仕事が終わった。スーツでデスクワークは本当に疲れる。しかし、明日は休みだ。まったく予定がない。それも、この後、ワールドカップ準決勝がある。おそらく、見る。試合が終わる頃には、もう朝だ。そこから寝ると、確実に昼過ぎまで寝てしまうだろう。しかも今日の試合は、ドイツとスペインの戦いだ。Wカップでの真剣勝負なので、楽しみで仕方がない。前にイングランド、ドイツ、スペインの試合が楽しみだと書いたが、そのうち、2チームの試合が見れるなんてうれしい。


 ドイツは、試合をこなすたびに強くなっている気がする。もともと、屈強な選手が多い中、ここまでの組織力を見せられたら、相手は手も足も出ないだろう。それに個人個人が、自分の役割を認識していて、確実にプレーをこなしている。

 スペインは、チームの色がしかっりでている。序盤こそ苦戦したが、自分たちの目指す戦い方が明確で、その破壊力を自負しているため、調子を上げればいいだけ、という状況だ。華麗なパスワークというが、スペインのパスワークはまだまだ、こんなものじゃないと思う。調子が最大限に上がれば、観るものと相手を凌駕するサッカーになると思う。


 絶好調のドイツにどこまで本来の実力を出せるかが鍵のスペイン。目が離せない。

 最近、1人で車に乗って知らない土地に行くことが趣味だと気づいた。ずっと無趣味だと思っていたが、ドライブしていると、気分が良くなる。特に自分が知らない道を通るということはちょっとしたスリルがある。それと、道を通って町に入り、通行人や建物を見ると、その町の生活観が見えて、新鮮だ。去年は仕事の関係で、知らない町に赴任していた。そこは、俺の地元の町の中でも有数の田舎。周りは山で、商業施設なんかも少ない。本を買うにも隣町まで行っていた。ただ、コンビニの品揃えの良さは奇妙だった。俺はタバコを吸うが、気に入っている銘柄のタバコがなかなか見つからない。それが、この町のコンビニにはあった。


 東京には近く、その町の住民は東京に出向いて買い物をしているという。中心には高速道路が走っているが、本当に通り道というだけで、よっぽどの用事が無ければ町に寄らないのではないかと思うぐらいだ。こんな言いようでは住民に怒られるかもしれないが…。


 また、自分の仕事の関係上、この町に常に常駐していなければならなかったため、かなりつらかった。そんな状況の反動か、上司に許可を得てよく町を抜け出していた。目的地はないが、この町にとどまるよりは、たまの休みに脱出したほうが、有意義なのではないかと考えたのだ。そんなことから、ドライブの魅力に気づいたのかもしれない。


 今は生まれ故郷に勤務しているが、車でちょくちょく出かけている。しかし、今は、目的無く動くのではなくて、目的の町や施設をゴールにして出発するようにしている。最近では、長野南部の都市、埼玉県の神社、東京多摩地区、神奈川と千葉の間にある海に浮かぶ人工島、千葉のある都市を舞台にしたドラマのロケ地、千葉県にある夢の国と呼ばれている施設などに足を運んだ。


 しかし、悲しいかな恐ろしく燃費の悪い車を所持しているため、1回の遠出にかなりの出費がある。一応生活していかなければいけないので、自分の所持金とも相談していかなければいけない。


 そんな俺だが次に行きたい場所がある。それは群馬県のある川だ。理由は、俺が最も生き生きしていた2004年にある。この年が楽しかったことは、前に書いた。この川ならびにこの川にかかる橋をテーマにした楽曲がある。その曲がバイト先で、しつこいくらいに流れていたので覚えてしまった。そして今頃になって、その川はどんなところなんだろうという気持ちが沸いてきたのだ。あの時は毎日流れるこの曲に飽き飽きしていたが、久しぶりに聴いてみると、懐かしさとともに、切なさがこみ上げてくる。その川を実際に見てみたい。そして、曲中に出てくる神社でお参りしてきたいと思う。


 しかし、現在俺は、恐ろしいくらいの財政難に陥っている。1日一箱吸うタバコも控えなければいけないくらいの状況だ。こんなことではいつになるかわからない。一応休みは固定してもらっている。あとは資金繰りが上手くいけば、ということだ。しかも群馬は俺が住んでいる町から遠く、高速道路使わなければ、何時間かかるかわからない。とにかく、このドライブの実現が早く訪れることに期待したい。

 俺が生まれた年に活動していたロックバンドの「手紙」という曲が大好きだ。このバンドはもう解散してしまっているがいまだに人気がある。俺が物心つくかつかないかという時期に人気絶頂だったため、リアルタイムで聴くことは無かった。そもそも、ロックというもの自体にあまり興味がある方ではなかった。




 大学1年の時のゼミで、資料としてビデオを見た。その資料映像のエンディングテーマにそのバンドの曲が使用されていた。資料映像で眠気と戦っていた俺だが、その曲を聞いて目が覚めた。曲調、詞、ボーカルの声、コーラス、楽器の音、すべてにはまった。その資料映像というのが、在日コリアンに視点にしたもので、曲もその内容に通ずるものがあった。ゼミの最後、教授が「この歌は素敵だね。一体誰が歌っているの?」とつぶやいた。ほかの学生も資料の内容よりも、曲に関心を示していた。「すごい」と感じた。




 その曲が頭にしばらく残っていたある日、バイト先の先輩が「これ買っちゃったよ」と言って、前述したDVDを見せてきた。俺はその日からさらにそのバンドが気になってしょうがなかった。そして、CDショップに向かっていた。




 どうせ買うなら、ベストのアルバムにしようと思い、1枚買った。早速聞いてみると、実にいい。ゼミで見た資料映像のテーマ曲も入っていた。3150円。全然高くない。俺はいい物と出会った。




 それから、6年、俺の音楽プレーヤーにはそのバンドがCDで発売した曲が全曲入っている。仕事に向かう前の車の中で毎日聴いている。




 前置きが長くなったが、その中でも俺が好きな曲は「手紙」。このバンドは多くの若者に影響を与えていて、誰もが1度は耳にしたことがある曲を何曲も発表している。それでも俺はこの曲が好きだ。比較的スローな感じだが、バックから流れるトランペットやバイオリンの音が、壮大さを与えていて、何度聴いてもゾクゾクする。それと詞。詞だけを見ると、訳がわからないという人もいるような詞だ。しかし、描く世界は曲全体でつながっていて、空想的な世界観に浸ることができる。もちろん俺の勝手な解釈、想像で、作った人もそんなことを意識して作ってはないだろうが、曲を聴く俺は自由。その空想的で絵本のような世界観に浸っている。曲中にでてくるメノウ、セロハン、バス、ジャングルジム、海、月あかり、夜、鈴、月、雪、春、背骨、ハチミツ、雨、ひまわり、ラジオ、手紙、風、怪獣退治、ギター、夏などさまざまな単語が出てきて、それが現実を引き離す力になっている。