いやはや…なかなか雪山モチベーションが上がらず、怠惰な生活に甘んじて、ごくごくが過ぎて猛省の日々を過ごす…お馴染み「頑なに登山道を歩かない登山家」のもじょで御座りまする。
昨年は、毎週のように吹雪かれても雪山に通っていたのに、今年は何故だかモチベーションが上がらない。
別に雪山に飽きたワケでも無く、ラッセルに疲れたワケでも無い。
ただ、なんとなく…やる気が起こらないだけで、そういう時期って誰にもあるのではないか?
倦怠期というか、ちょっと距離を置きたい感じ?
別に理由は無いけれど、なんとなく…な感じ。
モチベーションを上げる為には、SNSやブログで他の人の山行報告を見たり、雑誌の雪山特集を読んだりすべきなんだろうが、拙者のようなスタイルで低山バリエーションをやってるヒトも居らず、インスパイアされる事も少ない。
そも、山頂を目的としない山行自体が、極めて邪道であり、変態チックなので仕方ないかも知れない。
ならば、拙者が雪山に求めるものは何なのか?について暫し考えてみた。
一般的に山行目的地を決める時には、ガイドブック等を参考にする場合が多いだろうが、拙者が山に行く時は地形図に頼る事が多い。
地形図を詳細に読み解き、面白そうな地形や、見晴らしの良さそうな場所に興味が向かう。
例えば…なだらかで広い尾根や、見晴らし良さげな稜線、複雑に入り組んだ枝尾根や、そこに挟まれた谷からコルに繋がる源頭地形。
結氷している筈の夏は行けない沼や、一般ルートから外れたマニアックなアプローチが出来る場所。
造山過程に於いて興味深い特徴的地形のある場所や、誰も興味を示さないような記録の無い無名峰。…等々である。
山頂が目的で無いから、折り返し地点はランチをした場所か、時間切れ体力切れか、ココロ折れた地点になる。
或いは、良さげな尻ボ斜面を見つけた場合は、その周辺で折り返す事も良くある。
一応、地形図を見て事前に大体の計画を立てるが、気になる場所を見つけたら、その場所をチェックせずにはおれないから、その場で行き先を変更したりもする。
そんな地形図だが、発行元の国土地理院には悪いが、現場の地形とは全く違う場合もあり、全面的に信用しているワケでは無い。
現場に行ってみたら、地形図には無い尾根があったり、沢があったり、崖や岩峰があったりする事は決して珍しくは無い。
無積雪期に撮影された航空写真を元に作成される地形図には、樹木に隠された岩尾根や岩峰が写らない場合もあり、作図段階で見落とされる事もしばしば起こるようだ。
ま、そんな細かい事を気にする質(たち)では無いし、現場の地形を観察しながら登行ルートを選択するので、地形図はあくまでも目安程度に考えている。
この日、登行していた痩せた岩尾根も、地形図には載っていなかった。
場所は、昨年歩いて途中撤退した…小金湯温泉近くの、「神威岳」から南側に連なる尾根の末端だった。
昨年登行した尾根は、等高線を一本見逃していた為、大変な急登を攀じる失敗を犯したので、今回は別の枝尾根に取り付いたワケだが、地形図で登行可能とみた尾根は、どんどん痩せて行き、終いにはスノーシューでは到底歩けない岩尾根になってしまったノダ。
尾根の東側は、50m程の懸崖になっており、雪も殆ど付いておらず仕方なく回り込んだ西側斜面も60度を超えた急斜面だった。
立木が密に生えているから、落ちても引っ掛かるだろうが、トラバースするのは緊張を強いられた。
こんな事なら、左手の沢形を詰めて、源頭地形からコルに乗ったほうが楽だったかも知れない。
遅々として進まない登行に嫌気がさして来た頃、やっとのことでなだらかな場所に辿り着いた。
枝尾根の合流点で、昨年下降に使った小ピークからは、眼下に砥山ダムや小金湯温泉が見え、「八剣山」や遠くには「藤野富」が見えていた。
「百松橋」を渡って、林道に取り付いてから2時間が経っていたが、眼下にはまだ「百松橋」が見えていた。
水平距離にして、僅か500mにも満たない距離に2時間もかかってしまった事になる。
快晴だった昨日の天候のせいで、雪面はガリガリにサンクラストしており、所謂…「最中雪」というヤツで、その下は先週の積雪の柔い雪が1m程も積もっていて、再び股(もも)ラッセルの厳しい戦いが続いていた。
