が見え、一見して一筋縄ではいかなさそうに見える。
しかし、雪面には幾つもの蝦夷鹿トレースが刻まれていて、その何本かは確実に、崖垂に向かっている。
一服してから、スノーシューのヒール・リフターを上げて、尾根上に続く蝦夷鹿トレースを辿って行く。
徐々に崖垂が近付いて来る。
ギリギリ直下まで接近して、崖垂を観察する。
崖垂には、所々に立ち木もあり、垂直に近い割には手掛かりは多そうだ。
左寄りのルンゼ(岩溝)なら、足場も手掛かりも揃っていそうだ。
高度差は30m程だが、ルンゼの上にはテラスもありそうだし…と、アタマの中で登攀ルートを無意識にシュミレーションしてしまう。
いやいや、待て待て。
ここはクライミングが出来る沢登りのギアや靴があればやれない岩では無いが、今日は足元はスノーシューとスノーブーツだ。
自己確保のロープもギアも持って無い。
そもそも、蝦夷鹿君は…こんな所は登れんだろ。
今日の目的は、蝦夷鹿君でも攀じれるルートの確認だろ?
何をやる気になっておるのだ?と己に言い聞かせる。

冷静になって、周囲を観察する。
右手な崖垂が続いていて、弱点は無さそうだ。
左手には崖垂下に立ち木の生えた斜面が続き、崖垂が崩落して途切れていそうな雰囲気もある。
ここは、左手を探ってみよう。
崖垂下には、落雪したらしいデブリ状のスノーボールが沢山落ちていて、余り良い気持ちはしないが、崖垂には落ちてきそうな雪塊は無く、慎重にステップを作りながらトラバースして行く。
すると、案の定…崖垂の切れ目があり、かなりな斜度だが攀じれなくもなさそうな場所を見つけた。
最近の蝦夷鹿トレースは見当たらないが、攀じるなら此処しか無い。
大きくジグを切りながら、斜面を詰めると…見覚えある場所に出た。
ちょうど、先週…昼飯を食った場所の近くの「ネオパラ尾根」に乗れたようだ。
うーん、流石…蝦夷鹿君だ。
こんなルートがあったなんて、完全に盲点だったな。
拙者が拓いた「ネオパラ尾根」末端ルートが、唯一のアプローチかと思ったら、こんな場所もあったのか。
むしろ、距離的には…此方の方が短く、労力も少ないかも知れない。
但し、藪が隠れるほどの積雪量があれば…のハナシだが。

せっかく「ネオパラ尾根」に乗ったので、更に尾根を詰めてみよう。
高度が上がって最中雪は解消し、春の締まり雪みたいな堅い雪面に今朝方降った新雪が乗っていて、大変歩き易い。
灌木地帯を進んで行くと、尾根の北寄りには古い山スキーのトレースが残っていた。
確か…この辺りだったかな?
昨年、イグルー泊をしたのは。
しかし、小春日和のせいか…積雪は1mも無さそうだ。
暫く進むと、我が天敵…スノーモービルの深いトレースが残っていた。
こんな積雪量の少ない里山に、モービルなんかで来るんじゃねぇよ!(チコちゃん風に)
興を削がれて、それ以上進む気持ちが失せたので、先週ランチをした場所まで戻って、遅めの昼食にする事にする。

崖垂に沿って下降しながら地形を観察する。
落差40m以上の崖垂が続いているが、所々…崖垂が崩落した場所もある。
斜度はキツいが、空身ならやれそうな場所もある。
同じような平坦面溶岩が作った「永峰尾根」には、崖垂の切れ間は2箇所しか無いが(その内の一つが夏道ルート)、「ネオパラ尾根」には幾つか弱点はありそうだ。

先週のランチ場所を探すが、なかなか見つからない。
確か…この辺りだった筈だが、それらしい跡は見えないし、膝上ラッセルで作った自分のトレースも見当たらない。
うむむむ…ど~ゆ~事だ?
やっと、それらしい場所を見つけたが…何という事だ、あんなに深く掘った椅子も、膝上ラッセルの痕跡も殆ど消えかかっておるではないかっ。
やはり、あの…3日続いた小春日和のせいで、トレースが消えてしまったノダ。
南風が吹いていたので、見晴らしの良い側にスノーブロックを積む事にした。
スノーソウで切り出したブロックは、とんでもない重さになっていた。
暖かさと重力によって圧雪された雪は、昨年3月のイグルー泊の時よりも更に重くなっていた。
こんな雪質じゃ、今シーズンのイグルー建設は無理かも知れないな。

