マニピュレーターが知っておいて損しない話(08)システム編〜実践編。奥義です! | 夢が毛利毛利

マニピュレーターが知っておいて損しない話(08)システム編〜実践編。奥義です!

あれ、え~っと、、、これ押しても大丈夫だよね????

全日本マニピュレーターマニアの皆様こんばんわ、
もうりです。

昨日は、同期システムについてがっつり解説しました。
ダッキングを使用することで、だいぶ安心感が増すと思います。

では、今日はまったく逆の使い方に触れておこうと思います。
2台のコンピュータを、同期しないで使用する状況について、です。
(禅問答か!!)

スタートボタンを押して、ほうっておけば、
演奏が始まって、終わるなんて
おぬし、まさか思ってないだろうな!

やはり、ライブですから色々起こります。
むしろちょっと何か起こった方が、
事故にならない限りお客さん的には面白いです(よね?)。

事例を二つほど。

例えば、今どき多くのDAWは オーディオもループできると思います。

エンディングの繰り返しの数を決めずに、その日のテンションで合図で終わる、
なんて事よくありますよね。
その場合、2台を同期させていた場合、スレーブ機はループポイント以降
同期してるだけで、ループする訳ではありません。
大事なときに役に立ってません。。。

もし、 エンディングかと思い、
ループ解除したのに、バンドがもう1まわし突入しちゃったら。。

なんて時はどうしましょう。このままでは、僕だけ先に終わっちゃいそうです。


また、こんな事もあります。
Introの尺と、2A前の尺が微妙に違う、
2Aの長さが少し長い、とか、細かいアレンジの違いがあるときに、
「あ、歌、1小節先に歌いだしちゃった、、、
 あぁ、、バンド、歌についていっちゃった、、、」

さぁ、ほうっておくとどうなるでしょう。
Bメロはやり過ごせても、サビには色々素敵な音が待ってます。
が、1小節、僕はいま遅れています。

もう、汗かいちゃいますね、
瞬時に全身に力が入り、ぎっくり腰にでもなりそうです。

どうします? あきらめて全部止めちゃいますか??

否!
こんな時こそ、勇気をだして!
自力で合わせましょう!!!!

ブログ、その04 で説明した、ロケートの話はここにつながります。
いつでも、どこからでも、ロケート! の真骨頂です。

二つ目の例、ずれてしまった場合の対処を、
時系列で説明しましょう。

01.なにかしらの事情により、同期と演奏の場所がずれる
02.まず、マスター機の、ずれていては困る音をミュートする
 (音程のあるもの、コーラスなど。ループ、ミニマムなシーケンス、
  クリックは若干違和感あっても残しておく)
03.スレーブ機を止めて、同期モードを解除し、演奏の位置に合わせて走らせる
04.スレーブ機の音が出力されるパッチに切り替える
05.マスター機を止める

簡単にいうとこうなります。

いくつかのポイントがありますが、

大事なのは、
どうやってスレーブ機をぴったりのタイミングで合わせるか、です。
いくらタイミングよく押せる自信があっても、
音を確認せずにやるのは無謀です。

どうすれば、いいか?
これは、
DJのキューと同じ発想です。

マスター機の音をPAに出力しながら、
スレーブ機の音をセルフモニターする、です。

デジタルミキサーでまた新たにパッチを組みましょう。

(パッチE)マスター機だけ、PAにBUS/AUXが出力されて、
      スレーブ機だけステレオバスでセルフモニターできるパッチ
      (ステレオバスにクリック込み、大きめで)

(パッチF)スレーブ機だけ、PAにBUS/AUXが出力されて、
      マスター機だけステレオバスでセルフモニターできるパッチ
      (ステレオバスにクリック込み、大きめで)

この2つです。

改めて、細かく手順を説明すると、

01.ダッキングシステムの パッチD で再生中に、演奏と同期がずれる。
02.パッチEに切り替えて、コード、演奏に合わない音を
  ミュートする。(マスター機は、走らせたまま)
03.スレーブ機を止めて、同期モードを解除、
  クロックモードをインターナルに。
  セルフモニターで、DM1000のステレオバスのチャンネルをオンにする。
  セルフモニターで、マスター機のクリックを少し大きめに聴く。
04.サビなどがくる前のロケートしやすい位置へ
  演奏に先回りしてロケートして待機。
05.マスター機のクリックとスレーブ機のクリックのタイミングが
  合うよう意識して、再生。合うまで繰り返す。 
06.印象的なパートが来る前の目立たないところで、パッチFに切り替える。
07.マスター機を止める。
08.余裕があれば、同様の手順で再度マスター機のタイミングも合わせる。

これで、何事も無かったように音が途切れずに流れ続けます。

書いてるだけで肩がこるような状況ですが、十分に起こりうることです。

やはり難しいのが、再生のタイミングをうまく合わせる技術。
この状況下では、間に合わないよりはましなので、
フェーズするほど合ってなくても大丈夫です。
それでもDAWは押してから、音が出るまでだいぶタイムラグがあるので、
慣れてないとちっともタイミングが合わず難しいです(慌ててるし)。

一時停止がついてるDAWは、一時停止してから再生待機、
からの一時停止解除をすることでだいぶレスポンスが速くなります。
Dijital Performer では、この方法で
ほぼハードウェアのようにスタートすることができます。

これに関しては、そういう事態を想定して慣れておかないといけないので、、

練習です。

まさか、
マニピュレーターで練習が必要だと思いもしなかったかもしれませんが、
楽器の演奏経験の少ない方は、リズム感を鍛えるいい機会になると思います。

つぎに大事なことは、どこでスレーブ機のパッチに切り替えるべきか、です。
タイミングがあったからといって、慌ててパッチを切り替えて、
コーラスの途中とか、なにかの楽器のフレーズの途中から急に音が出たら
不自然に聞こえてしまいます。
自然につながるように位置を選ぶためには、
自分の出している同期音の内容、
全体のアレンジをしっかり把握してなくてはいけません。
仕込み、リハーサル、毎回の本番、バンドと共に音楽を奏でて
日々の変化を感じる気持ちあればできるはずです。

そう、僕らは生ものじゃなくても、音を出す側なのです。

このような姿勢でいて、上記のような出来事に対応することができると
いいことがあります。

それは、、、
バンドメンバーのクリックと同期に縛られている気持ちを
緩和することができる!


ということです。

この人は演奏に一緒についてくる、同期だけども融通がきく、
と皆が思ってくれていれば
演奏の固さも和らぎ、
音楽に躍動感を生む機会を作ることができるかもしれません。

ただ再生するだけじゃぁ、ないんです。

この技術を手にしたら1つ目の事案なんて簡単です。
スレーブ機も自走で合わせて、ループさせておけばいいのです。

さぁ、どうでしょうか?
システム的に事故を減らすのも大事ですが、
マンパワーで音楽的に事故を回避することもできます。


ライブですから!


今日は、システム編の流れから、実践編に移行してきました。
次回からは、いよいよ実践編。役に立つ Tips でもあり、
マニピュレーターが本番までにすることを
準備の段階から、紐解いていこうと思います。

次回、リハーサルその前に。 仕込み編 です!

では、みなさま、ごきげんよう。

毛利泰士