全24ページ。720円。半分の12ページはモノクロです。

 

いかにもモンスター図解的な「悪魔の尼僧ヴァラク解説」が、死霊館シリーズというよりは古典的モンスター映画である本作らしくていい感じです。

 

コラムは「悪魔学作家」の草野巧なる人物。

悪魔ヴァラクの来歴を、フィクションでなく伝説の観点から解説していて、ためになります。

ソロモン王が使役したという72人の悪魔。そのうちの一人であるヴァラクは、38の軍団を率いる地獄の総裁とされるそうです。

すごく興味深いんだけど、ほんの触りだけの話なのが残念。もうちょっと詳しい解説が欲しかったところです。

 

“『死霊館』ユニバース”をかたちづくるもの」では、シリーズの特色やこれまでの4作の概略が語られます。

親切なんだけど、各作品のストーリー(特に本作と関係するところ)はもう少し詳しくても良かったかな。

 

コリン・ハーディ監督のインタビュー。

本作のために参考にした作品を問われて、「ドラキュラ」ハマー・フイルムが製作した古いゴシック作品、「サスペリア」ルチオ・フルチ監督のイタリア映画、「エクソシスト」「死霊のはらわた」、更には「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」をあげています。

このラインアップ、本作のカラーを結構如実に物語ってると思います。

この映画がどういう映画かといえば、まさしくこういう映画なんですよ。「ドラキュラ」×「エクソシスト」÷「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」

だからやっぱり、「死霊館」とは別物ってことです。

 

インタビューで知って驚いたのは、ヴァラクを演じたボニー・アーロンズ「マルホランド・ドライブ」「路地裏に住むホームレス」を演じていたということ。あれも、ただ顔を見せるだけで観客を震え上がらせるキャラでした。

究極の出オチ。顔だけホラー女優!

まあ、ヴァラクが出れば出るほど恐怖が薄れちゃうのも、その点からも当然と言えそうです。

 

インタビューはもう1本、アイリーンを演じたタイッサ・ファーミガ

ホラーが苦手とか、「チャイルド・プレイ」しか見たことないとか、「シックス・センス」がめちゃ怖いとか、ほとんど素人の女の子みたいな受け答えしてます。なんか、女優としてスレてない感じが微笑ましい。

 

ジェームズ・ワンの短いインタビューもあります。

「今までのユニバースと違う雰囲気」「長い間観ていなかった、ハマー社やイタリアのホラー映画のようだと思った」というのが、この映画のテイストをすごく的確に語っていると思います。

 

後は、サンディエゴのコミコンでの上映会のレポート。というか、ほぼ撮影中に起こった心霊現象の話のみですが。

こういう映画に、心霊現象はつきものですよね。ルーマニアの古城でロケまでやってんだから、心霊現象の一つや二つなきゃ嘘だ。

…と思うとライトな感じで、ちょっと物足りない気はします。「ポルターガイスト」級の…とは言わないけれど。

 

撮影現場の写真がいくつか載ってますが、シスター姿の女優たちに混じって、エクソシストTシャツ着てる監督がいかにもオタク臭くていい感じです。

(女の子たちに陰で「なにあのTシャツ!」とか言われてそう)

「カメラを止めるな!」みたい。

 

「死霊館のシスター」レビューはこちら