ランチは、「北海〆鯖」で買ってきた〆鯖と、スーパーの焼き鳥(塩)、コンビニの「助六寿司」と「永谷園の松茸のお吸い物」である。
勿論、アレもある。
冷え冷えの焼き鳥は、バーナーの火で炙って温める。
浅く〆た鯖は、腹身の脂がコリコリして抜群に美味かった。
こりゃあ、クラシックが進むわい。

のんびり1時間休憩して、下山にかかる。
今日は忘れモノも無いから、上がってきたルートを下りる必要は無い。
しかし、先週のラッセル跡が気になったので、先週作った自分のトレースをなぞって下降してみる。
すると、ものの見事に…我が苦闘の痕跡は、消えかかっていた。
嗚呼、先週の…あの拷問のようなラッセルは一体何だったノダ?
自然の為す事とは云え、人間の業(わざ)など、なんと儚く脆いものなのだろうか…。
嘗て道内中に縦横に張り巡らされた伐採用作業林道ですら、半世紀も待たず自然復元してしまうノダ。
雪面に刻んだトレースなんぞ、瞬く間に消え行く運命(さだめ)なのだ。
しかしながら、それ故に…雪山もラッセルも楽しいのかも知れない。

高度を下げて行くと、台地に乗る枝尾根上に付けた我がトレースの上に、無数の蝦夷鹿の足跡が残っていた。
このー、ラッセル泥棒めっ。
ジビエ料理にして、美味しく召し上がっちゃうぞぉ、コンニャロー!
…と悪態をついてみたが、内心は少し嬉しい…もじょなのでしたぁ(今日のワンコ風に)。


おわり。

【写真1】先週の大雪は何処へ行ったノダ?
【写真2】崖垂直下から見上げると(やる気になるんじゃないのっ)
【写真3】北海〆鯖はオススメ
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いやはや、またしても「手稲山」である。「ネオパラ尾根」であります。
「オマエは、ネオパラしか知らんのか~い、そんなにネオパラが好きなら、其処に住みなさい」と呆れられても致し方ない、「頑なにネオパラ尾根しか行かない登山家」のもじょで御座りまする。
そういえば、昔…「空沼」に年間8回ぐらい通ってた頃も、同じような事を言われてたような気がするな。

しかし、なんなんだろうね?
この偏執的なネオパラ尾根に対する拘りは…。
いや、拘ってる積もりは無いなだが、わざわざ毎回行き先を考えるのも面倒くさいし(コラコラ)、家から近くて便利だし、バス便も沢山あって乗り遅れの危険も無いし、しめ鯖や半身揚げや豚の味噌漬け等の美味い肴も買えるから、というのもあるだろうが、何より…地形の細部を詳しく知りたいという地形マニア的な興味のせいかも知れない。
地形学の面白さに開眼したのは、多分にNHK土曜日夜の「ブラタモリ」の影響に因るところが大きいのだが、昔から歴史好きだった事から城跡や古寺や廃墟を巡ってウロウロしていたのが、そもそものキッカケだったかも知れない。
その内、人間の歴史から地球の歴史に興味が移り、山登りの趣味から山の成り立ちに興味を持つに至ったのは、当然の事だったかも知れない。

手稲山の面白さは、ズバリ…火山由来の溶岩流によって形成された山容にある。
嘗ての噴火火口は、山体崩壊によって殆ど残っていないが、溶岩流によって形作られた長大な尾根が残っている。
崩落した尾根の一部は、南側に「崖垂」と呼ばれる断崖を作り、ガレ場を作った。
北側は後年…大規模な地滑りを起こし、その…なだらかな傾斜は山麓に遊園地やゴルフ場を造成するに至る。

