6章日本 6-冷戦終結後の美術 | 65歳の芸大生

65歳の芸大生

定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に編入学しました。このブログが日々の学習内容の記録として活用しています。

1991年のソ連崩壊とともに冷戦体制が実質的に終わりを告げ、アメリカを中心とする資本主義経済を背景にグローバルな社会が浸透しますが、日本ではバブル崩壊後経済が長期低迷するなかで、数度にわたる大震災に見舞われます。他方、2000年代以降「同時多発テロ」やリーマンショックなどによりアメリカの覇権が陰りを見せますが、インターネットの普及に伴う情報革命を背景に、世界的に体制の変動がわき起こっています。本章では、冷戦終結後の90年代以降の動向を中心に見ていきます。 

Movie1・・・新しい形象への指向 90年代の絵画表現 

Movie2・・・ネオ・ポップの台頭とスーパーフラット 

Movie3・・・「日本」という表象へのまなざし 

Movie4・・・メディア・ミックスとテクノロジー・アートの展開 

Movie5・・・日常への視点 2000年代の感性

1990年代に入り、日本現代美術の国際的な受容が進みます。たとえば、「吊り上がった目の少女」で知られる奈良美智の絵画は、新しい具象画の旗手としてマーケットをはじめ脚光を浴びました。同時に、「日本画」や「戦争画」を模した作品を展開した会田誠をはじめ、みずからの育ってきた「日本」のカルチャーに目を向けるものも現れます。村上隆もまた、キャラクターやフィギュアといった「おたく文化」に接近した作品に取り組みますが、90年代末にスーパーフラットといわれるコンセプトを提起します。一方で、2000年代に入って経済が長期低迷するなかで、美術評論家の松井みどりの提唱するマイクロポップのような日常への視点をもった想像力も見られます。さらに、各地で国際展が開催されるなかで、北川フラムによる地方の芸術祭も注目を集めました。