ナポレオン帝国の崩壊以降、フランスは七月革命、二月革命など体制の変動を繰り返しながら、近代市民社会を徐々に確立していきました。この時代の美術は、新古典主義への反発として現れたロマン主義、続いて、現実を主題とするレアリスムへと推移します。本章では、19世紀前半期の美術の展開について詳しく見ていきましょう。
Movie1・・・フランス・ロマン主義絵画 -ジェリコーとドラクロワ-
Movie2・・・中世への回帰 -ゴシック・リヴァイヴァル-
Movie3・・・自然へのまなざし -イギリスとドイツの風景画-
Movie4・・・ロマン主義と幻想絵画 -人間の内面への関心-
Movie5・・・理想から現実へ -クールベのレアリスム-
19世紀前半、新古典主義への反発としてロマン主義が台頭しました。フランス絵画ではジェリコーを先駆としてドラクロワが代表的な画家です。イギリスでは中世建築の復興をめざしたゴシック・リヴァイヴァルが盛んになり、自然に即した風景画も流行しました。一方ドイツではフリードリヒが神秘的な風景画を描きました。また幻想性はロマン主義の特徴であり、なかでもスペインのゴヤの晩年の作例は重要です。続いてレアリスムは現実を描くことをめざしました。クールベがその代表です。