所有事業者:北陸鉄道(石川)

仕様・用途:都市間高速路線仕様(関越高速バスに充当)

登録番号:石川22 き ・・90

社番:18-077号車

配置:西部営業所

初年度登録:1988年

シャシー製造:日産ディーゼル工業

搭載機関:日産ディーゼルRE10型

車体架装:富士重工業伊勢崎

車体型式:富士重15型HD-Ⅱ

車両型式:P-DA67UE

車名:日産ディーゼルスペースウィング

撮影日:1989年10月1日(日曜日)

撮影場所:池袋・サンシャインシティ

 

 

これ、まだ温存していたんだ・・・。

ふそうと日野の組織率が高い北陸鉄道のバスにおいて、日産ディーゼルは意外な車種選択ですが、これは当時のバス事業者における “力関係” をまざまざと見せつけるものでした。

 

1980年代後半から昼行・夜行問わず新規路線の開業ラッシュで沸きに沸いた高速路線バス業界。北陸鉄道でも高速路線バスの参画に前向きで、1987年に名古屋鉄道(当時)との共同運行で名古屋-金沢間で運行を開始したのが最初とされています。その翌年に念願の東京進出を果たしますが、共同運行会社の西武バスに思わぬ条件を突きつけられます。大したことがないといえば大したことではないのですが、突きつけた条件とは「導入する車両を我々(西武)と同仕様にすべし」というもの。

 

関越高速バスは1985年に新潟線が開業していますが、プロデュースした西武バスは共同運行会社である新潟交通と越後交通にやはり「同じ車両で統一する」という条件を課し、日産ディーゼルのスペースウィングを導入させました。越後交通は知らんけど、新潟交通はどちらかというといすゞやふそうを中心としていた車種選択だったので、日デの導入には戸惑いを感じたと聞いたことがあります。後に富山地方鉄道(富山線)や頸城自動車(上越線)も西武の意向に従う形でスペースウィングを導入しました。北陸鉄道もご多分に漏れずスペースウィングを導入するのですが、名古屋便もスペースウィングだったので、特に違和感を感じることはありませんでした。

 

金沢便は後にJRバス関東も参画しますが、西武はJRに対しても同様の条件を突きつけます。しかし、JRバス関東は3軸車の導入については了承するものの、スペースウィングは導入せず、当時の東京営業所(→東京支店)の伝統に従ってエアロクィーン・Wを導入しました。国鉄バスの東京自動車営業所時代からふそうで統一していたため、そこは曲げられなかったようです。でも、昼行の中距離便では日産ディーゼルが導入されていたんですけどね。

いずれにしても、この当時の西武は、本筋の鉄道事業はともかく、バスとライオンズはめっぽう強かったです。

 

画像の18-077号車はそんな東京便開業時に採用したもので、最終的に3軸のスペースウィングは18台(1987年式7台、1988年式8台、1989年式3台)が導入されました。主に名古屋便、東京便、横浜便で使用されましたが、全部が全部なのかどうかは知らんけど、基本的には4列シートの昼夜兼用になります。ある媒体ではサブエンジン仕様と記されていましたが、DA67って直結冷房じゃなかったか?(その後の調査でサブエンジン冷房は特別仕様で、標準はエンジン直結式であることが判明。側面のルーバーの有無で判別可能)

関越高速バス金沢線は2001年に「金沢エクスプレス」という愛称を得るのですが、2007年6月に廃止されています。

 

今は訪れないので、どうなっているかは知らんけど、サンシャインシティの下はバス発着場があって、観光バスの待機場になっていました。関越高速バスはそこからではなくて、サンシャインシティの外にあるバス停が発着場でした。

 

 

【参考文献・引用】

バスラマインターナショナルCD-ROM復刻版No.17

BUSRAMA SPECIALNo.11「UDマークのバス達」

(いずれもぽると出版社 刊)

ウィキペディア(北陸鉄道、西武バス、金沢エクスプレスなど)