mojo196698さんのブログ-ML_CA3B0141.jpg

mojo196698さんのブログ-ML_CA3B01630001.jpg

mojo196698さんのブログ-ML_CA3B0182.jpg

山泊が好きだ。
今更だが…山で泊まるのが大好きナノです。
小屋泊でも天幕泊でも、露天泊でもビバークでも構わない。
兎に角、山で泊まるが好きで堪らない。
あ…露天泊というのは、つまり…天幕も張らずに寝袋だけで大地に横臥し眠る事である。
簡単に云うと「野宿」ですナ(想像以上に厳しいですっ)。
何故、拙者がこれほどまでに山泊が好きになったか…それを、言葉で説明するのは困難極まりない。
…ので、今回は得意のダンスで説明しようと思ったが、更に困難である事に、さっき気がついた。
…ので、具体的に山行を例に採り、説明いたす所存である。

今回の目的地は…函館本線で「小樽」の隣駅である「塩谷」から、簡単に登れるお手軽低山「丸山」である。
通称…「塩谷丸山」。
略して…「塩丸」。

あ…山ヤって、山岳名称を略して云うの好きですよね?
例えば…「定山渓天狗岳」は「定天」。「銭函天狗岳」は「銭天」。「歩行者天国」は「ホコ天」。「イカすバンド天国」は「イカ天」。
もう、山…関係無くなってるしぃ!

例えば…ニセコ「イワオヌプリ」は「イワオ」。「チセヌプリ」は「チセ」。「アンヌプリ」は「アン」。
…とは言わない。何故だろ?
色っぽ過ぎるからかな?

例えば…「トムラウシ」は「トムラ」。「オプタテシケ」は「オプタテ」。「ニセイカウシュッ…あ!イテっ、舌噛んだ!
アイヌ語の山名難しいんだョ。拙者ですら噛みまくるし…。
あ、だから、略すのか…(納得)

えっとぉ…何の話だっけ?
ああ…「塩丸」だっけ?
直ぐ脱線しちゃうんだよな~(今回も長くなるから、覚悟しなさいよ~)

ハナシを「塩丸」に戻す。
のんびり歩いても1時間半ぐらいで登れてしまう…低山に、今回も天幕泊で行くノダ。
「塩丸」…個人的には、登山道が硬くて(踏み固められて)、単調で、人多くて…余り好きじゃ無い山だが、海を見下ろす眺望は一級品である。
今年、残雪期山スキー特集で「ヤマケイ」にも取り上げられてたもんな~(海に向かって滑降する…気持ち良さげな写真が載っていた)。

小樽駅前「長崎屋」で買い出しをし、駅中の北海道初上陸「バーガーキング」で遅めの昼食を採り、JRで「塩谷駅」に到着後、食糧をパッキングし、登山口へ向かう。
時刻は、日帰り登山客が下山し終える午後4時。
人気の「塩丸」からヒト気が消える頃合いを見計らっての極秘の入山は、この山を独り占めするが為の鋭い作戦である。
今シーズン無積雪期初のデカザックなので…ノンビリ登る。
無理なペースアップは、筋肉痛の元だ。
しかし、地味にキツい登行に汗が滴り落ちる。
気温は15℃ぐらいだが、デカザックを担いでいると、発汗が止まらない気温だ。
ガチガチに踏み固められた…風の抜けない直登ルートを詰め、九十九折りルートに差し掛かった頃になって、やっと筋肉が温まり始めて楽になる。
足元に、ハクサンチドリがちらほら見えだした頃、樹林帯を抜け笹原に出た。
反射板の所で一度休憩して、クールダウンしてから頂上の岩峰を目指す。

最後の登りに差し掛かった時、目指す岩峰にチラチラと動く人影を発見した。
時刻は夕方の5時になろうとしている。こんな時間まで、頂上で粘ってる奴らが居るのか?
まさかっ…!!
頂上天幕泊作戦の先客か?(ナイナイ…)
確かに…この山頂は大層居心地が良く、天幕を張りたくなる場所ナノだ。
しかし…普通の、常識ある、正常な、一般的な、登山者であれば、そんな変態な…もとい!酔狂な企画は思いつかない筈だ。
恐らく…「天狗山」か「穴滝」からの日帰り縦走者であろう。
もしかしたら、山の常識を知らない…ドシロウト登山客か?
良く頂上夜景天幕泊をする「手稲山」にも、ライトも持たずに夕方まで粘っているドシロウト登山客を見掛ける。
「手稲山」の場合、テイネハイランド側に下りれば…立派な舗装道路があるから暗くなっても大丈夫だが…。

