いやはや、皆様…新年あけましておめでとうござりまする。
頑なに山頂を踏まない登山家…「もじょ」でございます。
新年早々、相変わらずの…山頂を踏まない山馬鹿日記にお付き合いいただきたく、謹んで拙文を新春にお届けいたす所存でございます。
さてさて、昨年は…久し振りに山で年越しを果たしたものの、準備に手間取ったりしたのもあり、企画していた「イグルー年越し泊」を出来ずに、単なる…平凡な年越し雪山テント泊になってしまい、大変心残りな一年を過ごしたので、「今年こそはっ」と気合いを入れ直し、晦日から準備に取りかかり、無事に大晦日の午前中に自宅を出発したノダ。
昨年同様…「このヒトは、大晦日にバカデカい荷物を担いで、シャベルやノコギリやスリッパの化け物みたいなモノ(スノーシューね)を背負って、一体全体何処に何をしに行くのかしらん?」という訝し気な地下鉄客の視線に晒される快感を味わいながら、お馴染みの「手稲山」に向かったのである。
今年は、シフトの巡り合わせが良く、年末年始に4連休を獲得したので、ニセコや中山峠方面への遠征も考えたが、「年越しには紅白歌合戦を見なければならない」という先祖伝来のシキタリがあるので、ワンセグ電波の確実に採れる…毎年お馴染みの「手稲山山麓」(手稲山山頂にはワンセグ電波送信用アンテナがある)に目的地を選定した次第だ。
バスの終点「平和の滝入口」で下車し、通い慣れた…「永峰沢」方面へ向かう。
昨年は、行き先を迷ったあげく、「キノコナイ キャンプ場」(秘密のテン場)に向かったワケだが、陽の当たらない沢沿いだった為、大層…寒い思いをしたので、今年は以前から目を付けていた、日当たり良好な放棄された造成地(らしき場所)に向かった。
市道脇で装具を整え、造成地へ向かう…夏場は藪に閉ざされた林道に取り付く。
暫く降雪が無いので、古いノルディックスキーのトレースが残っているだけで、新しいトレースは無く、いきなりの脛ラッセルに途端に息が上がる。
だが、造成地までは…わずか、200mそこそこの距離ナノで、汗をかく前にラッセルは終了した(近過ぎるだろっ?)。
一面の雪原と化した造成地には、蝦夷鹿と蝦夷雪兎の足跡しか無く、藪も雪に隠れていた。
とりあえず、一服して…イグルー制作用の服に着替える。
イグルー制作は、スノーブロックを抱えて運んだり、膝立ちになってブロックを切り出したり、意外と濡れるのでゴア合羽を着て、ホーマックで買った防寒ゴム手袋を履くノダ。
とりあえず、ブロックを切り出せる積雪量があるか…確認する為に雪面を掘ってみるが、1m足らずで地面が出てきてしまった。
ま、スノーブロック自体は30cmぐらいの厚みで切り出すから、それだけあれば十分ナノだ。
但し、未だ積雪量が少なく、寒さも厳しくないので、至る所に…ザラメ状のサンクラスト(や、レインクラスト)した…所謂「弱層」が見受けられ、切り出しには苦労しそうだった。
作業し易いように雪面を踏み均し、イグルーの基礎面積を決める。
基本的に、イグルー制作の難易度は、そのサイズに比例する。
イグルーの直径を余り大きくすると、積み上げた際に高くなり過ぎて作業が困難になるし、使用するブロックの数も増え、切り出し作業量も増えてしまうノダ。
今迄の経験から、ブロックは螺旋で6周(つまり、6段)するぐらい、積み上げるブロック数は40個前後にしないと、作業効率が下がり、時間が掛かってしまう事は分かっていた。
基礎ブロックは、構造物を安定させる為に少し大きめの40×40×50cmに切り出す。
寒さが厳しくないので、湿った雪質のブロックは一個で10kg近くになり、運ぶのに苦労した。
オマケに、締まってない雪だから運んでる途中で崩れたり、弱層部分で割れたりして、ブロック相手に悪態をついたり、崩れたスノーブロックを蹴飛ばしたり、一人暴れてしまった(何しとんねん)。
何時もは、反時計回りに積み上げて行くのだが、今回は試験的に時計回りに積み上げてみる。
だが、慣れない方向に要領が判らず、やりにくい。
二段目を積み上げたトコロで、冷静になる為に一度休憩する。
作業自体は、ルーティーンが完成しているから、いちいち考えて動かなくて済むようになったが、雪質の悪さに要らぬ苦労が続き、早くもビールが飲みたくなってきた(もう集中力が切れとる)。
それでも、泊まり用イグルーなので、隙間風が入らぬよう丁寧に積み上げなければならない。
凡そ、2時間で6段目が乗り、屋根が完成した。
初めてイグルーを作った時は、6時間以上掛かっていたから、技術的には確実に向上しているノダ(早く呑みたいだけだろ?)。
何時もなら、イグルー内を掘り下げ雪面下に出入口用トンネルを掘るのだが、今回は積雪量が少ないので、掘り下げる事が出来ず、イグルーの壁に穴を直接開けてみる事にした。
ドキドキしながらスノーソウをキコキコしつつ、逆U字型に出入口を開ける。
立体パズル「ジェンガ」じゃ無いが、一番下のブロックを取り去るワケだから、下手したら全体が崩れる可能性がある。
螺旋状に組み上げてるから、原理的には重力バランスは下方向だけで無く、横方向にも掛かっている筈…
キコキコ…キコキコ…
ドサッ!!!
