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病院に到着したのは
22時近くだったと思います。
(時間のわかるものを身につけていないので
逆算しての時間。)
すでに外来はしまっており、
「夜間通用口」から
産科のある病棟へ担架で運ばれました。
とはいえ、
横になったままだったので
病院の間取りや
雰囲気もよくわからず
ただただ薄暗かったことを覚えています。
産科病棟は3階。
おそらく分娩室に通され、
病棟の看護師さんに
「無理しないでね」と言われながら
手術台のような場所に移ったのでした。
テレビで見る無影灯というライト。
私の中で、緊張感が走ります。
当直医は3人。
この中に、
のちにむすめと息子の
主治医になる医師もいました。
夫も一緒に分娩室へ。
慌ただしく進んでいく検査。
次々に注射を打たれていきます。
転院前の病院から
つけていたウテメリン点滴は外され、
エコーで子宮の状態を確認、
医師3人が
何かを話していました。
そのときに
「子宮頸管長がない」ということを
言っていたことだけ聞こえたのです。
ないって...
どういうことなんだろう。
不安は増大。
そもそも、
わけの分からぬまま
手術台に乗せられ、
息をつかぬほど
ことが進む。
新しく点滴をつけられるも
「お腹は張りますか?」
と聞かれて
すごく張っていたので
「張っています」
と答えると
点滴の値を
容赦なくあげられる。
そして、ここでは
ウテメリンの他に
マグセントという強力な
子宮収縮剤を併用することになりました。
マグセントが使えるのは
MFICU(母体胎児集中治療室)だけ。
そして、
これが最後の砦となる薬。
点滴を打たれた瞬間
意識が「ガクン」と落ちて
朦朧とする、
手足に力が入らなくなるのが
わかりました。
副作用。
心臓の動悸が激しくなります。
息苦しい。
念のため、
私の胸には心拍を確認する装置が
取り付けられます。
「点滴を打った瞬間、
まぶたが一気に下がって
トロンとして、
危ない薬だと思った。」
と夫が語るほど、強い薬でした。
そして最後に
「ステロイド注射を打ちます。
万が一、早産になった場合に
お腹の赤ちゃんの肺形成を助ける薬です。」
と言われ
肩に注射を打たれました。
痛い注射だと言われたけれど
すでに何本も検査のための注射、
点滴を打たれた身。
それで「赤ちゃんが無事ならば」と思えば、
注射を何本打たれようが
大したことはないとさえ
思えました。
*
その後、23時半ころに
すべての処置が終わり、
夫は家へ。
そして、私は
夜間の病棟に移るわけにもいかず
そのまま夜を明かすことに。
照明は薄暗くされたものの
部屋には
心拍を計る機械の明かりが
不気味に照らされます。
意識が朦朧としながら、
けれども急激な環境の変化に
眠れませんでした。
そして、このときの私は
知らなかったのです。
破水してること。
破水は、
出産でもっとも危ぶまれることです。
なぜなら、
外から菌が入り
子宮内感染する可能性が高まるから。
そうなると、
お腹の赤ちゃんに
多大な影響があります。
...
そして
子宮内感染を疑われた
私の体は、
「いつ出産するのか」
という大きな問題をはらんでいました。
