いやはや、夏真っ盛りの北海道、今年はコロナ渦で大通りビアガーデンや高校野球が中止になって、「つまんないから、沢登りにでも行こ♪」とイイ気になって沢で遊んでばかりいたら、気がつけば…恒例の大雪山縦走の季節がもう目の前までやって来ている事に少々焦りながら、慌てて歩荷訓練などやっている…「頑なに山頂を踏まない登山家」のもじょでござりまする。
しかし、昨年の大雪山縦走はアッサリと島旅に変更しちゃったりしたから、大雪山縦走は久し振りナノだ。
つか、あの島旅以来…デカザックなんて背負っていない。
ちゃんとした山行なんて、一昨年以来やってない。
そんな体力で、いきなりの大雪山縦走なんて、できっこない。
重量級デカザックに慣れる為に、何回か歩荷訓練をせねばなるまい。…と思って、先週「手稲山」北尾根に出陣したら、見事にヤラレて、取り付きの直登尾根(結構キツい)にコテンパンにされ、途中でココロも折れ、日没サスペンデッドも重なって、スキー場にすら辿り着けずにビバークを余儀無くされたノダ。
因みに、余りのヤラレように設営後3時間程気絶して、準備していった炭火BBQは半分も食べられずに、残してしまった。
「こんな事ではいかんっ。どげんかせんといかんっ!」という事で、沢登りに行きたい気持ちをグッと抑えて、今週も歩荷訓練に行く事にした。
それについては、少し距離を歩きたかったので、縦走が出来る低山を探した。
いつもの拙者ならば、迷わずに「空沼岳」に向かったのだろうが、4年程前に歩荷訓練に歩いた「札幌岳」への縦走路は、更に荒廃が進んでいるようで、この夏には道迷い遭難者を出したというではないか。
オフィシャルには、あの縦走路は通行止めという事になっているらしく、藪漕ぎやルーファイに慣れた者にしか許されていない厳しいルートなのだ(もうやりたくない)。
生憎…今回、拙者がやりたいのは歩荷訓練であって、藪漕ぎ訓練では無いので、潔く他の候補地を考えた。
そこで思い浮かんだのは、「塩谷丸山~遠藤山~於古発地山~小樽天狗山」だった。
ま、こうやって書くと長大な縦走路みたいだが、実際は標高700m以下で殆ど起伏の無いハイキングコースみたいなもので、全体の距離も10km程しか無い筈だ。
「塩丸~遠藤山(~穴滝」間は何年か前に歩いた事もあり、縦走路の具合も良く分かっている。
先週失敗したBBQのリベンジも成し遂げたい。
夕陽を眺めながら、ゴクゴクもしたい。
更に、新しく購入した長靴の実地試験もしたい。
夜景を眺めながら、ゴクゴクもしたい。
宴の買い物を済ませ、久し振りの汽車で小樽へ。
1455時の「倶知安行き」に乗り換え、一つ目の停車駅「塩谷」で下車。
この駅に来るのも久し振りだ。
「塩谷丸山」に最後に来たのは、天幕泊デビュー戦のK隊員に付き合って、山頂での居酒屋メニュー山めし宴会だった筈だ(何しとんねん?)。
踏切を渡った所にあった目印になるガスタンクが無くなっている。
坂道を上っていくと、高速道路も走っている。
すっかり様変わりしていて、記憶の中の面影は消え失せていた。
…ので、親切な案内標識に従って、入林ポストのある登山口へ。
さっき覗いた駐車場には、デカいランクルと軽自動車の二台が停まっていたから、少なくとも…まだ2パーティーが入山中らしい。
入山して、いきなり直登尾根に乗せられて汗が噴き出す。
これは、もしかしたら…伐採用に開削したブル道かも知れない。尾根の両側は見事なカラマツの二次林になっているし、嘗て索道が尾根上に付けられていた可能性もある。
そう思わせるぐらいに、「塩谷丸山」という初心者向けの山には似つかわしく無いぐらいの厳しい急登だ。
あ、急登と言えば…因みに、C-uteでは「岡井千聖」推しでした。
いやいや…いきなりハロプロ(アイドル)ネタを絡ませてしまいましたが、最近のハロプロは大変面白く、楽曲派の拙者としても…(何のハナシをしとんねんっ)
急登に喘ぎながら…あれ?喘いでない。
確かにキツいが、呼吸が苦しくなったり、体の芯が熱くなる感じはしない。
夜勤明けで一睡もしてないのに、だ。
やっぱり、先週ヤラレたのは…気温と湿度だったのだ。
ザックに付けている温度計は、15℃程で樹林帯だから風は抜けないものの、肌感覚としては森のヒンヤリとした空気を感じられる。
先週の北尾根は夕方5時の時点で麓の気温は25℃を下回っていなかったもんな。
やっぱり、気温と消耗度は密接にリンクしておるのだ。特に汗っかきな拙者には、20℃を超える登坂は単なる拷問になる。
やがて、登山道は電光を切り始め、あっけなく台地状の笹原に出た。恐らく伐採後の植林放棄地なのだろう。
此処も嘗てあった反射板が撤去されており、眼下に小樽の海と、その向こうの増毛山塊が望めた。
駐車場の軽自動車の持ち主と思われる…最後の登山者の小太りなオバサンとスライドすると、「塩谷丸山」は拙者の貸し切りとなった。
平日を歩荷訓練に選んだのも、こうした…独り占めを狙ったからだ。
笹原の刈り分け道を30分掛からずに、懐かしい山頂に到着。
