この章の要点
アメリカではヴェトナム戦争の泥沼化が進むにつれて、若者を中心としたカウンター・カルチャーや反戦・反体制運動が盛んになりました。1960年代後半には、世界的な「政治の季節」が訪れます。美術もまた、既存の制度や社会構造などの「現実」に対する批評的な意識や態度を強めていきました。60年代に台頭してきた「ミニマリズム」「ポスト・ミニマリズム」「ボディ・アート」は、そうした「現実」に内在するさまざまな条件を多角的に検証することになります。
Movie1・・・フルクサス
Movie2・・・ミニマリズム
Movie3・・・ポスト・ミニマリズム
Movie4・・・身体の表象
Movie5・・・アルテ・ポーヴェラ
1960年代の初頭から半ばのアメリカでは、比較的単純な形態を備えた絵画や彫刻の傾向「ミニマリズム 」が現れます。その代表的な作家ドナルド・ジャッドは1965年に「特殊な物体」という論考を発表し、自身の理論的な立場を明確にしました。そのほか、60年代には、ジョージ・マチューナスが主導的立場にあった「フルクサス」や、ジョルマーノ・チェラントの命名による、イタリア彫刻の傾向「アルテ・ポーヴェラ」も登場しました。