レポート試験 | 65歳の芸大生

65歳の芸大生

定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に編入学しました。このブログが日々の学習内容の記録として活用しています。

授業の内容が理解されているかを確認します。 テキスト巻末の図版リストのなかから、1~15章の必ず異なる二つの章より、一点ずつ二作品を選んでください。その上で、それぞれの時代背景を踏まえ、必要があれば他のアジア地域の美術との関連も含め、選んだ二つの作品の特質についてあわせて1200字程度で述べなさい。レポート試験の冒頭にはタイトルを付けて、その後に2作品の名称と記載されている章の番号も明示してください(作品タイトルはテキスト巻末の図版リストの名称を使用すること)。

 

平安時代と鎌倉時代の仏像の特徴
7-1 定朝 阿弥陀如来座像(Web)
9-1 運慶 大日如来座像(Web)
定朝 阿弥陀如来座像について 

 平安時代後期は、貴族文化が花開き、仏教が広く信仰された。この時期、浄土信仰が広まり、阿弥陀仏を信仰する浄土宗が人々の間に受け入れられた。この浄土信仰の高まりは、阿弥陀如来を本尊とする仏像の需要を生み出した。 

阿弥陀如来座像の特徴

 1.定朝様のスタイル 

阿弥陀如来座像は、定朝特有のスタイルである「定朝様」を示している。このスタイルは、繊細かつ流麗な曲線美に特徴があり、仏像の衣文は自然な流れを示し、細かい彫刻が施されている。

 2.表情の穏やかさ 

穏やかで慈悲深い表情をしており、見る者に安心感を与える。この表情からは浄土宗の教えに基づく、死後に阿弥陀仏が迎えに来てくれるという信仰の安心感が表現されている。

 3.技術の革新

 定朝は、仏像を一木彫りから複数の部品を組み合わせる「寄木造」の技術を用いることで、より細密で繊細な表現を可能にした。この技術の導入は、日本の仏像彫刻における大きな革新である。

  阿弥陀如来座像は、これらの特徴を通じて、平安時代後期の仏教美術の高い成就を示しており、この像は日本の仏教信仰だけでなく、日本の美術史においても重要な位置を占めている。 

運慶 大日如来座像について

 鎌倉時代は、武士が政権を握るようになり、日本の社会や文化が大きく変化した時期である。この時代には、新しい仏教の宗派が多く生まれ、特に禅宗や浄土宗が広まった。運慶の活動期にあたる13世紀初頭は、鎌倉新仏教の興隆とともに、仏像への需要が高まった時期である。

 大日如来座像の特徴 

1.玉眼の技法 

運慶は、仏像に水晶を用いる玉眼の技法を取り入れた。玉眼は運慶と慶派の作品で多用されているが、すべての仏像には使われていない。

 2.指までリアル

 金剛界の大日如来の法力を表す智拳印が両手で結ばれており、指先へ向かって流れるような表現を成功させている。

 3.軽やかな質感の衣文 

大日如来は宝冠やブレスレットなどの装飾品を身につけていて、衣の軽やかな質感を写実的に表現している。

 4.溌剌とした表情

 如来像でありながら、老成した印象ではなく、凜としたエネルギーに満ちあふれた表情をしていおり、若々しさが映し出されている。

 5,ふっくらした肉体の表現 

内側から力がみなぎるような新しい感覚があり、運慶の若々しさが表れている。

 6.清らかさに満ちた存在感

 大日如来は密教においてすべての仏の最高位で、宇宙そのものを仏格化したものとされており、ふっと近づきたくなるような清らかで自然な落ち着きを感じさせる存在である。

  運慶の大日如来座像は、鎌倉時代の社会的、宗教的背景の中で生まれた作品であり、これらの特徴を通じて、その時代の仏像彫刻の新たな扉を開いたと言える。運慶の作品は、後世の仏像彫刻にも大きな影響を与え、日本の仏教美術史上重要な位置を占めている。

参考文献    
京都国立博物館/編集 院政期の仏像-定朝から運慶へ- 岩波書店 1992
https://www.byodoin.or.jp/learn/sculpture/
https://wanderkokuho.com/201-11036/#google_vignette
https://www.miho.jp/booth/html/artcon/00000100.htm
https://nara.jr-central.co.jp/shajinavi/enjyouji/buddha_statue/
https://intojapanwaraku.com/rock/art-rock/2158/
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/static/ja/news_data/h/h1/news7/2013_1/documents/140220_2/01-dc29541f91c4b79b7df27ed1242476fd.pdf
https://kanagawabunnkaken.web.fc2.com/index.files/kobutuaikou/butuzouhakken/01unkeihakken07.html