三角点のある頂上から、祠のある見晴らしの良い岩棚へ向かう。
そこには、男女5名のパーティーが身支度を整えていた。
装備や服装を見る限り…危惧していたドシロウトでは無いようだ。
やはり、縦走してきたか…若しくは、ちゃんと日没時間を計算してノンビリを満喫していたパーティーらしい。
とりあえず…挨拶を交わし、背中の重いザックを下ろす。
途中、全く水分補給をしなかったので喉がカラカラだ。
せっかく、イイカンジで汗をかいたので…頂上ビールの為に、体を思いっ切りドライなコンディションにしておく…という、鋭い作戦ナノだ。
ザックを下ろすなり、荷物を弄(まさぐ)って「クラシック」を取り出し、プシュッと開け、ぐびぐびぐびぐび…と喉に流し込んだ。
なんだか…視線を感じて、先程のパーティーを見ると、訝しそうにチラチラと見られていた。
むふふふ…拙者は、今日此処で泊まるから飲んでもイイんだもんね~♪
ザックには、まだ…二本残ってるから、イイんだもんね~♪
…と、更にぐびぐびした。
ま、普通…場違いなデカザック担いで、頂上着いた早々ぐびぐびやってる奴見たら怪しく思うわ…な。

しかし、後で知った事だが…実は、その5人パーティーに居た山女子は昨年秋マイミクになったばかりヒトだったノダ。
もう一人の山女子も、mixiで良く良くお名前を存じ上げてるヒトだった。
二人共、実際に会った事は無かったのだが…「山頂で、いきなり…クラシックを飲んでたのを見て、ピンときた」と「つぶやき」にコメントされてしまった。
一体、拙者のイメージはどうなってんだ?
ま、間違ってはいないか…
彼らは、縦走では無く、頂上で焼き肉をして、岩登りをして満喫していたらしい(拙者と似たり寄ったりじゃないか?)。

5人パーティーが去ったアト、「クラシック」を片手に煙草をくわえながら…ダラダラと天幕を設営する。
今回、相方の「S隊員」は所用があり、頂上で後程合流する…という、「どんだけ、現地集合やねん!?」という作戦だったので、拙者の四人用天幕を担ぎ上げて来たノダ。
凡そ、かれこれ…25年前から使っている「ダンロップH型山岳用天幕」は、旅人時代を含めて300泊ぐらいした有形文化財級の骨董品である。
再来年あたり、世界遺産に登録される…というようなハナシは、一切無い。
天幕の横っ腹には、「五色温泉」でキツネに食い破られた大穴を補修した跡が痛々しい。
ガレガレの岩峰テラスの、そこだけ地面が露出していた場所に設営する。少々傾斜しとるが…ま、気にはしない。
風は殆ど無いが、一応ペグを打ち、張り綱を石に括りつけておく。
風抜けの良い…吊り下げ式ダブル・ウォール天幕ナノで、滅多な事では飛ばされない。

天幕設営を終え、荷物を解くと…昨年から使い始めた「折りたたみリクライニング山用座椅子」を持ち出し、「クラシック」を飲みながら「プリングルス」を摘みつつ、読みかけの小説…「深海のYrr」(フランク・シェッツィング著)ハヤカワ文庫を読む。
ふと気がつけば…先程、地表を覆いかけていた低い雲がドンドン成長し、立派な雲海になりつつあった。
小樽方面から流れてきた雲の絨毯が、眼下の稜線の鞍部を乗り越え、海側の雲海と合流した。
もはや、小説どころでは無い。
視線は刻々と千変万化する雲を捉えたまま、片時も離れようとはしない。
どんなに面白い小説でも、大自然のショーには適わない。

