この章の要点
イタリア半島中部の一都市国家に始まったローマ帝国は、トラヤヌス帝の時代に最大版図を実現し、地中海全域に加え、現在のイギリスにまで領土を拡張しました。しかし、3世紀以降は異民族の侵入や内乱が繰り返されました。その後、コンスタンティヌス帝により313年にキリスト教が公認され、330年には首都もコンスタンティノポリスへと遷移されます。本章では、共和政中期から後期、帝政初期から盛期、そして4世紀前半までの美術の多様な変遷を見ていきます。 Movie1・・・円形闘技場コロッセオ -市民の娯楽を支える高度な建築技術- Movie2・・・古代ローマ壁画 -ポンペイの邸宅と装飾- Movie3・・・神々の殿堂パンテオン -ローマンコンクリート建築の粋- Movie4・・・戦勝記念碑 -「偉大なる歴史」の視覚化- Movie5・・・大土地所有者の別荘装飾 -理想の暮らしに見る伝統-
アウグストゥスは公的美術にネオ・アッティカ様式を採用しました。それは、古代ギリシアのクラシック様式に通じる古典主義的理想化を特徴とし、五賢帝の時代まで継承されました。しかし4世紀になるとコンスタンティヌスの凱旋門に見るように、反古典的な造形的傾向に変化します。