山泊が好きだ。
今更だが…山で泊まるのが大好きナノです。
小屋泊でも天幕泊でも、露天泊でもビバークでも構わない。
兎に角、山で泊まるが好きで堪らない。
あ…露天泊というのは、つまり…天幕も張らずに寝袋だけで大地に横臥し眠る事である。
簡単に云うと「野宿」ですナ(想像以上に厳しいですっ)。
何故、拙者がこれほどまでに山泊が好きになったか…それを、言葉で説明するのは困難極まりない。
…ので、今回は得意のダンスで説明しようと思ったが、更に困難である事に、さっき気がついた。
…ので、具体的に山行を例に採り、説明いたす所存である。
今回の目的地は…函館本線で「小樽」の隣駅である「塩谷」から、簡単に登れるお手軽低山「丸山」である。
通称…「塩谷丸山」。
略して…「塩丸」。
あ…山ヤって、山岳名称を略して云うの好きですよね?
例えば…「定山渓天狗岳」は「定天」。「銭函天狗岳」は「銭天」。「歩行者天国」は「ホコ天」。「イカすバンド天国」は「イカ天」。
もう、山…関係無くなってるしぃ!
例えば…ニセコ「イワオヌプリ」は「イワオ」。「チセヌプリ」は「チセ」。「アンヌプリ」は「アン」。
…とは言わない。何故だろ?
色っぽ過ぎるからかな?
例えば…「トムラウシ」は「トムラ」。「オプタテシケ」は「オプタテ」。「ニセイカウシュッ…あ!イテっ、舌噛んだ!
アイヌ語の山名難しいんだョ。拙者ですら噛みまくるし…。
あ、だから、略すのか…(納得)
えっとぉ…何の話だっけ?
ああ…「塩丸」だっけ?
直ぐ脱線しちゃうんだよな~(今回も長くなるから、覚悟しなさいよ~)
ハナシを「塩丸」に戻す。
のんびり歩いても1時間半ぐらいで登れてしまう…低山に、今回も天幕泊で行くノダ。
「塩丸」…個人的には、登山道が硬くて(踏み固められて)、単調で、人多くて…余り好きじゃ無い山だが、海を見下ろす眺望は一級品である。
今年、残雪期山スキー特集で「ヤマケイ」にも取り上げられてたもんな~(海に向かって滑降する…気持ち良さげな写真が載っていた)。
小樽駅前「長崎屋」で買い出しをし、駅中の北海道初上陸「バーガーキング」で遅めの昼食を採り、JRで「塩谷駅」に到着後、食糧をパッキングし、登山口へ向かう。
時刻は、日帰り登山客が下山し終える午後4時。
人気の「塩丸」からヒト気が消える頃合いを見計らっての極秘の入山は、この山を独り占めするが為の鋭い作戦である。
今シーズン無積雪期初のデカザックなので…ノンビリ登る。
無理なペースアップは、筋肉痛の元だ。
しかし、地味にキツい登行に汗が滴り落ちる。
気温は15℃ぐらいだが、デカザックを担いでいると、発汗が止まらない気温だ。
ガチガチに踏み固められた…風の抜けない直登ルートを詰め、九十九折りルートに差し掛かった頃になって、やっと筋肉が温まり始めて楽になる。
足元に、ハクサンチドリがちらほら見えだした頃、樹林帯を抜け笹原に出た。
反射板の所で一度休憩して、クールダウンしてから頂上の岩峰を目指す。
最後の登りに差し掛かった時、目指す岩峰にチラチラと動く人影を発見した。
時刻は夕方の5時になろうとしている。こんな時間まで、頂上で粘ってる奴らが居るのか?
まさかっ…!!
頂上天幕泊作戦の先客か?(ナイナイ…)
確かに…この山頂は大層居心地が良く、天幕を張りたくなる場所ナノだ。
しかし…普通の、常識ある、正常な、一般的な、登山者であれば、そんな変態な…もとい!酔狂な企画は思いつかない筈だ。
恐らく…「天狗山」か「穴滝」からの日帰り縦走者であろう。
もしかしたら、山の常識を知らない…ドシロウト登山客か?