雲海に赤く染まった落陽が埋まる頃…「S隊員」から、「これから登ります」とのメールが届いた。
到着する頃には暗くなってしまうだろう。
夜道の独り歩きは物騒だから、途中まで迎えに行こうかと考えたが…ま、あの大量遭難があった「北沼」(トムラウシ)で一人ビバークするようなヒトだから…大丈夫かと(勝手に)思い、夕飯の支度をする事にした。
今夜は、「白菜と豚バラのミルフィーユ蒸し鍋」をメインに、「ミョウガとカイワレのポン酢和え」「粗挽きソーセージ」「鶏皮の唐揚げ」(惣菜)の、居酒屋メニューだ。

少し風が出てきたので…天幕の中で調理する。
換気の為に開けた入口から、青白い月の光が差し込んだ。
鍋が出来上がる頃合いを見計らったかのように(どっかで見てたろ?)、汗だくになった「S隊員」が到着した。
「おかえりー」と言って迎える。
ドサドサと天幕内に荷物を放り込み、早速鍋をほうばっている。
月明かりが殊の外…明るかったらしく、ライトも点けず上がってきたそうだ。
一人で天幕泊をし始めた頃は、夜がおっかなくって、天幕から一歩も出られなかったらしい…相方も、こんなふうになってしまうノダ。
慣れ…って怖いな。

翌朝、突然…「ご来光出るョ~」と、4時前に叩き起こされた。
昨夜…山頂を包み込んでいたガスは晴れ、上空は一点の曇りも無い快晴で、眼下には乳白色の濃密でベルベットのような艶めかしい雲海が地表を覆い尽くしていた。
天幕を張った岩峰テラスは西向きなので、東向きの眺望が得られる…歩いて1分程の三角点山頂までビーサンを履いて行った。
生まれたばかりの太陽が雲海の彼方から昇り、世界を更新した。

天幕に戻って、再び…ぬくぬく寝袋に潜り込んで、二度寝する。
これこそ、山泊の最大の楽しみの一つである。
日帰り登山客がやってくるまでは、まだまだノンビリ出来る。
しかし、腹が減ったので…起床し飯を炊く。
「S隊員」にジャガイモの味噌汁を作ってもらい、京都帰省のお土産「とうがらしおじゃこ」(はなまるマーケットで、辺見えみりがオメザに持ってきた物で、司会の薬丸君も絶賛していた)で朝飯にする。
ノンビリ朝食を食べていたら…7時だというのに、早くも日帰り登山客が一組上がってきた。
朝飯を食い終わって、とりあえず…休憩場所を占領してしまっている天幕を撤収する。
岩棚の端っこに移動し、スケッチなどしつつ…怠惰な時間を過ごす。
ふと気がつくと…どんどんどんどん日帰り登山客が到着し始めて、岩峰テラスは急速に混み始めた。
快晴の日曜日だから、夏山シーズンを半年待ち望んだ人達も、お手軽低山を目指すのだろう。
しかし、昨夜…この場所で天幕を張って泊まっていた奴等が居たなんて、誰も気付かないだろう。

満員御礼の山頂をあとにして、下山する途中も…次から次に登山客が上がってきて、久し振りの「こんにちは地獄」を満喫させて頂いた(ここでも、mixi絡みの遭遇事件が!山の世界って狭いな)。
やっぱり…拙者は、ヒトの居ない静かな山が好きだな~。

ところで…以上を読んで、拙者が何故に山泊が好きなのか、お分かり頂けましたか?
全然分からなかった…と仰いますか?
でしょう…ね。
だって、好きな理由を説明すんの…すっかり忘れてたもんな(オイオイ!)。
しかしながら、この山行日記の行間を鋭く読み解けば…自ずと理解が叶う筈。
ただ、ひとつだけ言えるのは…山泊した故に、あの…雲海やご来光を眺められたノダ、という事。
山泊…そこには、誰も知らない山の表情がある。
山泊した者だけが知る得る…山の姿がある。という事です。

おわり。

【写真1】ぐびぐびぐびぐび…ヤラセでは無い!
【写真2】これを上回る面白い小説があるか?
【写真3】雲海とは良く言ったよな~まるで、島で泊まってるみたいだ♪
mojo196698さんのブログ-ML_CA3B00310001.jpg

mojo196698さんのブログ-ML_CA3B00280001.jpg

mojo196698さんのブログ-ML_CA3B0033.jpg

いやはや…久し振りの「円山夜景宴会登山」である。
今回は、2月に「イッチャンコッペ」に同行した…「デコポン隊員」と「クリオネ隊員」と一緒である。
因みに…両隊員の名前は、mixi名とは無関係である。
因みに…隊員名は各々の、尻ボの愛称である。
因みに…名付け親は拙者である。
因みに…拙者の尻ボは「赤い彗星」である。
因みに…「シャア・アズナブル」に似てると言われた事は一度も無い。

