先日、「JR西日本の321系が「国鉄/JRにおける最後の通勤形車両」になるのでは?」とお伝えしましたが、私鉄に目を向けると、関東では至極普通な20m級4扉ロングシートの通勤用車両も関西だとそれを持つ会社ってそんなに多くないですよね。近鉄と南海、そして南海に乗り入れる関係で20級車体を採用した泉北高速鉄道くらいでしょうか? 大阪メトロは4扉ロングシートだけど、何故か中途半端な19m級だし、京阪、阪急、阪神、山陽は3扉だし。4扉ロングシートを採用するということは、それだけ通勤事情がハンパないということの裏返しなんでしょうけど、同じ大阪なのに、会社会社で考え方が異なるというのも利用者目線で見た場合、「それってどうなのよ?」と思うのは東京人の私だけなのでしょうか? 特に阪神なんば線は近鉄奈良線と相互直通運転をする関係上、20m級4扉ロングシート車を導入しても良さそうなものなのにね。

 

さて、南海電鉄です。

関西外遊をしてる時でもあまり乗る機会がない南海ですが、それでも本線は一応、全線完乗しまして、高野線も北野田までは乗りました(汐見橋線含む)。

その南海の通勤輸送を支えるのが9000系になりますが、画像は東急車輌製造(→総合車両製作所横浜事業所)で撮影されたもので、9504Fがロールアウトしたところを撮ったとのことです。

 

ある媒体で「南海9000系が南海初のステンレスカー」と表記していましたが、「あれっ!? 南海には日本初のオールステンレスカーの一つである6000系があるじゃないか」と異議をツイートしたのを覚えています。

確かに9000系登場以前、6000系や8200系といったステンレスカーが走っていましたが、敢えて言うなら「南海本線系統で初のステンレスカー」となります。6000系と8200系は高野線用で、9000系はその8200系(→6200系6250番台)をベースにしています。これも敢えて言えば「8200系の “本線バージョン” が9000系」になるのかな?

 

登場は1985年ですが、丁度似たような時期に、拘りの如く鋼製車体を貫いていた国鉄(205/211系)や東武(9000/10000系)、京王(7000系)、小田急(1000形)辺りがステンレス車体の導入を決断し、ある種のブームになっていました。

 

画像でも判るように、登場時はステンレス地にグリーンの腹巻きを巻いていましたが、これは高野線用の車両と識別する意味合いが多分に含まれています。1993年の関西空港開港時にイメージアップを意味して腹巻きの色を現在のオレンジとブルーに変更しています。

 

行く先方向幕は「特急四国号」が掲示されていますが、9000系の運用で最高位は区間急行や空港急行を含めた急行。でも、特急「サザン」で使われる12000系とはブレーキ関係で互換性があって併結も可能であったことから、2015年から「サザン」の自由席車として本格的に連結運転されるようになりました。前任車両の10000系とは同じ時期に登場した車両ながら互換性が無いようで、「サザン」での併結運転は実施されていないみたいです。

 

因みに「四国号」は往年の南海フリークには懐かしい響きかと思いますが、「ラピート」「サザン」登場前の南海本線のフラッグシップ。四国連絡の特急でしたよね。意外に思われるかもしれませんが、本州と四国を結ぶルートは何も岡山-高松だけでなく、和歌山-徳島(小松島)間も主要ルートの一つでした。その歴史は古く、1899年に和歌山-小松島間に航路が開設された際に連絡列車が設定されたことに端を発します。1922年に速達列車の運転も開始され、「浪速」「和歌」「住吉」「濱寺」「大濱」「淡輪」という愛称が与えられました。その後、いくつかの変遷を経て、1968年に「四国」の運転を開始、1985年に後継となる「サザン」が登場しました。

 

登場から間もなく40年が経とうとしていますが、リニューアル工事を実施しながら今もなお、第一線で活躍を続けています。同時期に登場した前述のJR205/211系、東武9000/10000系、京王7000系の活躍の場が狭められている昨今、今後の去就が注目されますが、南海に関してはかなり疎い方なので(他社のことも詳しいかと言えば全く疎い)、南海フリークもヤキモキしているのではないでしょうか・・・。

 

 

【画像提供】

モ様

【参考文献・引用】

ウィキペディア(南海9000系、8200系、10000系、サザンなど)