真っ暗な中、声が聞こえる。
おっさんの「大丈夫か?」という声。
若い娘の「室長さん!」という声
そして、「ここでいいんだね」という子どもの声
「ああ、このおじさんだね。前にもサンモールであったから、知っているよ」
ゆっくりと目を開けようとするが眩しくて何も見えない。
「ね、ぼっくりん」
その言葉に反応して、室長の目が開く。目の前にうっすらとぼっくりんの足が見えるが、それは直ぐに消え去っていく。
周りを見渡す。
子ども、そして博士と助手、メメッカ
「今、なんて・・・」
「おお目が覚めたか」
と博士。
「あれだけのエネルギーを真正面から受け止るなど、無茶としか言えんわ」
室長は、こどもの方を向き、
「俺はどないなったんや?君はなぜ?」
「ぼっくりんが、室長さんが大変だからって」
辺りを見回す室長。
「いるのか?ここに・・・」
「うん。いるよ」
他の人たちをみる。みんな一様にうなづく。
「君たちには・・・みえるのか・・・ぼっくりんが・・・」
一人ひとりを見渡しながら
「そうか・・・よかった・・・よかった・・・しかし・・・あれだけ偉そうに言っておいて、俺は・・・俺には・・・」
「大丈夫だよ!」
「え?」
「ぼっくりんが、大丈夫だって」
体を起こした室長の肩にそっと置かれる手。赤いふわふわとした手。
ぼっくりんの暖かさ。それが室長に伝わる。
室長の視界にうっすらとぼっくりんの姿が現れてくる。
「ぼっくりん!」
「室長さん・・・みえる?」
助手が室長に声をかける。室長は振り返り、
「ああ。見える。ぼっくりんがそこにおる」
博士が、一歩近づき、
「では、我々は、我々のできることでメカぼっくりんを止めようではないか!行くぞ助手!」
「え?どうやってですか?」
助手が博士の方を向き言った。
「決まっておる!やつのエネルギー源を断つのじゃ!それには、一度研究所に戻らねばならぬ。行くぞ」
助手は、そんな博士に戸惑い、室長に会釈をして、立ち去った。
室長は、そんな彼らを見送り、ぼっくりんに目をやった。
「ありがとう」
子どもの方にも目をやり、
「ありがとう」
そして立ち上がった。
「ぼっくりん。大丈夫だ。まだまだああして、お前のことを信じている人たちがおる。ほかにもたくさんおるやろう。だからな、大丈夫や。お前のこと、忘れてしもた人がおっても・・・」
自分に言い聞かせるように大丈夫を繰り返す室長。
こどもがぼっくりんを見つめる室長の服を引っ張る
「どうしたんや?」
「忘れてるんなら、思い出してもらったらいいんやないかな?」
「え?」
「だって、忘れてるだけなんでしょ?最初から全くしらなかったわけじゃないんだったら、思い出してもらったらいいんじゃないのかな?」
「・・・どういうことや?」
「ぼっくりんを思い出すものをみんなの前に出したらいいんだと思うんだ」
「ぼっくりんを思い出すようなもの?・・・・」
「うん!室長さんにやったら、わかるよね」
「そうか・・・それやったら・・・僕、ええこと言うなぁ!ありがとうやで!」
室長は、もう一度ぼっくりんの方を見て、
「ホンマに大丈夫や!俺にしかでけへんことでお前を助けてみせるからな」
と車の方に向かった。