柔道漫画玄人のコーナー!
野球漫画の大家、水島新司先生が死去されました。
私の場合、野球はほとんど興味がありません。
しかし、水島新司先生は柔道漫画を描いた漫画家の一人として、尊敬をしております。
なんと言っても『ドカベン』は、元々は野球漫画ではなく柔道漫画だった…と言われていますから。
柔道漫画玄人を自称している以上、ドカベンも柔道の話で進行しているところまでは把握していなければならないでしょう!
当然、柔道のパートのみ保有してます(笑)
というわけで、本日は水島新司先生の追悼の意を込めて、ドカベンが柔道漫画から野球漫画に移行していった経緯を改めてまとめたいておきたいと思います。
意外とビックリしますよ。
~ドカベンが柔道から野球に移行していくまで~
舞台は鷹丘中学校。
ストーリーは、番長の岩鬼が、学校の厄介者として、各運動部の副将達に襲われるところから始まります。岩鬼は多少の怪我こそしますが、身体が頑丈なために反撃をしようとします。
大喧嘩へと発展するかと思われましたが、生徒会長が表れ、両者に退学を示唆し喧嘩は収まります。
その日、山田太郎は鷹丘中に転校してきます。
タイトルの【ドカベン】にあるように、山田太郎はカバンにギリギリ入るくらいのサイズの大きな弁当箱(通称・ドカベン)を学校に持ってきていました。
番長の岩鬼も、大きな弁当箱を持ってきていたのですが、山田のほうが弁当が大きく、岩鬼から目をつけられ喧嘩を売られます。
岩鬼は、山田との決闘の場所として、放課後に野球部のグラウンドを占拠しました。
野球部が「練習ができない。」とクレームを入れますが、野球部側にも朝に岩鬼を襲った落ち度があり、なんだかんだで、岩鬼と山田は、【野球部の主将・長島の投げる球をどちらが打てるか?】で決着をつけることになります。
ここで、二人とも空振りに終わるのですが…
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/fd/15/j/o1080096015063207545.jpg?caw=800)
野球部主将の長島は、山田のスイングの凄さに気付きます。
その夜、舞台は変わって…。
柔道部主将・木下(通称・わびすけ)と、柔道部員の丹下が公園で、柔道の決闘をしていました。
この勝負は、丹下が勝ったのですが、たまたま通りかかった山田は、ボロボロにされていた木下を助けることとなります。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/b9/eb/j/o1080081715063207547.jpg?caw=800)
実は、喧嘩を売ったのはボロボロにされていた木下のほうでした。
丹下は柔道二段の実力者で、弱小柔道部に見切りをつけて退部しようとしていたのですが、木下からすると、丹下に辞められると団体戦に出れず、部の存在も危うくなるため、「辞めないで欲しい」と決闘を挑んだのでした。
次の日、山田は木下から「人数合わせでよいから」と、柔道部への入部をお願いされます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/23/e3/j/o1080076415063207548.jpg?caw=800)
しかし、山田の家は貧乏で、家計のために放課後は働きに出ているので、一旦は入部を断ります。
この時、山田を付け狙っていた岩鬼は、情に流されそうになる山田を見てしまい、「これでは山田に喧嘩を売り難くなる」と、丹下に柔道部に戻るように土下座をしますが、結局は喧嘩になってしまい、丹下の複雑骨折(!)で決着となります。
岩鬼の暴走により、完全に丹下が試合に出られなくなってしまいます。「丹下が怪我をしてなければ、試合前まで、まだ交渉の余地はあった。」と、岩鬼は山田から怒られます。
この結果、山田が責任をとって、柔道部に入部することとなります。岩鬼もなんだかんだで柔道部に入部します。
というわけで、人数が確保されて、部としての存続が決まり、試合への申し込みも完了した柔道部でしたが、さらなる試練が舞い降ります。
丹下から優勝候補である花園学園の存在を知らされるのでした。
花園学園の主将・影丸にはバックドロップという強力な必殺技があることも伝えられます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/c7/4e/j/o1080107115063207549.jpg?caw=800)
山田は勝つために悩みます。
時を同じくして、野球部も大会に向けて課題がありました。
さて、打倒花園学園に向けての特訓を開始する柔道部ですが、その特訓方法とは?
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/cf/a6/j/o1080097915063207550.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/7a/c9/j/o1080083515063207551.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/e0/d3/j/o1080075815063207553.jpg?caw=800)
野球部主将・長島の変化球を山田が捕り、その後に山田が柔道部員に向かってその球を投げ、部員がそれを避けるというもの。
意図としては、影丸のバックドロップからひたすら逃げることが目的の特訓でした。
最初の球が変化球であることで、どのタイミングで球が向かってくるか分かりにくいという狙いがありましたが、この柔道部の特訓により、長島の変化球を山田が捕れるということが判明し、長島の山田への思いは強くなります。
ちなみに、その特訓は大会では全く生きず…。
2回戦で花園学園と対戦することになるのですが、岩鬼を影丸にぶつけることで、見事に影丸のバックドロップを封じました。
岩鬼は性格的に避けることができないので、バックドロップがくる前に自分の技を仕掛けることができるという作戦で、あっさりと勝ちました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/18/bb/j/o1080084215063207556.jpg?caw=800)
あと、丹下も試合当日には回復しており、団体戦のメンバーに名を連ね、ちゃっかりと出場しています。
大会で優勝したり、山田や岩鬼が初段を取得したり。
ある時、野球部主将長島から山田に話がありました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/db/1d/j/o1080077515063207559.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/04/55/j/o1080078615063207562.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/db/1d/j/o1080077515063207559.jpg?caw=800)
長島は転校するため、自分の変化球をユニフォーム姿で受けて欲しいというもの。
山田は長島の頼みを聞き入れ、変化球を受けます。
一応、説明しておきますが、変化球を出せなかった長島率いる野球部は大会であっさりと敗退していたようで、長島の転校について、校内で自分だけ強豪校へ行くためだなんだと批判的な噂も流れましたが、本当に親の都合による転校でした。
で、次の春…。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220119/02/mojikita-wrestling-club/04/55/j/o1080078615063207562.jpg?caw=800)
山田は小林の想いに葛藤しながら、野球に復帰するのでした。
…というのが、ドカベンが柔道漫画から野球漫画に移行していったストーリーです。
【ドカベンが元は柔道漫画だった】という、よく言われる話って、実は間違いなんですよ!
ドカベンの導入部を見れば明らかで、最初から野球漫画なんですよ!どう考えても!
何だったら、そこそこ長く続いた柔道パートこそが蛇足なんですよ。
これね、理由があります。
ドカベンはチャンピオンで連載が始まったわけすが、当時、水島新司先生はサンデーのほうで、すでに男ドアホウ甲子園なる野球漫画を連載している最中でした。
ライバル誌となるチャンピオンで、同じ野球漫画なんか絶対に描けなかったため、男ドアホウ甲子園の連載が終了するまで、柔道部分を長引かせたというのが真相のようです。
謂わば、野球のあて馬。
柔道愛のなさに怒りも覚えますが、それ以上に水島新司先生の野球キチな部分が恐ろしい。
まあ、こういう経緯で誕生した愛のない柔道漫画というのも、後にも先にもドカベンだけだろうから、私は逆にドカベンが好きです。(柔道パートのみ)