カネカ社宅
住宅街の中で車を止める助手とメメッカ。
「止まった・・・」
「子どもたちがたくさんいるんだよ」
路地で遊ぶ子どもたち。
その前にメカぼっくりんがゆっくりと近づいていく。
「メカぼ!」
車を降りた助手が大声で呼び止める。
「止まりなさい。一度研究所に帰って・・・」
「ぎぎぎ・・・」
首を横に振るメカぼっくりん。
「どうして?博士の命令?」
首を横に振る。
助手は斜め後ろのメメッカに小声で指示を送る。
「メメッカ、今の間に子どもたちを避難させて」
「わかったんだよ」
移動を始めるメメッカ
もう一度メカぼっくりんの方を見て、
「どうして?」
「ギギギ・・・」
首を横に振り続ける。
子どもたちがメメッカの誘導でメカぼっくりんの前から姿を消す。
そこに、車が横付けされ、中から博士と室長が現れる。
「はーはははははは!メカぼっくりん!もういい!やめるのだ!」
「ぎぎぎ・・・」
首を横に振る
「どうしたのだぁ?メカぼっくりん、このワシの忠実なる下僕!今のその装置ではわしの目的は達成されない。研究所に帰って、コードを書き換えるのだァ!」
「ギギギ・・・」
首を横に振る。
博士の後ろから室長が顔を出す
「おい!」
「なんじゃ?今とーっても忙しいのだが」
「博士!あんたが言えば、すぐに止まるんじゃなかったのか?」
「うむ・・・ちょっと反抗期なのかもしれないのぉ・・・」
離れた場所から助手が走り込んでくる。
「博士!メカぼいつもと違いますよ!あの装置のほかにも何かしたんじゃないんですか?」
「うーむ」
メメッカが戻ってきて
「いつものメカぼなら、あんなに堂々と人前にでることはないんだよ」
博士は手をぽんと叩いて
「おお!そうじゃ。メカぼっくりんの行動力を高めるため、色々と外したものがあったのぉ。あれはなんだったんだ?」
「なんてことするんですか?じゃあ、今のメカぼは制御不能?」
博士たちをかき分けるように前に出てくる室長。
「何をごじゃごじゃ言うとるんねん?メカぼっくりんは、どないしたらとまるんや?」
「止めることはできんが、あの額に取り付けてある装置さえ外せば、これ以上の被害は防げるじゃろう」
と博士は真剣な顔で室長に告げた。そして、
「じゃが、装置を外したからといって、記憶が自動的に戻るようなことはない」
「・・・ほんまか?」
「嘘は言わん。そうなった場合、いや、今の現状が続くと・・・まずいんじゃろ?」
「ぼっくりんが・・・」
室長は、下を向いたまま話し始める。
「みんなぼっくりんは、キャラクターやと思ってるかもしれへんが、実はぼっくりんは、本物の妖精や。子どもじみたことを大の大人がいうとると思うかもしれへんが・・・」
室長以外の3人は、きょとんとした顔で
「そんなこと知っているんだよ」
「うん。だってぼっくりんの生体反応を感知してるもんね」
「当然じゃ。わしらにとってはあれもまた立派な生命体じゃ」
「え?」
顔を上げる室長。博士に向かって
「あんた、妖精なんて信じないとか、妖精などいないのだよ。とか偉そうなことをゆうて、それが今回のこの騒動の発端ちゃうんか?」
「何を言うか、ワシの縁を結んでくれない縁結びの妖精など信じんといっただけだ。全く馬鹿にしおって!いつになったらこのワシに縁を結んでくれるというのだぁ!」
「はぁ?」
「順番がまだ来ていないだけなのか?そうならきちんと整理券を配るとかだな!」
なかば呆れながら、室長は微笑んだ。
「そうか・・・あんたら・・・誰よりも、誰よりもぼっくりんのことを・・・」
そして、メカぼっくりんの方へ向き直り、室長はメカぼっくりんと真正面からにらみ合う。
目が赤く光るメカぼっくりん。
「それやったら、下がっといてくれへんか。あんたらにぼっくりんを忘れてもらっては困るねん。ぼっくりんのことを知っている人、ぼっくりんのことが好きな人たちの思いがぼっくりんを形作っている。それが薄れてしまったら、ぼっくりんが消える・・・。一人でも多くあんたらのような人をのこさなあかん」
室長は身構える。装置を破壊する。それだけを考えて。
「ぼっくりんが消えたら困るんだよ!」
メメッカが前に出ようとするが、助手に止められる。
「そうや。ぼっくりんが消えてもたら、たくさんの人がこまるんや。もしもそうなったら、本来結ばれるはずやった縁も結ばれへんようになる。様々な縁によって街は作られてるんや。つまり、ぼっくりんは、この町の未来を作っている」
「なんだと!それならわしの縁も・・・」
「博士・・・あんたの縁はもうすでに結ばれとると思うで」
博士の手を握り締め、逃げようと引っ張っている助手を振り向きざまに優しい目でみる室長。
「室長さんも逃げて!」
助手が室長の手をひこうとするがそれを制止、メカぼっくりんの方をへと向き直る。
「俺やったら大丈夫や!何とかしてあの装置を外してみる!それにな、なにがあろうと、わしだけは絶対に覚えとる。ぼっくりんが見えなくなるなんてことは絶対にないわ」
メメッカが助手を引っ張る
「だめなんだよ!映像で見たのとはけた違いのエネルギー放出を行おうとしているんだよ!」
走り出す室長
「さあ!メカぼっくりん。これで終わりや!産業振興課を舐めるなよ!」
あたりが光に包まれる。光の中で踏ん張っている室長。
しかし力尽き倒れこむ。