3章歴史の再構成という時間のデザイン | 65歳の芸大生

65歳の芸大生

定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に編入学しました。このブログが日々の学習内容の記録として活用しています。

この章の要点

歴史や伝統は、連続的な時の流れを不連続な存在としてとらえ、それらに意味を与える一連の行為から生み出されます。その意味で、歴史や伝統もまた「時間のデザイン」のひとつであるといえるでしょう。 そのためこの章では、歴史や伝統を、いま生きている人々が、過去の出来事をいまの視点から取捨選択し、改めて組み替えてつくった物語であると位置づけ、この視点から歴史や伝統もまた「時間のデザイン」からアプローチ可能な点に言及しています。 Movie1・・・文脈と言説、そして物語 Movie2・・・物語としての歴史・伝統 Movie3・・・過去の時間のデザインと未来

 

過去の出来事を時系列的に並べると、それは「歴史」になります。私たちは歴史を当然のことと考え日常生活を営んでいますが、歴史は「過去に起きたすべての出来事の総体」ではありません。歴史は、いわば現在を生きる人々が重要だと考える出来事を抽出し、組み合わせてつくられた物語だということができます。特に現代では、伝統は近代がつくり出す物語であるという議論が、ホブズボウムなどイギリスの社会史研究者たちから提起されています。これは一般的に「伝統の創造論」と呼ばれる考え方です。