リゾートバイト(2023 日本)

監督:永江二朗

脚本;宮本武史

製作:上野境介、伊藤修嗣

撮影:早坂伸

編集:遊佐和寿

出演;伊原六花、藤原大祐、秋田汐梨、松浦祐也、坪内守、佐伯日菜子、梶原善

①ネット怪談シリーズ集大成!

大学生の桜(伊原六花)聡(藤原大佑)希美(秋田汐梨)の3人は、島の旅館でのバイトを始めます。ある夜、桜は宿の女将が夜中に食事を運んでいるのを目撃します。バイトの先輩の岩崎(松浦祐也)から肝試しに誘われ、桜たちは旅館の二階の封じられた部屋へ向かいます…。

 

永江二朗監督「真・鮫島事件」「きさらぎ駅」に続く「ネット都市伝説シリーズ」第3弾。

一応このシリーズ最終作、集大成ということみたいです。

僕は「真・鮫島事件」は観ていないのだけど「きさらぎ駅」はとても面白かったので。

今回も密かに期待していた作品でした。

期待通り! めちゃ面白かったですよ。

 

話のモチーフになっているのはネットで話題になった怪談「リゾートバイト」です。

ただしそれを忠実に再現するというのではなく、大きくアレンジして拡大されているのはこれまでと同様です。

特に今回はネット都市伝説シリーズ集大成ということで、他の有名なネット怪談の要素もいろいろと織り交ぜてあります。ネット怪談総進撃という感じでなかなか賑やかで楽しいです。

 

朝ドラ「ブギウギ」でも活躍!の伊原六花さん主演です。

②全編にみなぎるサービス精神

たぶん、欠点を数え出すとキリがないと思うのです。

低予算は否めない。映画のために用意した以上の人が画面に現れないので、常に画面が閑散としています。

閉ざされた洋館とかならそれでいいけど、「リゾートバイト」なのでね。

旅館にもお客さんはほぼ見当たらず、賑わう観光地のムードは皆無。なんの仕事をしてるのかもわかりません。

 

怪異についても、モンスターの造形はリアルとは言い難い

それだけ静止画で見たら、失笑ものになってしまうだろうな…とは思います。

 

それでもなお、本作は支持したい!と思わされるのは、やはり全編にみなぎる作り手のサービス精神

観る人を面白がらせよう!という気概に満ちていて、あの手この手を繰り出してくる。その「面白さ」へのあくなき追求に尽きます。

 

前半は原作のネット怪談に沿って進んでいきます。ここはまあ、正直言って​そんなに面白くはない。

面白くなるのは、やはり中盤の脱線から。

いろんなネット怪談をミックスして、変なモンスターを登場させて、どんどんあらぬ方向へ脱線していく。

 

お坊さんの祈祷でモンスターに対抗して、登場人物の中身が入れ替わっちゃうという、実にベッタベタなコメディ展開。

この辺、人によっては見てられないかもしれないけど。真面目なホラーを求める人には何じゃこれでしょうが、まあ「きさらぎ駅」も途中からコメディだったからね。

決して中途半端なおふざけではなく、ちゃんと練られたコメディ演出で笑わせてくれます。

③そして、ちゃんとホラーのオチがつく!

で、何よりも素晴らしい!と思ったのは、この脱線のコメディ展開が、ちゃんとオチに生きていること。

なんと「伏線」だったんですね! 見事にラストで解消されます。

なおかつ、この伏線解消によって、コメディ側に一回振れたのがもう一度ホラーに着地するという。

 

いや〜よかった。このオチ大好き。

多少強引でも、ホラー映画は怖いオチをつけてこそ!ですね。

サービス精神満点。良いホラー映画だったと思います。

 

 

 

 

 

このブログ著者のホラー小説、5/23発売です。