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The Pope's Exorcist(2023 アメリカ)
監督:ジュリアス・エイヴァリー
脚本:マイケル・ペトローニ、エヴァン・スピリオトポウロス
原案:マイケル・ペトローニ、R・ディーン・マクレアリー、チェスター・ヘイスティングス
原作:ガブリエーレ・アモルト『エクソシストは語る』より
製作:ダグ・ベルグラッド、マイケル・パトリック・カチュマレク、ジェフ・カッツ
撮影:カリッド・モタセブ
編集:マット・エヴァンス
音楽:ジェド・カーゼル
出演:ラッセル・クロウ、ダニエル・ゾバット、アレックス・エッソー、フランコ・ネロ
①実録×エンタメの見やすいホラー!
ガブリエーレ・アモルト神父(ラッセル・クロウ)はローマ教皇直属の悪魔祓い師。1987年、スペインの修道院の悪魔憑き事件を調査に向かいます。しかし、少年に取り憑いたのは最強の悪魔でした…。
ガブリエーレ・アモルト神父は、実在のローマ教皇公認のエクソシスト。
彼自身の手記を原案にした本作は、しかし思い切ってエンタメに振った、豪快で爽快なアクション・ホラー映画になっています。
あくまでも実録モノの体裁は崩さずに、一定のリアルも保ちつつ、お話は気持ちよくエスカレートしていくんですよね。
リアルにこだわり過ぎてショボく感じることもなく、かと言って派手に演出し過ぎてアホらしい域まで行っちゃうこともない。
なんか、とてもバランスよく、見やすいホラーになっていました。
②ごついラッセル・クロウがかわいいヒーローとしてのエクソシスト
アモルト神父を演じるのはラッセル・クロウ。デカい!
「アオラレ」で最恐の煽り運転男を演じたそのままの、恐怖さえ感じるごっついガタイで、悪魔に対抗できる説得力も感じさせてくれます。
なんか最近、俳優としてはいくらなんでも太り過ぎ! 不摂生!って印象でしたが、今回はそれが逆に上手くハマってる感じですね。
デカくて豪快なアモルト神父が、クマみたいな図体をかわいいベスパに乗せて、ローマから悪魔祓いにやって来る!
その佇まいが、まずは魅力的。見事にキャラが立ってます。
これはもう、アメコミヒーローもののような。
見せ方がヒーロー的なんですよね。アベンジャーズ的。ジャンプ漫画でも行けそう。
たぶん現代の観客に受け入れられやすい、ヒーローとしてのエクソシストになっています。
なんかラストは、シリーズものにもなりそうな雰囲気でしたよ。
相棒と共に世界を巡って、その土地ごとの様々な悪魔を祓っていくアモルト神父の冒険シリーズ。ちょっと観てみたい。シリーズにならないかな…?
③意外に正統派なエクソシストぶりと、アドベンチャー映画としての見せ場
その一方で、オカルト映画、悪魔祓い映画としては、結構正統派の骨格を持ってる作品でもあります。
そこはやはり、一応事実に則してるので。
スペインの古い修道院という舞台設定、そこで若いアメリカ人家族が巻き込まれるのも定石に沿った安心できる展開です。
悪魔祓いの方法も、基本は聖書を読み、聖水をふりかけ、十字架やメダルをかざすだけ。元祖の映画「エクソシスト」と同様の、伝統的な手法になっています。
本作はエスカレートするけど逸脱はしないんですよね。あくまでも伝統的なエクソシストの行動の範疇で、悪魔と戦っていきます。
ただ部屋でベッドに寝ている相手と聖書で対峙する…というだけだと、単調になりがちなのだけど。
本作では修道院の地下を冒険し、異端審問にまつわる過去の真実を解き明かしていく、アドベンチャー映画としての見せ場が中盤に用意されています。
暗号を解き、仕掛けを突破して、ミイラが眠る地下の秘密を暴いていく。この辺り、まさにインディ・ジョーンズですね。
④神秘主義だけでない側面も
あと本作が面白かったのは、「精神疾患としての悪魔憑き」もきちんと描いているところ。
冒頭にあえて「宗教でなく医者の領域」であるケースを置いて、でもそこでもエクソシストが有効であることを示している。
これによって神秘主義一辺倒でない現代的なオカルト映画になっているし、科学や医学もないがしろにしないアモルト神父の理知的なキャラクターも描けています。
ただエンタメとして面白ければいい…というだけでもなく、現代的な科学と宗教を描く映画にもなっていた気がします。
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