ストーリーテラー・語りの森代表の富原美智子さんの研修会に
参加させていただきました。
40年以上おはなし会の活動をしながら、自宅で勉強会を開催され、
たくさんの読み手、語り手を育んでらっしゃる先生が
こぐまちゃん会のリーダーとのご縁で 図書館で講演を
してくださったのです。
以下、レジュメの引用、研修会で得た心に残った言葉などを
公開することをご了承いただきましたので、
長文になりますが、記録しておきます。
(私の個人的な意見や感想が交じってます)
 
言葉を育てる 絵本の読みきかせ
 
はじめに『おおきな木』を読んでくださいました。
この本、私は20代の時に原書で購入したのですが
木の“無償の愛”に共感できず、宗教観の違いなのか
男の甘えが嫌でたまらなくて、本棚の奥に追いやってました。
先生も子育てしていく中で、この本がとても好きだったり、
遠ざけたりの時期があり、読む方の年齢や環境などで
受け止め方が変化する自身の体験談を交え、語られました。
そして、今80代になって、「自分は木になろうとしていたけど
実は先輩や周囲に助けていただいてまだお返しができていない
男の子だったのだ」と謙虚に言われるのです。
そんな素敵な導入から、続いての長めの語りへ。
すっかりひきこまれた私は、百面相していたかもです。
大人の私たちもこんなに夢中になれるお話の力!
 
語りは集中力や想像力を育ててくれます。
画がないから、それぞれが頭の中に映像を結んでいるので
周りで乗りだしてきいてる人たちの画がみてみたいなっと
ふっとマンガみたいにもやんもやんでたらいいのにと思ったり。
 
先生にとって、よみきかせは 教育やしつけのためでなく、
一方的に与えられる機械から発信ではない、生の声の心地好さ、
コミュニケーションしながらの言葉の心地好さを 心に届ける活動。
本そのものの良さ、楽しさを届けて、本を好きになってもらって、
自分でも読んでみたいという成長につなぐ活動であり、
想像力を育てることは、他人の気持ちを思いやる優しさにつながると
おっしゃいました。
本の登場人物になって 色々な世界を体験していくことは
心を育て、目に見えないものを信じる、不思議の住める心の空間を
形成し、それがなにかあった時に心が折れにくくなる余裕となると
思います。いつまでもサンタクロースや妖精を信じようというのではなく、
それを信じた経験は きっと辛い時こそ支えになってくれると考えます。
 
外山滋比古著『絶対語感』のことも教えてくださいました。
3歳までにまわりから入ってくる耳言葉で その子その子の
言葉に対する感覚が形成されるそうです。
いいこいいこで育てなさいというのではないです。
語りかけの大切さを感じるお話でした。
 
絵本の果たす役割、まず読んでもらう楽しさからの年齢に応じた選書の
ポイントや絵本のリスト紹介もありました。
長生きしている絵本にはあちこちのリストに並んでいるものもありますが
読み手自身が楽しい、伝えたいっと思う本であることが大切と言われました。
読み手もできるだけたくさんの本と出会って、自己満足に陥らないように
気をつけながらも 自分のリストを作っていくことも大事なのです。
 
おうちで子どもたちに読む時は 途中で止まって絵の中の動物たちを
さがしたり、遊んだり、無理に最後まで読もうとしなくていいというのも
共感しました。
その時の思い出が本と一緒に心に残っていくのは親子の宝物ですよね。
 
けれども大人数のよみきかせの時は違います。
っで、『きこりとおおかみ』をもうお一人の講師が読んでくださいました。
もち方、姿勢、めくり方、声、リズム 学ぶところだらけ!!
なにより、本に集中させるように むだに顔をむけないで
話に合わせたテンポでめくっていく心地好さったら!
知ってるお話なのに声あげて笑ってしまいました。
 
利き手にこだわらず、絵本の進行方向の邪魔をしない持ち方。
内容に合わせて、どちらでも持てるように私も練習中です。
腹式呼吸での発声やはっきりと口をあけて読む意識も
あらためて できてるかなとふりかえりました。
メインの一冊を軸に、その場に合わせて組み換えができるように
差し替えできる本を用意したり、手遊びなどでリラックスしたり、
刹那的なウケに惑わされないで、中身のある本を届けましょうと
最近のなんだかな~な絵本の氾濫にもやもやしていたので
スッと 楽になれました。
先生はとても上品でお綺麗なのに
「読み手は美人さんでなくてもいいんです。読み手でなく
本の内容そのものが印象に残るように努力しましょう。」って。
赤ちゃんに読む時は 顔芸くらいで読まれる方もあるけれど
物語性のある本の時は 黒子にならないとですね。
読む日はできるだけ無地で地味な服にしています。
小学校のボランティアでは紺のエプロンでそろえています。
 
ページをめくるタイミングなども しっかりと何回も読んで、
内容を理解すれば、自然とその絵にあったリズムができると
まだまだ読みこみが不足している自分を反省しました。
本当にすばらしい研修会でした。
ありがとうございました。