良く頂上夜景天幕泊をする「手稲山」にも、ライトも持たずに夕方まで粘っているドシロウト登山客を見掛ける。
「手稲山」の場合、テイネハイランド側に下りれば…立派な舗装道路があるから暗くなっても大丈夫だが…。
三角点のある頂上から、祠のある見晴らしの良い岩棚へ向かう。
そこには、男女5名のパーティーが身支度を整えていた。
装備や服装を見る限り…危惧していたドシロウトでは無いようだ。
やはり、縦走してきたか…若しくは、ちゃんと日没時間を計算してノンビリを満喫していたパーティーらしい。
とりあえず…挨拶を交わし、背中の重いザックを下ろす。
途中、全く水分補給をしなかったので喉がカラカラだ。
せっかく、イイカンジで汗をかいたので…頂上ビールの為に、体を思いっ切りドライなコンディションにしておく…という、鋭い作戦ナノだ。
ザックを下ろすなり、荷物を弄(まさぐ)って「クラシック」を取り出し、プシュッと開け、ぐびぐびぐびぐび…と喉に流し込んだ。
なんだか…視線を感じて、先程のパーティーを見ると、訝しそうにチラチラと見られていた。
むふふふ…拙者は、今日此処で泊まるから飲んでもイイんだもんね~♪
ザックには、まだ…二本残ってるから、イイんだもんね~♪
…と、更にぐびぐびした。
ま、普通…場違いなデカザック担いで、頂上着いた早々ぐびぐびやってる奴見たら怪しく思うわ…な。
しかし、後で知った事だが…実は、その5人パーティーに居た山女子は昨年秋マイミクになったばかりヒトだったノダ。
もう一人の山女子も、mixiで良く良くお名前を存じ上げてるヒトだった。
二人共、実際に会った事は無かったのだが…「山頂で、いきなり…クラシックを飲んでたのを見て、ピンときた」と「つぶやき」にコメントされてしまった。
一体、拙者のイメージはどうなってんだ?
ま、間違ってはいないか…
彼らは、縦走では無く、頂上で焼き肉をして、岩登りをして満喫していたらしい(拙者と似たり寄ったりじゃないか?)。
5人パーティーが去ったアト、「クラシック」を片手に煙草をくわえながら…ダラダラと天幕を設営する。
今回、相方の「S隊員」は所用があり、頂上で後程合流する…という、「どんだけ、現地集合やねん!?」という作戦だったので、拙者の四人用天幕を担ぎ上げて来たノダ。
凡そ、かれこれ…25年前から使っている「ダンロップH型山岳用天幕」は、旅人時代を含めて300泊ぐらいした有形文化財級の骨董品である。
再来年あたり、世界遺産に登録される…というようなハナシは、一切無い。
天幕の横っ腹には、「五色温泉」でキツネに食い破られた大穴を補修した跡が痛々しい。
ガレガレの岩峰テラスの、そこだけ地面が露出していた場所に設営する。少々傾斜しとるが…ま、気にはしない。
風は殆ど無いが、一応ペグを打ち、張り綱を石に括りつけておく。
風抜けの良い…吊り下げ式ダブル・ウォール天幕ナノで、滅多な事では飛ばされない。
天幕設営を終え、荷物を解くと…昨年から使い始めた「折りたたみリクライニング山用座椅子」を持ち出し、「クラシック」を飲みながら「プリングルス」を摘みつつ、読みかけの小説…「深海のYrr」(フランク・シェッツィング著)ハヤカワ文庫を読む。
ふと気がつけば…先程、地表を覆いかけていた低い雲がドンドン成長し、立派な雲海になりつつあった。
小樽方面から流れてきた雲の絨毯が、眼下の稜線の鞍部を乗り越え、海側の雲海と合流した。
もはや、小説どころでは無い。
視線は刻々と千変万化する雲を捉えたまま、片時も離れようとはしない。
どんなに面白い小説でも、大自然のショーには適わない。
雲海に赤く染まった落陽が埋まる頃…「S隊員」から、「これから登ります」とのメールが届いた。
