映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝(2022 日本)
監督:橋本昌和
脚本:橋本昌和、うえのきみこ
原作:臼井儀人
絵コンテ:橋本昌和、久野遥子、三原三千夫、三浦陽
演出:三浦陽、鈴木大司、平向智子、佐々木忍、久野遥子
キャラクターデザイン:久野遥子、末吉裕一郎
作画監督:針金屋英郎、原勝徳、大森孝敏、末吉裕一郎
音楽:荒川敏行、宮崎慎二
主題歌:緑黄色社会「陽はまた昇るから」
出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ、高垣彩陽、花江夏樹、浦山迅、悠木碧、雨宮天、川栄李奈、ハライチ、山田孝之
①後半ほど盛り上がる!
久しぶりに通常通り、春に(ドラえもんに続いて)公開されたクレしん映画です。
去年の「天カス学園」が傑作だったので、期待値高かったですが。
そのハードルを軽くクリアする面白さ。今回も「当たり」の作品でした。
「天カス学園」は割と変化球でしたが、今回は非常にオーソドックスな、クレしん映画の王道と言える作りです。
忍者モノ、というのが既に王道な感じですね。もう何度もやってそうな気がしますが、意外と初めてなんですね。
クレしんやドラえもんは映画館の雰囲気で子供への受け方が伝わってくるんですが、今回印象的だったのが、後半になるほど盛り上がっていったこと。
前半は割と静かで、そんなに笑いも起きてない感じだったんですが。
後の方になるほど、子供たちの笑う声が大きくなってきて。最後、皆が集中してのめり込んでるのが伝わってきました。
子供向き映画名物の、終わるなり出て行く人も少なかったですよ。ほとんどの人がエンドクレジットの最後まで観てました。
②忍者アクションの楽しさに全振り!
野原家にちよめと名乗る女性が現れ、しんのすけは誕生時に病院で取り違えられた彼女の子供だと告げます。信じないひろしとみさえですが、ちよめと彼女の息子・珍蔵を家に泊めます。実はちよめは忍者の里からやって来た忍者で、追ってきた忍者たちによってしんのすけと共に連れ去られてしまいます…。
非常にシンプルなストーリー。
忍者の里の設定もシンプルで、ただ山奥にあるだけ…で潔い。
(細かいことは「忍たま乱太郎」を参照!って感じ)
変にリアリティを持たせようと設定を複雑にしてないので、素直に物語に集中することができます。
しんちゃんが産まれた時のエピソードとか、親子で観に来る親世代に向けた感動要素もあるんだけど、それも割と控えめで。
今回は爽快な忍者アクションの面白さに全振りしてある感じですね。
ちよめの「傀儡使いアクション」がカッコよかった!です。
夜の野原家の狭くて自由の効かない廊下や階段などで、操り人形を使って戦う楽しい格闘アクション。
こういう一見何でもいいようなところで、非常に凝ったマニアックな動きを見せてくれるのが、クレしんアクションのいいところじゃないでしょうか。
③テンポ良く気持ちいい構成
序盤で示される「しんちゃんは野原家の子供ではなかった!」というショッキングな提示は、でもそんなにシリアスに取り扱われることもなく、誰も信じないままで推移していきます。
まあ、観てる方としてもそんなはずないのは分かってることだしね。(しんちゃんそっくりのじいちゃんとかいたし!)
変にシリアスな展開を引っ張らず、明るく軽いトーンで進むので、観やすいです。
それでも、しんちゃんがちよめと共に忍者の里へ行って珍蔵として扱われ、珍蔵は野原一家と行動を共にすることになるので、全体を通してある種の緊張感が保たれます。このバランスも上手かったですね。
いつものようにマイペースに忍者を楽しんでるしんちゃんが、でもやっぱりちょっとホームシックになってきて、感情が高まったところでの再会へと盛り上がっていきます。
で、その辺りからまたトーンが変わって、後半はカスカベのいつものメンバーも含めた賑やかなアクションになっていきます。
この辺もテンポが良くて、本当にダレることなく楽しめました。
今回、大仰なテーマとかは別段ないのだけど、全体のストーリーの構成が上手くて、気持ちよく観られる娯楽映画になってると思いましたよ。
あ、あと、ギャグも面白かった!
珍蔵のリス?のくだりとか、サルとか、すごくツボにハマりました。
ギャグのテンポ感も良くて、上手いことストーリーの中で生きていたと思います。全体に作り手のセンスの良さを感じる、気持ちいいクレしん映画でした。