寒気が弛み、春らしいポカポカ日和になった平日の夕方…「マルヤマクラス」で待ち合わせ、夕食の買い出しを済ませた我々は、円山登山口へ向かった。
街中の雪は殆ど消えかかっているが、公園や山には、まだタップリ雪が残っている。
食糧を各々に振り分け、ヘッドライトを点灯させ、アイゼンを装着する。
「アイゼン要るかなぁ?ま、転ばぬ先のアイゼンって言うからな~」という渾身の山ギャグは、クールな「クリオネ隊員」に軽くスルーされた。
悔しいから、同じ事を「デコポン隊員」にも懲りずに言う。
優しい「デコポン隊員」は笑ってくれたが、暗いので…その表情までは分からず、本当に笑っていたかは不明である。

今回、「円山頂上で鍋をしよう」がコンセプトなので、デカザックに土鍋を入れて来た。
酒やら酒やら酒で、ザックは25kgを超えた。
普通に山を歩いていれば…「縦走ですか?」と尋ねられるデカザックで、「円山」如きに登るノダ。
それに比べて、「クリオネ隊員」のザックは何だ?
それ…トレラン用でしょ?…と、言いたくなるぐらい小さい。
振り分けた食糧は、全部…外付けされている。
面白いから、長葱をサイドポケットにそのまんまぶっ挿して、「マルヤマクラス」の夕食の買物客でごった返す人混みを歩かせて辱(はずかし)める。
まさか、こんなに容量の違うザックを担いだ両者が、同じ山に登る同一パーティーとは誰も思わない筈だ。

いざ、出発したはイイが…二人共、ヘッドライトが明らかに、おかしい。
「クリオネ隊員」のヘッドライトは、足元では無く…円山原生林の頭上の森を向いている。
一体、何を照らしたいのだ?
「デコポン隊員」のヘッドライトは、ぶらんぶらんして…クラブの照明みたいに、無意味にアチコチを照らしている。
一体、何を踊りたいのだ?
食糧を持ってる二人が足を滑らせ滑落して行方不明になると、鍋が喰えなくなるので…正しい装着方法を教えて登り始める。

円山夜景登山をする時は、地蔵コースを気味悪がるヒトも居るので、「地蔵コースにする?動物園コースにする?」と一応尋ねたりするのだが、地蔵達も未だ雪の下だから…有無を言わせず、地蔵コースを登る。
しかし、時折…そこだけ除雪された地蔵があったりする。
それどころか、マフラーやセーターを着せて貰ってる地蔵様もいる。
無機物の石で作られた地蔵は怖くもなんとも無いが、それらの…ヒトの思念が付加された途端に気味悪くなる。
「円山」で羆に出遭うのも嫌だが、地蔵にすがりついて泣く婆様の方がおっかない(地蔵にすがりついて泣く羆が一番怖いが…)。

「円山夜景登山」のメイン・シーズンは夏だが、冬の夜景も素晴らしい。
北海道特有のオレンジ色の街灯が、市街地に降り積もった雪を照らし、夜景はオレンジ色の海原に変わる。
しかし、夜景登山の演出的には、夏場の方がオススメである。
夏だと…頂上の岩場に着くまで、生い茂る木の葉に遮られ夜景は殆ど見えない。それ故、頂上に着いた時の感動は素晴らしい。
冬は、木の葉が落ち…登ってる最中でも振り返れば、裸木立の隙間からチラホラ夜景が見えるノダ。
夏並みの感動が欲しいなら、登山中ず~~~~っと俯いて夜景を見ないようにしなければならない。
個人的焦らしプレーだな。