到着する頃には暗くなってしまうだろう。
夜道の独り歩きは物騒だから、途中まで迎えに行こうかと考えたが…ま、あの大量遭難があった「北沼」(トムラウシ)で一人ビバークするようなヒトだから…大丈夫かと(勝手に)思い、夕飯の支度をする事にした。
今夜は、「白菜と豚バラのミルフィーユ蒸し鍋」をメインに、「ミョウガとカイワレのポン酢和え」「粗挽きソーセージ」「鶏皮の唐揚げ」(惣菜)の、居酒屋メニューだ。
少し風が出てきたので…天幕の中で調理する。
換気の為に開けた入口から、青白い月の光が差し込んだ。
鍋が出来上がる頃合いを見計らったかのように(どっかで見てたろ?)、汗だくになった「S隊員」が到着した。
「おかえりー」と言って迎える。
ドサドサと天幕内に荷物を放り込み、早速鍋をほうばっている。
月明かりが殊の外…明るかったらしく、ライトも点けず上がってきたそうだ。
一人で天幕泊をし始めた頃は、夜がおっかなくって、天幕から一歩も出られなかったらしい…相方も、こんなふうになってしまうノダ。
慣れ…って怖いな。
翌朝、突然…「ご来光出るョ~」と、4時前に叩き起こされた。
昨夜…山頂を包み込んでいたガスは晴れ、上空は一点の曇りも無い快晴で、眼下には乳白色の濃密でベルベットのような艶めかしい雲海が地表を覆い尽くしていた。
天幕を張った岩峰テラスは西向きなので、東向きの眺望が得られる…歩いて1分程の三角点山頂までビーサンを履いて行った。
生まれたばかりの太陽が雲海の彼方から昇り、世界を更新した。
天幕に戻って、再び…ぬくぬく寝袋に潜り込んで、二度寝する。
これこそ、山泊の最大の楽しみの一つである。
日帰り登山客がやってくるまでは、まだまだノンビリ出来る。
しかし、腹が減ったので…起床し飯を炊く。
「S隊員」にジャガイモの味噌汁を作ってもらい、京都帰省のお土産「とうがらしおじゃこ」(はなまるマーケットで、辺見えみりがオメザに持ってきた物で、司会の薬丸君も絶賛していた)で朝飯にする。
ノンビリ朝食を食べていたら…7時だというのに、早くも日帰り登山客が一組上がってきた。
朝飯を食い終わって、とりあえず…休憩場所を占領してしまっている天幕を撤収する。
岩棚の端っこに移動し、スケッチなどしつつ…怠惰な時間を過ごす。
ふと気がつくと…どんどんどんどん日帰り登山客が到着し始めて、岩峰テラスは急速に混み始めた。
快晴の日曜日だから、夏山シーズンを半年待ち望んだ人達も、お手軽低山を目指すのだろう。
しかし、昨夜…この場所で天幕を張って泊まっていた奴等が居たなんて、誰も気付かないだろう。
満員御礼の山頂をあとにして、下山する途中も…次から次に登山客が上がってきて、久し振りの「こんにちは地獄」を満喫させて頂いた(ここでも、mixi絡みの遭遇事件が!山の世界って狭いな)。
やっぱり…拙者は、ヒトの居ない静かな山が好きだな~。
ところで…以上を読んで、拙者が何故に山泊が好きなのか、お分かり頂けましたか?
全然分からなかった…と仰いますか?
でしょう…ね。
だって、好きな理由を説明すんの…すっかり忘れてたもんな(オイオイ!)。
しかしながら、この山行日記の行間を鋭く読み解けば…自ずと理解が叶う筈。
ただ、ひとつだけ言えるのは…山泊した故に、あの…雲海やご来光を眺められたノダ、という事。
山泊…そこには、誰も知らない山の表情がある。
山泊した者だけが知る得る…山の姿がある。という事です。
おわり。
【写真1】ぐびぐびぐびぐび…ヤラセでは無い!
【写真2】これを上回る面白い小説があるか?
【写真3】雲海とは良く言ったよな~まるで、島で泊まってるみたいだ♪








