今、仕事の休憩中だ。
デスクワークはとにかく肩が凝る。今年で入社3年目になるが、これまでは、外を回る仕事だったので、初めて痛感する。
それに今年の1月からは、病気を患い、半年間休職していた。そして、復帰。予想はしていたが、半年ぶりの仕事なので、体力的にも精神的にも少しきつい。しかし、そんなことも言っていられない。

あと4時間といったところか。とにかく集中して、頑張ろう。

夢を諦めてから1ヶ月。俺は無事に地元の企業に就職の内定をもらった。卒論をやりつつ、大学生活最後の1年を満喫しようと仲間と遊ぶ毎日だった。彼女にあんなことを言っても、相変わらず忘れることができず、失意も一緒について回っていた。






7月。夏休みになり、俺の卒論も佳境に入っていた頃、彼女からメールが来た。癌になってしまったというのだ。甲状腺に腫瘍が見つかり、手術するという。俺はまた神様を恨んだ。もともと神様なんて信じていなかったが、誰かのせいにしなければ、自分自身がおかしくなりそうだった。俺はまた何もできずに終わった。「なんであいつが」「あんなにがんばってる奴の、今度は命も狙おうとしているのか」と考えた。とにかく負けるなという言葉をかけたと思うが、それから連絡は来なかった。




それからというもの遊ぶ気にもなれず、家に引きこもって、卒論の製作に没頭した。忘れようと思っても、そんなことできるわけが無い。年が明けた2月、卒論も完成し、単位も漏れが無く取得した。後は卒業を待つだけだった。しかし、あのことを確認せずにはいられない。彼女自身の性格から、そっとしておいてほしいという気持ちは伝わってきたのだが、俺はメールで聞いた。手術は成功。転移も無い。すでに仕事に復帰しているとのことだった。俺は本当にうれしかった。




そして就職。再び同じ地での生活が始まった。そんなときに彼女が、俺の母校の小学校に赴任することになった。それがきっかけで、メールをするようになったが、彼女には今、彼氏がいる。俺にも大学卒業間近に彼女ができた。それでも、元カノへの思いは断ち切れなかった。俺は今、思いを彼女に伝え続けている。しかし、俺からのメールにはもう返信は来ない。いつか彼女が言った「いずれは元に戻れるようになったら素敵だよね」という言葉を信じているが無理かもしれない。








随分と話が長くなったが、彼女との思い出も俺の後悔のひとつ。本当に自分がわからなくなっている。

彼女と別れてから、1週間後。友人が慰めの意味をこめて地元の花火大会に誘ってくれた。その友人とは高校1年で知り合い、3年間同じクラスだった。大学時代にも一緒にサッカーを見に行ったり、互いの家に泊まりに行ったりと、心許せる数少ない友達だ。そんな友達と行った花火大会。会場には多くの人でごった返して、前に進むのも億劫になるほどだった。そのときだ。別れた彼女がいた。それも男の人と一緒に。俺は人違いかと思いつつ、左腕にあるホクロを見つけた。間違いなかった。俺は何も考えずに話しかけていた。彼女は本当にびっくりしていた。悲しくてよく覚えていないが「彼氏?」と一言聞いた。彼女は「う~ん」と言って困った顔をしていたので、俺はその場から立ち去った。友人も俺になんて言葉かければいいのか悩んでいる様子だった。ちなみに彼女は高校3年のときのクラスメイトだったので、友人とも顔見知りである。


そして、帰り道。彼女からメールが届いた。「今、小学校の先生同士で花火大会に来ていて、あの男の人は教頭先生の息子さん。たまたま出店に買出しに来ているところだった」との内容だった。俺は本当にショックを受けていたので信じられなかった。ここが俺の弱いところだ。色々あったが、俺は本気で好きで支えたかったという思いが裏切られた気分でいっぱいだった。


失意の花火大会から、夏、秋が過ぎた。大学3年の後半。卒業論文に着手しだし、いよいよ俺の大学生活も終わる。就職なんてできるのだろうか、いっそのこと留年でもしてしまおうかなどとくだらないことを考えていた。彼女のことも時間が経てば忘れるだろうと考えていた。


そして年が明けた。俺は毎年恒例になっていたフットサルチームの仲間と新年会をかねてボーリングをしていた。すると彼女からのメール。「明けましておめでとう」。彼女はそのようなメールをこまめに送る人ではなかったので、正直うれしかった。そのやり取りは友達同士、何の変哲もない内容で終了した。


そして3月。今でも覚えている。地元の県知事選の日だった。彼女から再びメール。一度会えないか?という内容だった。俺はうれしくなり、断る理由もなかった。

再開当日、普通に食事をして、軽くドライブをした。彼女の就職先での話。とても楽しかった。どういうつもりで彼女が誘ったのか俺にはわからなかったが久しぶりに大好きな人と会えて力をもらえた自分がいた。俺は彼女に今でも大好きで、1日だって忘れたことがないといった話を遠まわしであるが伝えた。

会った理由を聞くと、俺の顔を思い出せなくなったとのこと。一言一言に涙が出そうになった。そして彼女は最後に「今日はよりを戻すかどうか五分五分だった」と告げた。俺は頭にきてしまった。俺は逆上して、「付き合う前にはまったくといっていいほど交流は無かったから、別れたら友達になる気はない」と言った。

彼女は泣いてしまったが、俺はもう諦めた。俺は彼女を家まで送った。俺は彼女を信じて、もう一度付き合えることを夢見てたが、本当の意味での別れがやってきたようだ。