11章古代の工芸-飛鳥時代から平安時代 | 65歳の芸大生

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定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に編入学しました。このブログが日々の学習内容の記録として活用しています。

この章の要点

古代には中国、朝鮮、さらに西域といった広範囲の影響を受けた多様な工芸品が登場し、技術的にも卓抜な水準を示すものが、法隆寺、正倉院などに残されてきました。7~8世紀の工芸品が伝世品として存在していることは、世界的に見てもたいへん貴重です。その豊かな工芸技術の一部は、その後の日本工芸の基礎を築くこととなります。またこれに続く平安時代には、海外からの直接的影響が減り、徐々に独特の発展を遂げ、和様化を果たしていきます。本章では飛鳥時代から平安時代までの工芸を取り上げ、代表的な作例を紹介しつつ、日本工芸の礎をたどります。 Movie1・・・正倉院宝物 Movie2・・・染織 Movie3・・・陶磁:唐三彩と奈良三彩 Movie4・・・唐鏡から和鏡へ Movie5・・・漆芸

 

天平勝宝8年(756年)、光明皇太后が聖武天皇遺愛の品々を東大寺の本尊に献納したのが正倉院宝物の始まりです。 法隆寺には、色鮮やかな経錦(たてにしき)である《蜀江錦》が伝えられています。正倉院の《赤地唐花文錦》は、ペルシア錦の影響を受けた緯錦の技法で織られています。 低火度の鉛釉が二色以上施された陶器を三彩(陶)といいます。唐三彩は中国の唐時代を代表するやきもので、なかでも《三彩龍耳瓶》は均整の取れた形態と美しい色調の優品です。 平安時代には、漆芸技法のなかでも蒔絵の技法が高度に発達しました。《沢千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃》では、この技法と螺鈿を併用した和歌の情景を思わせる意匠に、平安後期の漆芸作品の特徴をみることができます。