山頂に着くと…勿論、誰も居なかった。
昼間、あんなに賑やかな円山山頂も、夜になると…独り占め出来るノダ。
とりあえず、夜景をノンビリ眺め…あれ?
ちゃんと、眺めてマス?
山頂は少し風があって寒かったので…二人共に早くも着込むのに忙しそうだ。
いやいや、大事な事です。
「寒い」と感じる前に、寒さ対策を採りましょう。
でも、拙者…全然寒くないんだけど?
そっかぁ、若いからかぁ~♪
いやいや、拙者だけデカザックに大汗かいて暑がってるだけナノか…。

頂上岩峰には、ほぼ真正面からの5~7m/sぐらいの風が吹き付けていたので、スノーブロックを積んで風避けを作る事にする。
円山山頂でスノーブロック積んだ人間も居ないだろうに。
その間、「クリオネ隊員」には食材の野菜の切り込み作業をお願いする。
円山山頂で野菜を切った人間は、何人か知ってマス。
食材をぶち込んだ土鍋を、ガソリン・バーナーに掛け、火が通るまで…ローソクに火を灯し「小樽雪灯りの路」風なオブジェを作る。
二人の女子隊員達が、ウットリ眺める。
ふふふ…♪ロマンチストな山男は、こんな技をも持っておるのだョ。
まだまだ、色んな…ロマンチック裏技を持っているが、それは追々見せていく事にしよう。
能ある鷹は爪を隠す…ノダ。

野菜が煮えたので、肉を投入し「物撮り」タイムだ。
うーん、やっぱり…鍋は、コッヘルよりも土鍋でやると雰囲気出て美味そうだ。
自宅で仕込んで来た…最近流行りの「胡瓜の塩麹浅漬け」を肴に、みんなで乾杯する。
初夜景宴会登山に警戒し酒を持って来ていない「クリオネ隊員」に、拙者の「クラシック」を一本進呈する。
やはり、ひと汗かいた後の頂上ビールは最高だ。
「味噌風味キムチ鍋」をフハフハしながらほうばる。
熱々の豆腐が美味い。

前回、夜景宴会登山をしたのは…昨年の夏だったか…。
ホームセンターで500円ぐらいで売ってる、簡易炭火コンロを使って、山頂バーベキューをして胃もたれにヤラレた。
暫く、夜景宴会登山をしていなかったが…やっぱり、楽しいな。
山登りを始めて、まだ一年足らずの新米隊員達には、山登りの概念を覆す山行だろうが、山はやり方次第で無限の楽しみ方が出来るノダ。
がむしゃらに山頂を目指すだけが山登りでは無い。
ほんの少しの遊び心で、山は…限りなく自由になる。
どう自由に遊ぶかは、各々の力量次第だ。
山で泊まる事を覚えれば、更に山は自由になる。
日帰り登山者達が帰路に就く頃、山は本来の静けさを取り戻し、山泊登山者だけのものになる瞬間を迎える。
山と夕陽と星空とビール。
いづれ、そう遠く無い将来…この隊員達も、その世界を見る事になるのだろうか…。

春と言えども、流石に体が冷えてきたので…撤収を始める。
もう少し居たそうな二人に…「泊まりたかったら、シュラフ貸すからね~」と言うがスルーされた。
デカザックのバランス調整の為に、ボトム(底)には冬用シュラフが入ったままになっている。
さてさて、じゃあ下山しますか。
尻ボを用意し、滑る気満々の二人だが…なかなか滑ろうとはしない。
そりゃそうだ。
昼間と違って、暗くて斜面の傾斜やギャップが全然見えないノダ。
登山道脇には古いショートカット用の尻ボ跡が幾筋も走っているが、残雪期特有の堅雪の轍の為…加速すると止まれる保証は無い。
しか~し!!真の尻ボリストたるもの、怖がっていてはイカンっ!!
斜面を見たら尻ボリストの血が騒がんか?
そんな君達に、我が敬愛する…アントニオ猪木氏の言葉を授けよう。
「元気ですかぁぁぁぁぁぁっ!」
あ…違った。
こっちじゃないな。

  この道を行けばどうなるものか
  危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし
  踏み出せばその一足が道となり
  その一足が道となる
  迷わず行けよ
  行けばわかるさ