こないだの「阿部山」股ラッセル山行から2週間程雪山をサボってしまったので、体がなまっていたのもあるが、最大の失敗は…この枝尾根が地形図とは全く違う、懸崖に挟まれた岩尾根だった事にあった。
地形図で見る限り、決して攀じれない斜度ではなかったし、前回よりも緩やかな尾根を選んだ積もりだったのに、この様だ。
こんなに鋭い尾根は、地形図の何処を探しても見当たらない。
取り付き尾根を間違ったか?とも思ったが、周辺にも…こんな懸崖表記は見当たらない。
明らかに…地形図の表記が現場とは違い過ぎるノダ。
荒い呼吸を整えながら、何度も地形図を確認したが、林道湾曲部から取り付いた尾根は間違えようが無いぐらい判り易かった。
やっとのことで主尾根に乗れたから、これからの行程は幾らか楽になるだろうが、またしても960Pへは届かないかも知れない。
ま、そのピークへのこだわりは無いが、そのピークまで上がれば「神威岳」や「烏帽子岳」、更に南側の「定山渓天狗岳」が見える筈だったし、960Pから連なる緩傾斜の稜線歩きも気持ち良さそうだった。
テルモスのコーヒーと「三方六」の端っこ(まだある)で補給して、昨年上がってきた枝尾根合流点を過ぎた時だった。
ふと何気なくみたスノーシューに異変を感じた。
スノーシューの先端が、異様にしなっていたノダ。
ん?何か変だ。
良く見ると、モノコックの本体と、裏の縦歯を繋いでいるビスが無くなっていた。
そのせいで、先端が雪面に踏み込んだ際にしなって、大きく反り返ってしまっていた。
折れ曲がった根元の本体部分には、圧力がかかり白っぽく変色し、皺がよっていた。
今日は、何度か踏みつけ固めた筈のステップが滑って、何度かずっこけそうになっていた。
その原因が、ビスの欠落だったノダ。
うむむむ、このまま登行を続けたら、先端部分が折れてしまうかも知れない。
とりあえず、応急補修してみよう。
ザックの中の「お助け袋」から細引きを取り出し、欠落したビスの穴と本体の穴を繋げて括ってみた。
しかし、素手になって作業しても、ものの数分で手がかじかんでしまい、キツく結べない。
んにゃろー!
こ~ゆ~時、結束バンドがあると便利なのになぁ。
今度から、「お助け袋」に結束バンドを何本か入れておこう。
とりあえず、応急補修は済ませたが、ちゃんと補修するには…ボルトとナットでガッチリ締め付けなければならないだろう。帰り道に「藤野」のホーマックに寄って行こう。
時計を見ると、まだ11時だったが…今日は無理をしないほうが良いだろう。
潔く撤退し、小金湯温泉「まつの湯」で昼飯食って、ノンビリして帰ろう。
昨年、取り付きに使った沢形に下りるコルから、尻ボでドロップインする。
日陰の谷筋はサンクラストしておらず、フワフワ雪で表層雪崩と共に尻ボった。
2時間半掛けて登った高度だが、下山は僅か10分だった。
この儚さが堪らない。
林道に下りると、トボトボと歩いて「百松橋」に戻って、国道を「小金湯」に向かう。
久し振りに「まつの湯」に来たが、土曜日の昼間なのに露天風呂は貸し切り状態だった。
もう一軒の「小金湯」のほうは混み合っていそうだが、拙者は…昭和チックな「まつの湯」がお気に入りだ。
昼飯は「ザンギ定食」に「ラクヨウのみぞれ和え」をプラスして、「クラシック」の生ビールと共に。
帰宅してから、スノーシューをボルト(ネジ)とナットで補修し、恵方巻きを食べて、爆睡した。
今回…再挑戦した960Pだが、なかなか稜線には辿り着けない。
そういえば、アプローチ林道には一週間前ぐらいに付いたと思われる一人分のスノーシューのトレースがあったが、トレースの主は何処へ向かったのだろう?
林道自体は行き止まりになっているが、バリエーション・ルートで「神威岳」を目指したのだろうか…。
960Pには、もう少し雪が落ち着いてから、再々チャレンジしてみよう。
そろそろ、雪山泊(イグルー)もしたいし、久し振りに「空沼」にも行きたい。
泊まりなら、橇にザックを積んで行ってみよう。
色んな雪山妄想が膨らんでくると、自然とモチベーションが上がって来た。
モチベーションを上げるには、妄想が一番かも知れない。
おわり。
【写真】百松橋(神威岳に向かう百松林道に掛かる橋が崩落の危険性がある為、橋には通行止めの看板があった)
【写真】スノーシューを補修
【写真】見かけはダサいが、最強。防寒テムレス。