誰も居ない。
風も無く、 暫く降雨も無く虫も殆ど居ない。
一服して、濡れたTシャツを着替えてから天幕の設営に。
前回は風が強かった為に、岩峰の陰の風の当たらぬ登山道に設営したが、今日は見晴らしの良い岩棚の上に設営する。
暗くなる前に炭を熾しておく。
炭火が安定してから「生鰹」を刺身に引いておく。
今回炭火で炙るのは…「灯台ツブ」「宗八(鰈の干物ね)」「ソーセージ」「丸ホルモン(塩)」「万願寺唐辛子(京野菜ね)」「とうきび」「プチトマト」などである。
炭を熾すだけで、何にも下拵えしなくと良いから楽ナノだ。
「宗八」を焼き始めたトコロ、やけに宗八の身がピンク色だな…と思って振り返ると、西の空が信じられないような色に焼けていた。
夕焼けの色が宗八に映り込んでいたノダ。
慌てて網に載せていた宗八やホルモンを炭火から下ろして夕焼けを眺める。
刻一刻と色を変えて行く夕焼けから目を離す事が出来ずに、暫く歓声を挙げながら夕焼けショーを楽しんだ。
昨夜の一人宴は、満腹と共に襲ってきた睡魔に勝てずに、21時前にお開きになってしまった。
陽が沈むと北寄りの風が出始めて、フリースを羽織る程にまで気温は下がった。
炭火の暖かさが有り難いぐらいだった。
途中、海の方から大砲を撃ってるみたいな音がしたので、山頂まで見に行ってみると、どうやら…花火を打ち上げているようだった。
ん?確か…小樽の「潮祭」の花火は例年土日に打ち上げた筈。金曜日に打ち上げるというのは、コロナ対策で告知もせずにゲリラ的に打ち上げたものかも知れないな。
しかし、ちょうど花火が打ち上がってる辺りに広葉樹があり花火は見えず、音だけしか聞こえなかった。ので、ふてくされて寝た。
天幕に陽光が当たって天幕内が温められ、その暑さで目が覚めた。
「赤いきつね」の朝食を食べていると、長靴を履いたジイサマが上がってきて「へぇ~、昨夜はココで泊まったんだぁ(、と感心(呆れとったん?)していた。
天幕を撤収し、縦走路を「天狗山」方面に向かう。
日当たりの良いコルだからか、登山道は結構な藪被りだった。
ちゅうか、これは…殆ど最近は手入れがされていない状態のようだ。
何ヶ所もルートを倒木が塞いでいるが、最近倒れたもののようには見えない。
少なくとも、ここ…2~3年はヒトの手は入っていないようだった。
なだらかな稜線上の素敵な白樺道も、倒木と藪被りで見る影も無く、登山道にも笹が侵食し始めている。
見晴らしの無い「遠藤山」で、小休止していると…「ヤッホー」と声がして白髭が立派なジイサマが現れた。羆除けに声を出していたらしいが、縦走路にも羆の痕跡は全く無く、蝦夷鹿の足跡すら見当たらなかった。
「手稲山」辺りとは違って、野生動物の密度は低いようだ。
山と言っても、小樽の市街地が近いし、何より…この辺りには、自然林が殆ど無く、カラマツの二次林が山を覆い尽くしていた。
「遠藤山」の隣には「毛無山」と呼ばれる…いかにも「山全部伐採してやりましたぜぃ」的な名前の山もあるし、明治の開拓期に小樽港の開発に多量の造材が使われた事も容易に想像出来る。
いや、この登山道だって、幅員を見れば如何にもな作業道跡だ。
下界から見上げれば緑豊かな山も、こうして実際に歩いてみれば実状は容易く把握出来る。
起伏の少ない退屈な樹林帯縦走路でも、時折出現するキノコ類に拙者のココロも沸き立つ。
既に腐った老菌が多いみたいだが、時々イグチ系の大物が見つかるとテンションが上がった。
昨年大豊作だったタマゴダケも、「塩谷丸山」の直登尾根で一つ見かけただけだった(虫食い)。
今年は降雨が少なかったので、夏キノコは不作だった。秋キノコも余り期待は出来無いが、この山域はカラマツが多いから、ラクヨウ狙いで一度様子を見に来てもイイかも知れない。
地形図には記載が無い「大曲山」の標識を超えたら、見晴らしの悪い展望台を過ぎ、木立の間からスキー場の照明が見えたら、もう「天狗山」である。
ゲレンデを下って行くとレストハウスがあり、自販機でコーラを買って日陰を探して、一服する。
時刻は丁度1200時、4時間弱の縦走は歩荷訓練には少々物足りないが、このコースなら日帰りで十分かも知れない。
展望台のような場所には、観光客もチラホラ居たが、密というほどでは無い。
久し振りに「天狗山」からの展望を見た。
近くにある幟には「北海道三大夜景」と染め抜かれている。
札幌・函館・小樽という事かな。
いや、確かに…天狗山からの小樽の夜景はキレイなのだ。
どれぐらいキレイかと言えば、人見知りの「もじょ」が付き合う前の知り合って半月の彼女の手を、そっと握ってしまうぐらいの美しさナノだ(どゆ意味?)。
ま、そんな事はどーでもイイ。
再びザックを背負うと、スキー場ゲレンデの登山道から下山する。あと、30分も歩けば着くだろう。
夏草が繁茂する坂道を夏色の海を目指して歩き始めた。
おわり。
【写真1】余市の海を見下ろす岩棚に幕営する
【写真2】色んなものを炙ります
【写真3】積丹方面にスゴい夕焼けが広がった