拙者が固執する「ネオパラ尾根」も、手稲山第二峰「ネオパラ山」(通称)を発端とする溶岩流が作った長大な尾根で、南側は崖垂が続き登坂ルートを探すのは困難だ。
しかし、長年の浸食作用や崖垂の崩落により、幾つかの弱点を見つけ出す事が出来た。
今まで発見したルートは、ネオパラ尾根末端、山腹の派生尾根、崩落崖の三箇所である。
その中でも、蝦夷鹿トレースをヒントに今シーズン発見した崩落崖ルートは、永峰沢に落ち込む複雑な枝尾根を幾つか持っており、その中で最適な登坂ルートを探して探索を続けている次第ナノである。

その山の事を隅から隅まで知り尽くし、地形図無しに自由に徘徊する事を理想とする拙者のスタイルは、思えば…実家の裏山から始まったとも言える。
札幌に来てからは、「空沼岳」が目標になった。
そして、今…「手稲山」を知り尽くそうとしている。
地形を理解するという事は、その山の構造を理解するという事だ。
尾根の派生の仕方から、渓や沢形の入り方、源頭やコルの場所、それらを一つづつ確かめ、何度となく通う事で、いつの間にか…俯瞰視点を手に入れられるようになる。
そうなれば、その山を自分家の庭の如く、蝦夷鹿や羆のように自由気儘に歩けるようになるノダ(何になりたいノダ?)。

さて、「ネオパラ尾根」だが…今回も造成地を取り付きに使って、派生尾根の一つを攻める事にした。
1ヶ月前の胸ラッセルが嘘のように良く締まり、もう殆ど沈み込まず春山のようだ。
送電線鉄塔の建つ425Pを乗越して高度を上げる。
新しいカラー版地形図には、古い地形図には無かった細かい枝沢や、送電線保守用の作業道まで載っていて便利だが、斜面に緑色の影がついていて大変見にくいノダ。
見た目は鮮やかだが、そのせいで割高になってんだから、国土地理院は反省したまえ。
ピークの先は痩せた岩尾根になっていて、その先に素敵なコルを見つけた。
低層植生は笹のようだが、雪がある内にテントを持って泊まりに来ようかと思う。
崖垂に突き上げる枝尾根は、二つ隣の尾根だから何処かでトラバースなり谷地を登り返す必要がある。
このルート採りが悩むノダ。
どうにか上手い具合にルートを繋げないものか、ずっと考えている。
枝尾根末端は、「永峰沢」に落ち込んでいるから、沢から取り付けばイイのだが、二回程渡渉せねばならぬノダ。
戦略を練るのは、雪山低山のバリエーションの面白いトコロだが、同時に悩ましい事でもある。

一週間山をサボったせいで、乳酸の溜まりが早い。
先週は…ワサワザ出掛けた焼き肉食べ放題が新型コロナの影響で休業中で、帰宅後ゴクゴクして、ふて寝したら昼過ぎに起きてしまい、大好きなSF映画を何本か見て、又ゴクゴクしたら休みが終わってしまった。
若僧知事の外出自粛指示に従った積もりはサラサラ無いが、結果的に引きこもってしまった。
ま、たまには…こ~ゆ~休日も良いものだ。
しかし、雪山シーズンは短い。
今年は殊更に短くなりそうな気配がする。
残雪期が終わると、直ぐに山菜シーズンがやってくる。
先週あたりからスーパーには、早くも…ハウス栽培のギョウジャニンニクやウドが並び始めていて、ソワソワして仕方無い。
少しでも長く雪山シーズンを楽しみたいが、早くギョウジャニンニクも食いたい。
悩ましい事である。

締まった雪のおかげで1時間で「ネオパラ尾根」に乗れたが、0℃近い気温のせいで大量に汗をかいてしまい、早くもゴクゴクしたくなっている。
雪を頬張って喉の渇きを誤魔化す。
上空の雲量が減ってきて、時折…陽も差し始めた。
出発が遅かったので、陽は早くも「百松沢」に傾き始めている。
日当たりの良い「ネオパラ尾根」は、雪が腐り始めて足取りは重い。
14時まで頑張って、良さげなトコロでゴクゴクしよう。

