こないだ、歌手の八代亜紀氏の訃報をお伝えしました。

八代亜紀氏といえば、数々のヒット曲がある中で、1980年にリリースした「雨の慕情」が日本レコード大賞の大賞を受賞しました。

平成や令和は知らんけど、昭和の場合は歌手を志す以上、やはり目標としているのは「日本レコード大賞」の大賞と紅白歌合戦の出場ではないかと思ったりします。「日本歌謡大賞」と並んで、「日本レコード大賞」は歌謡界においては二大タイトルといっても過言ではない、ある種の威厳と格式がありました。でもその分、水面下で様々な忖度と裏工作が入り混じっていたという話も彼方此方で聞かれ、昔ほどの威厳が消え失せた今、日本の歌手は何を目指しているのか、敢えて聞きたいですね。

 

1976年(昭和51年)。

幼稚園を卒園して小学校に入学した私が一番最初に買った(買ってもらった)レコードが「およげ!たいやきくん」でした。

CX「ひらけ!ポンキッキ」から出た歌で、ひげ面とアフロヘアが特徴的な子門真人氏が歌っていました。

実質的な売り上げはオリコン調べで450万枚以上と言われ、「オリコン」におけるシングル売り上げ枚数では今もなお破られていない大金字塔になっています。

そんなバカ売れした「およげ!たいやきくん」ですから、誰の目にも「今年のレコード大賞は「たいやきくん」で決まりだね」というのは明らかでしたが、その年のレコード大賞は都はるみ氏の「北の宿から」でした。「およげ!たいやきくん」がレコード大賞を獲れなかった理由の一つが「子供の歌だから」というもの。

1990年に「おどるポンポコリン」がレコード大賞の大賞を獲りますが、あれっ!? 「おどるポンポコリン」は “子供の歌” じゃないの?

「だんご三兄弟」が(大賞の選考から)漏れた理由も「たいやきくん」に通じるものがあるんでしょうね。

 

1979年(昭和54年)。

この年のレコード大賞レースは西城秀樹氏の「ヤングマン(Y.M.C.A.)」とジュディ・オング氏の「魅せられて」の二つに絞られていました。我らが石野真子さんの「ジュリーがライバル」は賞レースに絡めませんでした。(泣)

どちらも名曲ですが、セースル的には「ヤングマン」の方が一歩リードしていました。あの振り付けも皆、マネしたし、社会現象になったことから、「今年のレコ大は「ヤングマン」で決まりじゃないの?」という期待が俄に高まります。しかし、実際に大賞を獲ったのは「魅せられて」でした。

「ヤングマン」が選考から漏れた理由が「外国曲のカヴァー」だから。

そう、「ヤングマン」は元歌があって、アメリカのヴィレッジ・ピープルが歌う「Y.M.C.A.」がオリジナルです。それを秀樹氏がカヴァーして大ヒットとなったわけですが、差別発言覚悟で敢えて申しますれば、「ヤングマン」が外国曲のカヴァーだというのであれば、ジュディ・オング氏は日本人じゃないですよね。外国曲のカヴァーがダメでも、外人は良いわけ?

 

これが「レコ大二大黒歴史」と言われている事件です。

その他にも光GENJIとWinkの大賞獲得問題や、SMAPの大賞獲得辞退問題もある意味、「黒歴史」に近いものがありますが、その辺りから「レコ大」の威厳は音を立てて崩れることになっていきます。大晦日の定番だった「レコ大」と「紅白」はもはや、誰も観ませんし、「ガキ使」や「K-1」など裏番組が善戦してそっちを支持する向きになっているようです。私的には「レコ大」も「紅白」も「ガキ使」も「K-1」も観ないけどね。

 

「レコ大」の黒歴史は、芸能界の「黒歴史」そのものだったりします。