マニピュレーターが知っておいて損しない話(09)リハーサルその前に。ファイル整理編 | 夢が毛利毛利

マニピュレーターが知っておいて損しない話(09)リハーサルその前に。ファイル整理編

あ、、、僕だけ紹介されなかった。。(リハ初日にて)

引きこもりすぎの反動で、地方で盛り上がりすぎる皆様。

こんばんは、もうりです。


えぇっと先日の記事で一回燃え尽きました。。。
が、ここで書かないとやめてしまいそうなので、
仕事そっちのけでなんとか頑張りますw

さぁ、今回からは 実践編です。

マニピュレーターがどういう作業をしているのか、
これを知ってもらうのが1番わかりやすいかもしれません。

押すところ以外の僕も見て!!
はい。すみません。

一度、時間を巻き戻して、
リハーサルの前まで戻ろうと思います。

今回は リハーサルまでに行うべき仕込み その1
ファイル整理編です。

前にも書きましたが、

マニピュレーターの仕事で大事なのは準備です。

あらゆることを想定内に収まるように、
予習して、ファイルを用意して臨みましょう。
そうすれば想定外を楽しめます。。。

まず、僕らの仕事は
クライアントから、ファイルを渡されるとこから始まります。

僕の場合は、できれば、TD済みのPro Tools のファイルを
お借りするようにしています。

これは、曲の設計図でもあり、すべての素材が揃っていて、
製作者の意図を読み取ることができる地図だからです。

(今更ですが、マニピュレーター というより、
       ナビゲーター て、方が好きかも。。。)

これをしっかり解析しておけば、大体のことに対応できます。

最近では、ステムといって、ある程度まとめてバウンスしてある
ファイルを用意していただけることも多いです。

リハーサルが極端に少ない現場などでは、非常に助かるのですが、
バンドとの演奏の兼ね合いや、ライブに適した音作りの幅が
極端に失われてしまうので、時間があるなら僕は使いません。

ステムに関しましては、作成ルールも決まっておらず、
いろいろ問題のある仕組みだと思うので、
そのうちじっくりと触れたいと思います。


では、早速 作業内容に入ります。

さぁ、
ファイルをもらいました。
よくあるのは、予備曲あわせて、25曲とかでしょうか?

とにかく、まず全部ファイルをコピーします。
かならず、元のファイルは取っておくように!
直接触ってはいけません。

コピー容量が、今後
『1テラ、2テラ当たりまえ!』
になりそうで怖いです。。。

終わりましたら、次に、コピーしたファイルを全曲、
ちゃんと開くか、足りないオーディオはないか、など
確認しつつ、
今回適用する、サンプリングレート、ビットに
がしがし変換しちゃいましょう。

基本、待つことばかりの作業なので、
この間に、譜面を印刷したり、
資料用音源を聴いたりして
テンション下がらないようにしないと、

自分の人生に疑問とか出てきちゃうので
要注意です!

これで、半日~1日、終了です。


ファイルの変換が終わったら、
自分流にファイルを整頓していきます。

ステムもTDファイルも、
運良く、一人のエンジニアの方が作成していた場合、
ミックスの方法論やトラッキングも法則がみえてくるので
作業も進むほどに、スピードが上がっていきます。

悲しいかな、多くのエンジニアが関わっていらっしゃると、
人それぞれルールが違うので、
まずファイルの仕組みを理解するのに手間がかかります。
(こっちの都合なので文句は言わないように!)

曲によっては、すごいトラック数で、Bus、Auxも入り組んでいたりすると、
1曲解析するだけで、半日かかってしまうような事もあります。

ちゃんと余裕をもって早めに準備を始めましょう。。。
(オレがな!)

ここの作業をおろそかにしないことで、リハーサルでの
対応スピードが大きく変わると心得てください!