暗闇に怯えとる場合では無い。残り少ない尻ボシーズンだ。思い残し無きよう、心置きなく滑りたまえ。
暗闇の向こうには、輝く明日が待っているノダ。

は?拙者ですか?
拙者は…ほら、デカザックだしぃ~、中には土鍋も入っているしぃ~、尻ボも持ってないしぃ~、ワインで酔っ払ってるしぃ~。

おわり。

【写真】円山山頂夜景(本物はもっとキレイ)
【写真】雪灯りの路風ローソクオブジェ(本物はもっとキレイ)
【写真】味噌風味キムチ鍋(本物はもっと美味い)
mojo196698さんのブログ-ML_CA3B0845.jpg

mojo196698さんのブログ-ML_CA3B0837.jpg

mojo196698さんのブログ-ML_CA3B08650001.jpg

蝦夷松と巨大な岳樺の森を抜けると…突然、目の前に白銀の雪原が現れる。
沼の存在を知らずに辿り着くと、その唐突な違和感に戸惑うぐらいに、山奥には不釣り合いな程に広大な空間が広がる。
ぽっかりと開けた空の下、遮る物も無い無垢なる雪原。
まるで異世界に迷い込んだような錯覚に陥る程、その光景は想定外の意外性を以て登山者を迎える。
夏でも、この沼の突然の出現には少なからず戸惑うのだが、積雪期の雪原に変貌した沼は、驚き以上の…どこか荘厳な、気圧されるばかりの神々しさすら放っているように感じる。

背中の重いザックを雪の上に無造作に投げ出すと、暫くの間は何も出来無くなる。
茫漠…と形容したくなるような、広がりを前にあらゆる思考が停止する。
遠近感を喪失した単一色(モノクローム)の景観に、視覚情報処理速度が限りなく鈍化する。
言葉を失い、立ち尽くしていた。
ただ、その場所に。


目指す稜線までは、まだ1時間以上掛かりそうだ。
稜線で雪洞を掘るなら、日没を迎える可能性がある。
体力が残っている内に、ねぐらを用意せねばならない。
しかし、果たして…沼の縁に雪洞を掘れる場所があるだろうか?
此処では、残雪期には何度も天幕を張った事はあるが、雪洞は試した事は無い。
いや…雪洞を掘ろうという発想すら無かった。
彼等と会うまでは…

数週間前…「万計山荘」に泊まる積もりで訪れた「空沼」で偶然、「道警山岳救助隊」所属の二名に会った。
彼等は、雪洞訓練の為の場所を探しに偵察行に来ていたのだ。
その時、以前読んだガイドブックの中に、稜線で雪洞が掘れる事が書いてあった事を思い出して彼等に伝えた。
と同時に、「空沼で雪洞泊が出来るのか」という素朴な疑問が自身の中に生まれた。
ガイドブックの情報を信じるならば、西風が吹きつける稜線には吹き溜まりや雪庇が発達し易く、雪洞が掘れるに十分な積雪量が見込める筈だった。
だが、稜線までは片道7km近いラッセルが必要だった。
その距離を重装備で辿り着けるのか?
更に、縦走路のある痩せた稜線に、十分な積雪量があるのか?
当初、他人事として聞いていた「空沼」での雪洞泊を、いつの間にか自身の事として考えている自分が居る事に気が付いた。
これだから、山ヤというのは困るノダ。
こんな面白そうな計画を知ったら、やりたくなってしまうのが…山ヤという人種なのだ(拙者だけか?)。
山ヤの思考パターンは、単純だ。
例えば…だ。
一つのピークを落とすと、そこから見えた新たなピークに登りたくなってしまう。
そのピークを登ると、また新しいピークを見つける。
この…延々と続く、終わりなき連鎖から逃れられない(逃れようとも思わない)。
それと、同じ理屈で雪洞泊を思い付くノダ。
「宿命」なんて格好イイもんでは無い。
単に、衝動を理性でコントロール出来無い…馬鹿ナノだ。
「あの山…格好良いな~、あの稜線歩いたら気持ち良いだろうな~。あのピークに立ったら何が見えるんだろ~?」
考える事は、至極…単純ナノだ。
こういう思考回路の持ち主の事を、世間では、一般的に「ジャンキー」(中毒者)と呼ぶ。
所謂、病んでるヒト達…なのだな。
(自分で言うのも、ナンだけど…)。