結局、昨年…イグルー泊した場所まで上がって、ココロが折れた。
ランチスペースを作る為、雪を掘ってみると、昨年…イグルーを作った時よりも更に雪は重くなっていた。
こりゃあ、今シーズンのイグルー泊は無理だな~
やるなら乾いた軽い雪を求めて遠征するしか無いだろう。
スッカリお馴染みになった鯖寿司と〆鯖でゴクゴクする。
確かに美味いのだが、流石に飽きてきた。
気に入った食べ物は飽きるまで集中し連続して食ってしまう癖があるので、困るノダ。
厳冬期も終わり、のんびりとランチが出来るようになったのだから、ジンギスカンやカレーうどんも食べたい。
今シーズン、密かに企んでいたのが…「イグルーで炭火料理」だった。
ネイティブアメリカン(インディアンね)の移動先住居である「ティーピー」(テント)みたく、天井をワザと塞がずに一酸化炭素中毒防止の為に換気用の穴を空け、中で携帯炭火コンロを焚いて調理と暖をとり、焼き肉や鍋が出来無いものか?と雪山シーズンが始まる前から考えていたのだが、来シーズン以降の課題としよう。
こ~ゆ~馬鹿な企画アイデアは、次から次に浮かんでくるのだが、肝心の山行企画は全く浮かんで来ず、相も変わらずの「ネオパラ尾根」ナノだ。

さてさて、腹も満たされた事だし、下山ルートをど~するか考えよう。
せっかくだから、尻ボれる急斜面が欲しいトコロだが、こないだみたく…雪崩るのは、流石におっかない。
尾根ルートならば、比較的にリスクは少ないだろう。
登りに使った尾根は、立ち木も少なく雪も締まっていて良さげだったが、午後になって雪も腐ってきるだろう。
結局、色々考えるのも面倒くさいので、登坂に使った尾根に向かおう。
下山尻ボに備えて、今シーズン購入した「黒テムレス」(浸湿撥水ゴム製の手袋ね)を履く。
最早、雪山の定番と化したテムレスだが、雪山で他の登山者と遭う事が無いので、定番と云いつつも、利用率は不明だ。
この「黒テムレス」は、昨年買いそびれたので、シーズン前にイシイスポーツで購入した。
青テムレスよりも、アウトドア度は高そうに見えるが、所詮は…ゴム手袋だ。
おかげで、ゴアのミトンや、ウールのインナーの出番は全く無くなってしまった。
どーしてくれるっ?

尻ボは腐った雪のせいで、滑走距離は伸びなかったが、楽しさに変わりは無かった。ムホホホ…♪
そういえば、先月…ネオパラ尾根に来る途中、地下鉄の駅で外付けしてあった尻ボが、何かに引っかかって落ちた事があった。
咄嗟に振り向くと、ちょうど…真後ろを歩いていた綺麗なオネイサンが、尻ボを拾い上げて拙者に手渡してくれた。
その時のオネイサンの笑顔が素敵だった。
「あら、これは…子供がソリ遊びに使うソリね?雪山へ向かう…ワイルドなお兄様だと思ったら、こういう子供心も持っていらっしゃるのね?ス・テ・キ♪」
…というような意味の笑顔だったと拙者は解釈したが、間違ってマスかね?

外出自粛要請の出た…人通りの少ない街まで下りてきて、琴似駅に隣接するイオンで買い物をしながら、ふと思った。
成熟した個人主義が発達した欧州(特にイタリア)が、パンデミックに晒され大変な事になっているが、日本という国(及び国民)は、お上のお達しには昔から忠実で、こ~ゆ~場合には役に立つ民族性ナノだな。
大好きな高校野球もプロ野球も見れないが、登山を趣味にしていて良かったと、つくづく思う。
下界の新型コロナ騒動とは無縁な雪山シーズンは、もう暫くは楽しめるだろう。
但し、下界に下りてくれば拙者もマスクを装着して、感染防御に怠りない。
でも、雪山登山装備にマスクは似合わないんだよな~
せっかくの拙者のワイルドさが半減してしまうんだよな~

おわり。

【写真1】素敵なコルを発見、テント持って泊まりに来たいな~
【写真2】黒テムレス(ど~見てもゴム手袋だな)
【写真3】尻ボはザックのヒップハーネスに繋げておくと便利ナノだ
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いやはや、またしても「手稲山」である。「ネオパラ尾根」である。
「オマエは、ネオパラしか知らんのか~い」という鋭いツッコミにもめげず、再び〆鯖とクラシックを持って出掛けた…「頑なに登山道を歩かない登山家」のもじょで御座りまする。