うわぉぉぉ~!
二段目のブロックが崩れ落ちてしまった!
しかし、崩落はそれ以上は起こらなかった。
ブロックは螺旋状に、下側のブロックと交互になるよう(レンガ壁みたいに)積み上げてあるので、崩落は止まったノダ。
いやあ、ドキドキしたな~
ここで崩れたら、また…テントで年越しする羽目になるトコだった。
開けた出入口から中に入って、床に溜まった雪を排出し、寝やすいよう床をフラットに均す。
「こんなもんかな?」と、水平を確かめるべく横になると…
なんという事だ。
思いっきり、足がイグルー外にはみ出すではないかっ!?
うぬぬぬ…。
完璧に、最初の床面積(直径)計算を間違えてしまったノダ。
いつもなら、雪面を掘り下げて内部を拡張するのだが、積雪量が少ないから…183cm以上(身長)に広げる余裕が無い。
仕方ない。出入口の外にブロックを積んで、はみ出した足が外気に触れぬようにするしか無い。
追加工事30分。
トンネル状に出入口を延長し、なんとか…寝られる面積を確保した。
さあさあ、陽は西の稜線に沈みつつある。待ちに待ちに待ちに待ちに待ちに…(どんだけ待ったんやっ!?)待った、ゴクゴクタイムだ。
荷物を広げ、下半身をシュラフに突っ込んで、両足腹背中に使い捨てカイロを貼り付け、インナーダウンを着込み、一番搾りをプシュッとする。
グビグビグビグビ…ぷっはぁ~。
肉体労働を終えたアトの一杯は格別である。
内壁に蝋燭を灯し、こないだ「秀岳荘」で衝動買いした「ソーラーパフ」という…太陽電池利用のLEDランタンを点けると、乱反射した光がイグルー内を驚くほど明るく照らした。
今夜は、「牛モツ鍋」をメインに、「お刺身」と「数の子」「焼き豚」「しば漬け」(本場京都大原の帰省土産)だ。
酒も「一番搾り」を筆頭に、「久保田(千寿)」(日本酒)「ジャックダニエル」(テネシーウイスキー)と準備に怠りは無いっ。
イグルー内は、ほぼ0℃で手袋も要らないぐらいに暖かい。
いや、暖かいワケでは無いっ。
あくまでも、外気温やテント泊に比べれば少々高いという程度だ。
だが、昨年のー6℃に比べれば…。
紅白歌合戦が始まるまで少し時間があるので、昼飯用に持って来て、結局食べ忘れた「DONGURI」(札幌の有名なパン屋さんね)の「ガーリックフランス」を肴にジャックダニエルをゴロゴロしながら呑む。
BGMに付けたラジオからは、札幌市西区にあるコミュニティーFM曲「三角山放送局」が流れている。
年末進行なのか、DJ(と言っても近所のオジサンオバチャンなんだが)のお喋りは無く、PCに取り込んだ曲を延々とランダムに流していているようだ。
その…ランダム具合が面白い。
昭和ムード歌謡が流れたと思ったら、次はストーンズで、突然…クラシックが流れたりする。もう、ムチャクチャだ。
途中から、紅白で大トリを努める聖子ちゃん特集になり、イグルーに寝転がって聴く「夏の扉」などは、なかなかシュールで良かった(何のハナシをしとるんだ?)。
やがて、紅白歌合戦が始まり…それを見ながら鍋を摘みつつ、数の子をかじったり、ブリトロをしゃぶったりしつつ、一人宴は進行した。
久し振りのボスキャラ幸子が登場したり、朝ドラ「朝がきた」の主題歌(出演陣も登場)があったり、殆ど動かないで唄う…オバチャンNOKKOが居たり、それなりに楽しめた。視聴率は悪かったらしいが…大晦日は、やっぱり紅白歌合戦ナノだ。
「赤いスイートピー」を情感豊かに歌い上げた聖子ちゃんが登場した頃には、「久保田」も無くなりかけていたが、それに反して…殆ど酔いは回っていなかった。
一人だと呑むペースがゆっくりだし、更に気温は0℃を保ったまんまだから、酔っ払うには至らないノダ。
翌朝、初日の出は…寝坊して見忘れた。
そもそも、此処からは東側に「五天山」なんかがあって見えないノダ。
陽が差すと、日当たり良好な場所に建てたイグルーが溶け始め、天井からはポタポタと水滴が落ち始めた。
ドリフのコント並みに滴が落ちるもんだから、オチオチ朝飯も食っていられず、外に出て昨晩のモツ鍋の残りにマルタイラーメンの麺を入れて、余った一番搾りと共に食した。
念願の年越しイグルー泊は、この時期には、この標高では…色々と難しい事が分かった。
しかしながら、イグルーで二泊経験して色々勉強になった。
本来的には、雪山泊の新しい方法論としてのイグルーであったから、次は…いよいよ、一泊縦走本番でのイグルー泊に挑もうと思う。
イグルーは、あくまでも…手段であって、目的では無い。
誰も居ない雪山の奥地で、過ごすイグルー泊を夢見て、新鮮な気持ちで帰路に就いた。
おわり。
【写真1】イグルーの奥には阿部山が見える…雪原と化した造成地
【写真2】ローソク点灯。LEDには無い風情がある。
【写真3】ごちゃごちゃしとるが、一人宴メニュー。