例年に比べ、雪が締まって歩き易かったが、30kgの装備を背負って、ここまで5時間近い登行で、かなり体力を消耗していた。
目的の稜線までは、届きそうにない。
「この辺りに掘ってみるか…」
辺りを見渡すと…沼の東側である、この辺りは吹き溜まっている場所がありそうだった。
蝦夷松の根元に、イイカンジに吹き溜まりがあったので…試しに掘ってみる事にした。
積雪量を知る為に少し掘り下げてみる。
なんとかなりそうだ。
恐らく…2m程は積もっているようだ。
先ずは…作業し易いように根元を除雪し、出入口を風下側にして掘り始めた。
作業と出入りがし易いように出入口は大きめにする。
外気を防ぐ為に…あとで、スノーブロックで塞げばイイ。掘り出した雪を搬出し易いように、十分な高さと横幅をとる。
雪質は、かなり締まっていて、切り出したブロックも重量感がある。
大きめに切り出したブロックは、あとで出入口を塞ぐ為に使いたいから、近くに積んでおく。
中腰でやると、しんどいので…膝立ちになって掘り進む。が、この体制も「腰」が入らずに、力が入れにくい。上半身頼みになり、運動量や消耗率がハンパない。限りなく…筋肉痛の予感がする。
もしかしたら…ダイエット効果があるかも知れない。
【モジョズ・セツドー・キャンプ】というDVDでも売り出そうか…。(この場合の【キャンプ】とは…文字通り【野営】という意味であるから、お間違えないように。)

雪洞掘りの隠れた問題に、「掘り出した雪の排雪問題」がある。
人間が入って、寝られる空間の穴を掘るという事は…その空間分の体積の雪を掘り出し、穴の中から搬出せねばならない。
ブロックで切り出せる内は、まだ楽だ。切り出したブロックを出入口に押し出し、手作業で搬出すれば良い。
しかし、床や天井を拡張しようと削り取ると、小さな砕片が雪洞の中に溜まり、いちいちシャベルで雪洞の外に出す手間がかかる。
そこで、雪洞の中にシートを広げ、そこに砕片を集める。ある程度溜まったら、外に出てシートごと引っ張り出して、排雪すれば良い。
これは、実際に経験した者でないと気づかない作業だ。
地味で面倒くさい作業だが、これが一番効率が良い。
二人以上で掘る場合は、掘削係と搬出係に作業分担すれば、更に作業効率は上がる。
今回は、単独作業ナノで…掘削と搬出を一人でこなす。

段々、深く掘り進むと…雪の締まり具合がハンパなくなり、シャベルが食い込まなくなってきた。
降り積もった雪では無く、沼面を風に飛ばされた雪が吹き溜まった雪だからか、積雪の密度が高く、堅く締まっているのだろうか…。
シャベルを小脇に抱え、体ごと体当たりするカンジで雪に突き刺しても、10cm程しか食い込まない。
30cm掘り進むのに、かなり…消耗する。
だが、中でノンビリするには、もう少し奥行きが欲しい。
せめて、シングル・テントよりは広くしたい。
しかし…そこで、力尽きた。
上腕二頭筋がパンパンだ。
腰も痛い。喉も渇いた。ビールが呑みたい。
そこで…拡張工事を切り上げ、内装工事に取り掛かった。
中に蒸気が溜まらないように、天井を出入口に向かって傾斜させる。
天井が溶けて滴(しずく)が垂れないよう、なめらかにする。
床をフラットに仕上げ、ロウソクを置く棚を作って…とりあえず、完成にした。
一人用雪洞ナノで、空気穴は省略した(何人かで泊まる場合は、開けたほうが良い)。
屋根の部分に、雪洞の存在を示すストックを立て、踏み抜き防止措置をする。
ま、この時期…ここまで、上がって来る変態な登山者も居ないだろうけど…。