世間では、新型コロナウィルスのせいで大変な事になっており、テンパった北海道知事は「週末は、お出掛けせずに家に居ろ」と言い出す始末。
言っておくが、日本国の法律には「戒厳令」も「外出禁止令」も存在しないからなっ。
それに、拙者が出掛けるのは…人混みとは無縁な雪山だっ。
今シーズンは、未だに他の登山者にすら遭った事も無く、濃厚接触したくても出来無いマニアックなバリエーション・ルートなのだ。

とりあえず、開店直後の「北海〆鯖」に立ち寄り、「鯖棒寿司」「金華〆鯖」「サバマヨ」を購入し、「平和の滝入口」へ。
今回は、前回「ネオパラ尾根」へ乗ったポイントへの新しいアプローチ・ルートの探索が目的だ。
前回のような崖垂下のトラバースは、効率的で無いし雪崩や滑落のリスクも高い。
より安全で、楽して乗れるルートは無いものか?と考えて、沢形を狙ってみる事にした。
但し、ネオパラ尾根に直接突き上げる沢形は急峻過ぎるので、上手い具合にアプローチする手段は無いものか、地形を観察して考えてみる事にした。

午前10時、平和の造成地跡を出発。
造成地に隣接する浅い沢形に入ってみる。
週中と金曜日に少し降雪があったので、ラッセルは脛程度だが、今朝方冷え込んだ割には雪質は…かなり重い。
良く良く考えたら、もう3月ナノだ。
厳冬期は終わり、日照時間も太陽高度も上がり、日差しは確実に春に近付いている事を感じさせる力強さに満ちている。
尾根登行と比べて傾斜の緩い沢形だが、重い雪のせいでラッセルははかどらない。
雪が湿っているから、スノーシューに着雪して難儀する。
着雪防止にスノーシューのデッキ部分にシリコンかスキー用ワックスを塗る事も考えたが、未だ実用には至っていない。
尾根よりも立木の少ない筈の沢形だが、南向き斜面の為、その密度は高くルーファイが面倒くさい。
右手には前回登行に使った尾根が見えているし、左手の尾根は未登で気になる。
見晴らしの無い沢形登行は、大変…退屈で面白く無いノダ。
う~、尾根に乗りたい、尾根に乗りたい~。
このまま源頭を詰めても、結局尾根には乗っちゃうので、未登の左手の尾根に乗ってみる。
不思議な事に、こちら側は殆ど潜る事は無く、踝程度のラッセルだ。
この差は一体何なのだろう?
地形的な事なのか、風向きの問題なのか…はたまた、日当たりの問題なのか。
尾根に乗ると、地形図と現場の地形を比べて、ルートを考えてみる。
今乗ってる尾根は、前回と同じ崖垂に突き当たる枝尾根で、100mばかし水平移動(トラバース)せねばならない。
これ以上高度を上げると、トラバースもキツくなるが、擂り鉢状の下部を水平移動すると、ビミョーな登り返しが発生する。
一番効率的なルートを模索する。
雪山低山のルーファイの面白さは、労力対効果を計算するトコロにある。
なるべく、労力が少なく済むルート採りを探し、幾つもの選択肢から最良のものを探す。
これは、もう経験値を上げるしか無い。
幾度も失敗をし、学んでいく以外に方法は無い。
地形のみならず、雪質や木立の密度をも勘案し、進むべきラインを探すノダ。

