千年にわたり栄華を誇ってきた新羅王朝も9 世紀後半になると、王室の内紛などで、地方に対する統制がきかなくなり、国内は分裂して後百済、泰封という国が建ちました。これを後三国時代と呼びます。このうち泰封では国王が凶暴であったために追放され、豪族たちの信頼の厚い王建が即位して918年に高麗王朝を開き、935年には後三国を統一します。これによって韓国の古代は終わりを告げ、中世への新たな時代を歩むのです。本章では、高麗時代の美術についてみていきます。
Movie1・・・高麗時代の仏像
Movie2・・・高麗時代の仏画
Movie3・・・高麗時代の建築
Movie4・・・高麗時代の陶磁器
Movie5・・・高麗時代の工芸品
高麗時代の巨大仏像の制作の背景には風水図讖説の影響が考えられます。高麗時代を代表する仏画の特徴は豪華緻密という点です。高麗時代の仏殿の構造の特徴として、柱上にのみ組み物をのせて屋根を受ける柱心包形式があげられます。高麗時代には多様な陶磁器がつくられましたが、なかでも青磁は高麗美術を代表する美術品です。高麗時代には青銅器の香炉などに銀を象嵌して文様をつくる、いわゆる銀入糸技法が流行しました。