床には、グランド・シートとテント・マットを敷くが、地表面が近いので底冷えを防ぐ為に、更に予備に持ってきたテントを広げて敷いた。
4シーズン用の分厚いエアマットを敷き、荷物を解くと雪の穴は一夜のネグラとしての雪洞に変身した。
とりあえず…冷えた体と雪洞内を暖める為に、お茶を淹れた。
相棒から譲り受けた…「コールマン」のガソリンストーブ(最近はバーナーって言うのか?)に火を点ける。
ポンピングして、プレヒートして…と、手間が掛かるが、寒い時は抜群に信頼性が高い。
シェラカップに沸かした湯から、湯気が立ち上って…計算通り、出入口に向かって流れ出て行った。
雪洞内で火を炊くと、内部の気温は0℃にまで上昇した。
雪洞内にゴロンと横になると、見慣れた天幕の天井とは違う景色に、何故かニヤリと笑ってしまう。
薄い布切れ一枚の天幕とは違い、厚い雪に守られてるカンジが居心地良い。
明るい内に夕食の準備に取り掛かる。
今日は、肉団子鍋だ。
自宅で仕込んできた肉団子の種を、沸騰した出汁の中に入れる。
少し出汁が足りなかったので…雪洞の壁を削り取って鍋に入れる。
これが、雪洞泊の便利なトコロだ。
我が家を拡張しつつ、水も採れるノダ。
ロウソクに点火し、ビールを開ける。乱反射した灯りが雪洞内を照らす。
LEDの照明は雪洞内では明る過ぎる。ロウソクぐらいが丁度良い。
100均(ダイソー)で購入した…6個入りの長時間燃えるタイプは、縦走にも必ず持って行く。昔は、ガスランタンを使っていたが、ロウソクの灯りには風情があり、煙草吸うのにも便利だから、今は専らロウソク主義だ(変な事には使わないョ)。

ヒト気の無い山奥で一人雪洞を掘って、肉団子鍋をしながら酒を呑む。
山をやらないヒトには、何が楽しいのか、全く理解出来無いだろうが…こんなに楽しい遊びは無い。
山で泊まる事の面白さは…山を、より身近に感じられる事だ。
日帰り登山では知り得ない、山の本来の姿が見られる事だ。
山の夕焼け、日没、星空、朝焼け、日の出…時間毎に刻々と変化する表情を目の当たりに出来る(ま、ビールかっくらって、殆ど見てないけど…)。
昼間の山は、本来の姿のほんの一面に過ぎない。
漆黒の闇が支配する夜の山は、決して眠りに就くワケでは無く、夜行性動物の気配が満ち、虫や鳥が鳴き、星が瞬き、月が照らす。
だが、山の夜は怖い。
理由も無く恐怖を感じる。
生物の本能的な、怯えや警戒感が思考肢体を支配する。
それは、我々の中に眠っていた防衛本能を喚起させ、我々がか弱い一個体である事を思い出させてくれる。
木の葉擦れの音や風が枝を揺らす音に怯え、得体の知れぬ気配に恐怖する。
それは、嘗ての森に暮らした祖先達の追体験でもある。
闇に怯えた祖先達は、身を守る住居を作り出し、火を焚いた。コミュニティーを形成し、社会を、文明を、創造した。
それは、安全保障という意味では進化であったが、自然との決別でもあった。
我々は、森で暮らす知識や技術を失い、暗闇に怯える感覚を失った。
山で泊まる…という事は、そんな人類の歴史の追体験であり、失った感覚を取り戻す擬似体験でもある。

夜半、トイレに起き出し雪洞を出ると、月が昇っていた。
月明かりに照らし出された沼や峰が妖しく浮かび上がっていた。
それは、この場所に泊まった者だけが見る事を許された…特別な景色だった。

翌朝、雪洞内は-10℃まで冷え込んだ。
起き出した時には、太陽は既に稜線の上に昇っていた。
外気を遮断する為に、出入口をスノーブロックやシートで塞いでいた為に外光が入らず、夜が明けた事に気付かずに寝坊してしまったノダ。
これは、雪洞泊の知られざる危険の一つだ。
朝食を食べ、雪洞を撤収すると…稜線にある真っ白いピークを目指した。
雪洞は埋め戻さずに、そのままにしておいた。
結氷した「真簾沼」を横切って、ピークへの最短ルートを進む。
岳樺の疎林を抜け、ジグを切りながらウインドクラストした稜線を詰め、のっぺりしたピークに上がった。
目の前に、今回目標としていた「狭薄山」(さうすやま)が見えた。
ピラミダルな美しい三角形の山容が眩しかった。
時間的に辿り着くのは難しく、次回の楽しみにとっておこう。
振り返ると…森の中にポッカリと開けた「真簾沼」が見えた。
今迄よりも更に、少しだけ…この山の事が解った気がした。

おわり。