設問3 | 65歳の芸大生

65歳の芸大生

定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に入学しました。このブログは学習記録としてレポート等の成果を載せています。複製、転載はご遠慮ください。

 

設問1で取り上げた『アネモメトリ』の「特集」事例と自分で調べた事例とを比較対照しつつ、それぞれの活動の課題と可能性を論じてください。

 この記事を最初に読んだとき、ゴミを拾うことが、芸術とどのような関係にあるのかが、理解できなかった。質問したところ、暮らしの中の「より良く生きよう」とする営みは芸術であること、デザインとは課題解決という使命を持っていること、ごみ問題を自分ごと化する活動は、たとえばスポゴミならば、ゲーム性(競技性)を与えることでゴミ問題をポジティブに転換できたことはまさにデザインだと評価できる点を指摘いただいた。この点を踏まえ、「よりよく生きる」こと、すなわち生活環境を見直し、よりよい生活にするために工夫やデザインをすることが、なぜ芸術と見なすことができるのかを考えてみた。  芸術は、美や感情を表現する手段であり、人々の心や生活に豊かさをもたらすものである。また、生活環境の工夫やデザインは、機能性だけでなく美しさや居心地の良さを追求する行為であり、これらは芸術の本質的な要素と通じるものがあると考えられる。なぜかというと、生活環境の改善やデザインには、創造性や想像力が必要とされるからである。また、個人の価値観や美意識を反映させることができ、その過程において独自の表現を追求することが可能となる。これらは、私たちが芸術と一般的に理解している、絵画、彫刻、音楽などの伝統的な芸術と同様に、人間の内面や感情を表現し、共感や感動を呼び起こすことができるため、生活環境の工夫やデザインも広義の芸術と捉えることができる。  今回取り上げたゴミスポもの目的は、ゴミをなくすということであるが、スポーツの要素を取り入れて、ゴミを集めるという行為を「集める」ではなく「集めなければならない」というように、生活をより良くするという課題を解決するためにデザインされいる。

  このような点を踏まえ、地域のゴミ拾い活動に参加し、いろいろ考えながらゴミを集めた。今回のゴミ拾いは、地域の自然環境を保全するという目的で行われている。環境の保全は間接的にではあるが、生活環境の向上につながる。このように分かっていたのではあるが、ゴミを拾うことが、より良く生きることにつながるという実感はなかったし、あくまでボランティアの参加であるため、スポゴミのようにゴミを集めなければならないという使命感はなかった。しかし、今回の活動は、大規模なものでたくさんの人がゴミ収集に参加していた。このためゴミを拾っているうちに、ゴミをたくさん集めている人とすれ違う場面が多かった。自分の集めているゴミが他人と比較して少ないと、自分ももっとゴミを集めたいと思うようになった。ゴミ集めをしている人がいない場所を探し、一生懸命にゴミを集めた。段々とゴミが集まるにつれて満足感を感じ、ゴミでゴミ袋がいっぱいになると達成感を感じるようになった。これがゲーム性のあるゴミスポであれば、その達成感がもっと大きなものになるであろう。つまり満足感や達成感を得ることが、「より良く生きよう」とすることを実感し、満足感や達成感を得ることが芸術の目標ではと考えるようになった。

  そこで満足感や達成感を得ることと、芸術とはどのような関わりがあるか考えてみた。まず、芸術活動は自己表現の手段であり、創造性を発揮して作品を生み出すことで、大きな充実感や満足感を得ることができる。また、好奇心を満たしたり、挑戦するという気持ちを刺激しすることで、最終的にそれが満足感につながる。このような点からゴミスポは、ゴミを減らすという目的を達成することで、参加者に満足感や達成感を与えるようなデザインをした点が芸術であると思う。今回参加したゴミ拾いは、デザイン性という観点からは芸術と呼べない部分もあるが、自分自身に対する意識を高めるたり、強いては自分自身の内面を探求し行動を見直すことができたという点については芸術の要素を含んでいると考える。