まず、

変換したファイルと、皆に配られている資料用音源が
同じものか、聴きながら判別してください。

ごくたまにバージョン違いなどもあります。
作業してから気づくと、凹むのでまず確認しましょう。

確認したら作業です。

トラック名は、自分さえ理解できればいいのですから、
すぐに判別できるように、自分流に短く書き換えていきましょう。
わからない名前だと、いつまでたっても何の音がなってるか
わかりません。。

名前が見やすくなったら、
自分が最終的に、出力するアウトプットの並びでまとまるよう
トラックの順番を並び替えていきましょう。
一つ一つ、どんなパートなのか、ソロにしてサッと確認しつつ、
並び替え、グループ組む、色をつける、バスでまとめる
などして、二度手間にならぬよう手早く整理します。

並び替えが終わったら、記憶が定かなうちに、
すべてのトラックを各アウトプットに
ざっくりアサインしてしまいましょう。
(僕の場合、16chに割り振ります)

と言いますが、どういった種類でアサインを分けるのか、、、

さっきファイル変換中に、資料用の音源を聴きましょう、
と書きました。
このときに、全体的に、どういう楽器が多いか、
考えながら聴いて、アウトプットの分け方を
イメージだけしておけばいいのです。

後回しにすると、また全パート確認することになるので、
ざっくりでいいです。
作業していくうちや、リハ中に変更する事は
手間にはならないので。

さて、そのアウトプットですが、
直接、トラックが出力される物理アウトプットに
アサインしてしまうのではなくて、
アウトプットごとに、バスにまとめておくのがいいと思います。

そうすれば、何かの事情で2ミックスに
しないといけないようなときにも素早く対応できますし、
瞬時に、アウトプットごとにレベルを変更する事ができます。


次に、

全曲マーカーを打っていきます。
マーカーを打つときは、かならず、譜面と同じ名称で、
譜面の流れが理解できるように入れてください。
リハーサルのとき、演奏者は譜面に書いてある
マーカー名で会話しますので、
自分もすぐに理解できなければいけません。

譜面も印刷しておきましょう。
リハでの会話には必要です。
さっとメモできるのはやはり便利です。

もし、
DAWばかりやってきて、
実は、、、譜面の読み方がわかりません。。。
という人がいたら、、、、
まず、すぐにネットで調べましょう。

それも億劫でわからなければ、
酒好きな親切なバンドメンバーを部屋呑みにさそい、
音楽を聴きながら酒をついで教えて貰えばいいです。
、、、、
なんて言ったら怒られそうですが、
譜面読めないままやんわり仕事するよりは
よっぽどいいので、うまく人に甘えましょう。

誰でも最初は知らない事だらけなので大丈夫です!

話がそれました。

ファイルに元からマーカーが打ってあったとしても、
これは是非、自分で打ち直しましょう。

再生しながら、マーカーを入れるという行動は、
自分なりに譜面に書き込みをするということです。

意識してこれを行う事で、曲の構成をなんとなく
脳みその片隅に入れる事ができます。
1曲の作業に、多くの時間をかけられるわけではないので
集中しどころです。

マーカーを打つ作業と同時に、
クリックを張ってしまいましょう。

まず、クリックですが、

これが聞こえなくなると、僕ら役立たずです。
(回線トラブルになり、指揮して乗り切ったこともありますが。。)

音楽的にも、

クリックの出来しだいで、
演奏のムードに大きく関わります。


いつも一緒にやるミュージシャンとなら
方法が決まっていると思いますが、
初めての方々(特にドラマー)の場合は、
何パターンか用意しておく必要があります。

まずは音色。
カウベル音、リム音、機械音、ハット音など。
このぐらいはすぐに差し替えできるように、
準備しておいてください。

4分で刻むか、8分か、
また8分の場合、裏はハットか、同じ音の音量差か。

この辺も、わかりやすいよう、
演奏する人の気持ちを考えて、作りましょう。

例えば、キック4つ打ちの曲の元気な曲に、
リムで4分のクリックでは、まったく聞こえませんし
不安になります。

ミドルテンポで気持ちのいいビートのところで
細かく、8分がなりすぎてもグルーブを阻害します。

かならず、これどっちかなぁって考えて、
2パターンは用意しておいて、
プレイリストで再生中でも切り替えられるように
準備しておきましょう。


曲頭などに、声のカウントを入れるのも大事です。
万が一、頭のクリックを聞き逃すと、拍がずれちゃいます。

1.2.1.2.3.4 

など、わかりやすく、テンポを邪魔しないような
声を入れておきましょう。


さぁ、ここまで出来ると、ファイルは綺麗に並んで、
アウトもアサインされて、クリックが貼られてます。

とりあえず、明日風邪をひいても
リハで音だけは出ます。

ここまで、全力で頑張って3日でたどり着ければ
いい感じです。

しかし、まだバランスもとれてないし、
細かいところは全くチェックできてませんね。

この後、音造りの事に入ります。

次回は

リハーサルその前に、
音の傾向と対策に、、フェードイン!!!


ではまた!

毛利泰士