65(2023 アメリカ)

監督/脚本:スコット・ベック、ブライアン・ウッズ

製作:サム・ライミ、デボラ・リーブリング、ザイナブ・アジジ、スコット・ベック、ブライアン・ウッズ

撮影:サルバトーレ・トチノ

編集:ジェーン・トーマス、ジョシュ・シェーファー

音楽:クリス・ベーコン

出演:アダム・ドライバー、アリアナ・グリーンブラット、クロエ・コールマン

①今回、愚痴です!

長期探査ミッションの宇宙船が小惑星に衝突し、6500万年前の地球に墜落。生き残ったミルズ(アダム・ドライバー)と少女コア(アリアナ・グリーンブラット)は、襲ってくる恐竜たちから逃れながら、脱出ポッドを目指します…。

 

恐竜映画は好物なんですよ。昔から恐竜大好きなんで。

意外と多くないんですよね恐竜映画。メジャーな作品では、結局いまだにジュラシック・シリーズくらい。

ジュラシックも、遺伝子技術で現在に蘇った恐竜なので。実際の恐竜時代が舞台の作品は更に少ない

なので、タイトルから6500万年前を謳ってる本作は、期待したんですけどね。

アダム・ドライバー対恐竜! めっちゃ面白そうなんだけど。

 

ズッコケでした。スッカスカの期待外れでした!

まあね。これは僕が「恐竜映画を期待した」からであって、恐竜にこだわらず、ただ変なクリーチャーがいろいろ出てくる大味なアトラクション映画のつもりで観れば、それなりに楽しめるのかもしれません。

でもさあ。わざわざ「65」なんてタイトルをつけるんだから、現在の学説に則って、最新の技術で再現された白亜紀末期の世界が観られる!と期待しても、仕方ない…のではないですかね。

 

というわけで、褒めてないです。

褒めてないけど、それはただ「恐竜映画を期待した文脈」での話なので。

今回愚痴なので。恐竜なんか知るか!という人は、ここの駄文は気にしないでいいと思います。

 

②恐竜の出てこない恐竜映画

恐竜映画としては0点です。

だって、そもそも恐竜出てこない

 

なんか、ヴェロキラプトルっぽい奴とか、ティラノサウルスっぽい奴とか、ジュラシック・シリーズで見たような、一応それっぽいのが出てはくるのだけれど。

なんか本当に「ぽい」というだけ。どれもこれもナニサウルスかさっぱりわからない。

 

途中出てくる四つ足の肉食恐竜みたいな奴に至っては、本当に恐竜かどうかもわからない。

ラスボスもそんなんで、「原子怪獣現わる」もしくは「エメリッヒ版ゴジラ」みたいな奴が出てきます。

もはや恐竜でも何でもなくて、オリジナルクリーチャーですね。

 

この映画、そもそも草食恐竜がただの1匹も出てこないんですよね。

出てくるのは襲ってくる肉食モンスターだけ。

 

というか、本作はそもそもそういう姿勢なんでしょうね初めから。

科学的考証に基づいた白亜紀を描こうとはもとより思ってない。ただ、自由にデザインされた「モンスター」を出してるだけ。

「キングコング:髑髏島の巨神」の髑髏島の生物とかみたいなクリーチャー。要は怪獣映画ですね。

 

もちろん、そんな映画があってもいい。破天荒な怪獣映画なら、むしろ好物かもしれないけどさ。

なら、なんで6500万年前の地球って設定にしたの?って思うんですよね。

「どこかの謎の惑星が舞台」でいいやん。

 

あのどこから見てもアメリカ人にしか見えない人たちを「宇宙人」と言い張るという、ものすごく無理のある設定にしてまで、舞台を白亜紀末期の地球にしているのに、なぜ白亜紀末期を無視するのだ?という。

その疑問になっちゃうの、無理ないと思いません?

③何かにつけて、作り方が雑!

なので、本作はSF映画としてもいまいちです。科学の視点が皆無だからね。

人類以前、隕石落下による大量絶滅の寸前に、人知れずドラマがあった…って、もっと面白いSF的なネタが、いくらでも仕込めそうだけど。

「のび太と竜の騎士」を100回観てこい!とか言いたい。

 

恐竜って、どんどん新しい発見がされていて。ほんの数年で、まるっきり再現像が更新されていたりするんですよね。

多くの恐竜に羽毛があって、ティラノサウルスも…とかね。

ジュラシック・パークは90年代だから、近年の続編もそこでのイメージを引きずったままになってる。

だから、図鑑などがどんどん更新されてるのに比べて、恐竜映画はほとんど更新されていない。最新の学説に則った恐竜が登場する映画はいまだにとても少ない

隕石衝突による大量絶滅に関しても、新たな学説がどんどん出てきて、面白い知見がいっぱいある。

そこを面倒がらずにちゃんとやっていれば、SFとしても見応えある、ワクワクする恐竜映画になるチャンスもあっだろうになあ…と、どうしても思ってしまうのです。

 

というわけで今回、個人的な愚痴に終始しているのだけれども。

アクション映画としても、ご都合主義が多すぎると萎えます。

飛べなかった宇宙船が、恐竜に押されて偶然ひっくり返ったら飛べるようになる…とかは、まだ笑えるとして。

宇宙船になぜか子供が乗ってるのも、なぜか少女だけ生き延びるのも、要はアダム・ドライバーの娘に関するトラウマと絡めるというプロット上の都合ありきなんですよね。

で、そのプロット一本きりで乗り切るからね。

何かにつけて雑。やっぱり、もうちょっと丁寧に作られた映画の方が好みです。

 

恐竜映画、なかなかこれは!という作品が出ないなあ。いまだに最初の「ジュラシック・パーク」を超える作品がない。

 

 

「6500万年前を描いた映画」なら、こっち観る方がいいです!