結局、更に15m程高度を上げてから、灌木を縫うルートを探し出した。
膝上ラッセルをしながら、慎重にトラバースして行く。
湿った雪は踏みつければ固まって、ステップが作れるから、トラバースの不安定さは少ない。
しかし、左手に谷を眺めながらのトラバースは、高所恐怖症の拙者には、かなりな恐怖を感じて緊張する。
焦らずゆっくり慎重に。
隣の枝尾根に乗って、「ネオパラ尾根」を見上げる。
あとは、この高度差30mをジグを切りながら詰めて行けば良い。
スノーシューのヒール・リフターを上げて斜面に踏み出した時、スノーシューの爪が新雪の下にある堅い最中状の層に突き当たった。
山を休んだ先週、札幌は気温が上昇し降雨にみまわれた。
恐らく、その時に溶けた雪面の上に新雪が乗っているノダ。
つまり、かなり不安定な弱層があるという事だ。
下手をしたら、雪崩れる可能性がある。
うむむむ…こいつは困った。
ジグを切る為に斜行すると、弱層を破断し面で落ちる可能性がある。
かと言って、直登可能な斜度を超えている。
こ~ゆ~時は、「寄らば大樹の影作戦」しか無い。
つまり、立木の密な部分を狙って、弱層を刺激しないよう登行するノダ。
もう…労力対効果なんか考えてる場合では無い。
立木を狙ってルートを切って行く。
ハァハァハァハァハァハァ…
息が乱れる。
乳酸が溜まった足が動かんっ。

なんとか、傾斜のキツい部分を突破し、「ネオパラ尾根」へ乗った。
前回、残置しておいたピンテ(ルート・マーカー)に辿り着いた。
時刻は昼過ぎ。
今日は、「ネオパラ尾根」上部まで上がりたかったが、体力的に保ちそうに無い。
とりあえず、ココロ折れる所まで上がって行こう。
尾根上は立ち枯れた蝦夷松や白樺の疎林が開け、春の日差しが降り注いで大層気分が良いのだが、10m置きに立ち止まっては呼吸を整えるぐらいに消耗していた。
結局、「ネオパラ尾根」に乗って500mも行かない内に、ココロ折れてしまった。
つ、疲れた…
喉が渇いた…
ごくごくしたい…
鯖の棒寿司で、ごくごくしたい…
「百松沢」や「烏帽子」のアタマが見える日当たりの良い雪田で、ザックを下ろし椅子を作る。
少し掘り下げると、イグルーを作りたくなるような、なかなか良く締まった雪があった。
山麓の雪は弱層だらけだが、この高度の雪ならばイグルーも作れそうだ。
そろそろ…イグルー泊も考えてみよう。

正面から日差しを浴びて、ポカポカして気持ちが良い雪田で、早速…クラシックを開ける。
鯖寿司は腹身の脂のりが抜群で、シャリにも柑橘系の風味がして(柚子かな?)美味である。
京都人は、鯖寿司には目が無いノダ。
拙者の幼少期は、回転寿司も無かったから、寿司と云えば…オカンが作る鯖寿司か巻寿司の事だった。
嘗て、舞鶴や敦賀で穫れた鯖を「鯖街道」で都に運んでいた歴史のある京都では、鯖寿司に対する拘りは半端では無い。
それ故に、鯖寿司への評価は厳しくなる。
大坂で発展した「バッテラ」と呼ばれる鯖の押し寿司とは、一線を画すクオリティを京都の鯖寿司は持っていると自負している。
京都へご旅行の際は、懐石や湯豆腐、おばんざいも良いが、鯖寿司を是非とも御賞味いただきたい。

春の日差しを浴びてポカポカ暖かいので、思わず…ウレタンマットに寝転がってゴロゴロする。
気温はー4℃程だが、日差しのおかげで昼寝も出来そうなぐらいだ。
ワンセグを点けて、気になっていたブロ野球オープン戦を見る。
新型コロナの影響で、札幌ドームの試合は、観客を入れない無観客試合になっていた。
見た事の無い不思議な光景だったが、打球音やキャッチングの音が聞こえて、これはこれで面白いかも知れない。
しかし、こんな事でブロ野球は無事に開幕出来るのだろうか?
ブロ野球開幕の前に、19日からは春の選抜高校野球も始まるし、8月にはオリンピックもある。
それまでに新型コロナが収束するのだろうか?
一体何をもって「収束」とするのだろうか?

