Meg 2:The Trench(2023 アメリカ、中国)

監督:ベン・ウィートリー

脚本:ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー、ディーン・ジョーガリス

原作:スティーヴ・オルテン

製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、ベル・アヴェリー

撮影:ハリス・ザンバーラウコス

編集:ジョナサン・エイモス

音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

出演:ジェイソン・ステイサム、ウー・ジン、ソフィア・ツァイ、ペイジ・ケネディ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、スカイラー・サミュエルズ、シエンナ・ギロリー、クリフ・カーティス

①すべてが足し算!の続編

すべてが足し算で作られた続編です。

基本的には前作と同じ路線で、何かとスケールアップしてある。

深海でのアドンチャーをプラスし、敵組織との銃撃戦をプラスし、サメの数をプラスし、サメ以外の巨大生物もプラスされてる。

すべてにおいて数的なスケールアップを図るという、娯楽映画の続編としては正攻法の作りだと思います。

 

正攻法ではあるけれど、昔ながらの作りではありますね。昔懐かしい…というか。

足し算をやってるとどんどんゴチャゴチャしていって、なおかつ最初のインパクトは失われていくので、意識的な作り手は避けるようになった作り方です。

その辺も無自覚に、極めて無邪気に、どんどん行けー!って感じで足し算をやってる。

その点での懐かしさというか、90年代底抜け大作映画のようなある種の趣を感じる作品ではあります。

 

で、賑やかになっている訳だけど。上に書いたような「足し算の弊害」が如実に現れていて。

何かとメガロドン以外の要素が多いので、焦点が分散して散漫になってしまった感はあります。

 

前作はバカみたいにでっかい超巨大サメと、生身の人間なのにバカみたいに強い不死身の男ジェイソン・ステイサムが、バカみたいにあり得ない真っ向勝負をする…というただそれだけで、その1点のインパクトだけですべてを突破しちゃう。

そんなやみくもな勢いがあって、それですべてが成り立ってる映画でした。

今回、メガロドンが複数になって、なおかつメガロドン以外の巨大生物も複数出てくることで、ただデカさと存在感ですべてを圧倒するメガロドンの説得力は失われてしまった。

同時に、ジェイソン・ステイサムとの1対1の真っ向勝負感もぼやけてしまった。

この時点で、前作を成り立たせていた魅力のほとんどは、今回なくなってしまっています。そこがやはり、厳しいですね。

 

②足された要素は…

で、その代わりになるのが、上に書いたような様々な「足し算要素」です。

それが新たな楽しさになればいいんだけど、やっぱりこれも「あれも、これも」なので。一つ一つのインパクトは弱いんですよね〜。

 

深海を歩いて横断する無茶な展開にしても、海上基地で展開するオーソドックスな銃撃戦にしても、対処すべき敵はメガロドンなのか、他の生物たちなのか、敵対組織なのか、はっきりしない。

敵が大勢いるのがスリルに繋がればいいんだけど、なんだかお互いに遠慮し合うような関係になってしまって、それぞれいまいち突き抜けない。

結果、すごく中途半端な、ありがちなアクションのシチュエーションが続いていくことになります。正直言って、かったるい。

 

その後、メガロドンがリゾート地の海水浴場を襲撃して、ようやくサメ映画的なクライマックスになります。

ここは「前作と一緒」なんですよね。

シチュエーションが一緒なので、1匹だったメガロドンを3匹にして、人間同士の銃撃戦も引っ張って、メガロドン以外の生物(タコとかトカゲみたいのとか)も大量投入してある。

なので、まあ目には楽しいんだけど。ストーリー的にはどこまでもとっ散らかっていく感じです。

③いっそこんな続編はどう?

「足し算する」というのは続編を作る時のよくあるセオリーなんだけど、もう一つのよくあるパターンとして、「敵だったキャラを味方にする」というのがあります。

「ゴジラ」シリーズとかそうですね。あと「ターミネーター2」とか。

 

本作でも「飼われてるメガロドン」が出てくるのだけど、中途半端だったので。

いっそメガロドンを味方にして、もっとデカい超超巨大生物と戦うような怪獣映画にしちゃえば、また別のインパクトが作れたんじゃないかな…なんてふと、妄想したりしました。

 

メガロドンの背中にジェイソン・ステイサムが乗って、「行くぜ相棒!」とか言いながら、超巨大ギガロドンに立ち向かっていく…

あ、面白そうかも。いや…ないかな。