人類の歴史は、ペストやコレラ、黄熱病やマラリア、エボラやエイズ等のウィルス媒介の感染症との戦いでもあった。
ワクチンや抗体の開発で、人類は絶滅危機を乗り越えてきた。
分子生物学の発展により、近年ではウィルスのゲノム解析(DNAね)も進み、ワクチン開発は容易になったらしいが、ウィルスだって進化し変異を繰り返し生き残る術を模索している。
あの恐竜だって、今では小惑星の衝突が絶滅の原因だと言われているが、一説にはウィルスによる感染症というハナシもあるのだ(証明が難しい仮説だが)。
以前読んだ人類絶滅に関する本には、人類絶滅のオプションとして「伝染病」や「耐性菌」(ワクチンが効かない進化したウィルスね)を挙げていた。
人間の文明社会が恒久的に存続するなんて考えないほうが良い。
環境変化に対応出来無い種は、淘汰されるのが自然の摂理だ。
たかだか、数万年の人類の繁栄など地球の歴史から見れば…ほんの刹那に過ぎない。

さてさて、1時間ほどノンビリして太陽高度が下がって日差しも弱まってきたので、そろそろ帰ろうか…
自分のトレースをなぞって下山するのは、ツマラナいので…尻ボれる地形を地形図で探してみる。
でも、重い雪質だからな~。
ある程度の傾斜が無いと、滑れないだろうな~。
そこで、思い切って登坂に使った崖垂横の自分のトレースを滑り出しに使って、そのまま沢形に滑り降りてみよう。
うむむむ…こうして、上から眺めてみると、なかなかに尻込みしてしまう急斜面だ。
良く…こんな場所を上がってきたなぁ、と我ながら呆れてしまう。
いざ、尻ボをセットして滑り出してみたが、案の定…全く加速しない。
ズリズリズリズリ…と、ズレるだけで、歩いたほうがマシなスピードだ。
んにゃろーと、ストックを使って漕いで勢いをつけると、少し加速し始めた。
すると、周りの3m四方の雪面がズレ落ち始めた。
し、しまったっ。
この斜面に弱層がある事をスッカリ忘れていたっ。
ズレ落ち始めた雪面に乗って尻ボも加速し始めたが、加速の風圧に帽子が飛ばされた。
慌てて制動をかけるが、一旦落ち始めた表層雪崩は止まらない。
仕方なく、そのまま流れに乗って30m程滑って停止した。
うむむむ…見事な誘発雪崩だったな。
雪崩れた規模は幅5m、長さ50m程だが、結構な量のデブリが下方に溜まっている。
パフパフの新雪を尻ボると、周りの新雪を巻き込んで軽く雪崩れた事は何度もあったが、ここまで見事な表層雪崩になった事は無かった。
制動をかけながら滑ったから、表層雪崩は拙者を追い越して、巻き込まれなかったから良かったが、余りにも不用意過ぎたかも知れない。
尻ボに夢中で、スッカリ弱層の事を失念していたのだ。
とりあえず、脱げた帽子を回収する為に登り返すかぁ…と、斜面を見上げたが、帽子は見当たらなかった。
む?
もしかしたら、雪崩に巻き込まれてデブリに飲み込まれてしまったのか?
斜面下のデブリを見るが、そこにもカーキ色の帽子は見当たらない。
れれれ?何処に行った?
ふと足元を見ると、雪まみれになった帽子が落ちていた。
良かった良かった。
ちゃんと、ご主人様に寄り添って滑り落ちたのだな、ヨシヨシ。
誘発雪崩を巻き起こしてしまったが、考えたら…スキーとは違い尻ボの方が雪崩より速度は遅いのだから、巻き込まれるという事は無いノダ。
でも、ちょっと…焦ったナ。

傾斜が緩くなり、もう尻ボる斜面も無さそうなので、そのまま沢形を下降する事にした。
このまま降りれば、「永峰沢」に突き当たるだろう。
この沢形は、永峰沢に合流する枝沢という事だ。
帰宅してから、新しいカラー版の地形図で確認すると、古い地形図には記載が無い…細い沢表記もあった。
永峰沢沿いには古いスノーシューのトレースもあったが、それは雪面の凹み程度で、結局…造成地までフルラッセルが続いた。
今日は雪が重くて疲れた。
ちゃんと乳酸を抜いてからゴクゴクしよう。

おわり。

【写真1】前回残置したネオパラ尾根に詰め上がる場所のピンテ(オレンジ色だけど)
【写真2】極上鯖棒寿司
【写真3】尻ボ誘発雪崩跡とデブリ(雪崩の堆積物)