京阪神地区からオレンジ色の電車が消えて久しいですが、んっ!? まだ201系って残ってたっけ? まぁ、どっちにしても事実上 「消えた」 といっても過言ではないですよね。

ところで、画像の103系ですが、見慣れぬ行く先を表示しています。昭和世代ならともかく、平成、令和生まれのお子ちゃま鉄道ファンからすれば、 「 “片町” って何やねん?」 って思うかもしれませんね。

 

それプラス、首都圏もそうですが、最近は路線を愛称で呼ぶことが多くなり、その路線の “本名” を知らない御仁もいるとか。例えば 「JR宇都宮線」 ですが、これを “本名” と思ってるらしいんですね。説明するまでもなく、 「JR宇都宮線」 の “本名” は東北本線ですが、何でもかんでも愛称で呼びゃあ良いってもんじゃないですよ。あと、 「埼京線」 ね。これも正式路線名だと思っている方がいるようですが、あくまでも埼京線は列車運転上の “通称” であり、大崎-川越間で見れば、大崎-池袋間は山手線、池袋-赤羽間は赤羽線、赤羽-武蔵浦和-大宮間が東北本線、そして大宮-川越間が川越線と、それぞれ正式な路線名があります。 「何で赤羽-大宮間が東北本線なんだよっ!?」 って憤慨するかもしれませんが、赤羽-武蔵浦和-大宮間は東北本線 (別線) 扱いになります。さらに言ってしまうと、新幹線だって、東海道新幹線は東海道本線の別線だし、東北新幹線も然り。

 

一方、関西に目を向けると、 「JR京都線とJR神戸線」 で浸透している路線も、正式には京都-神戸間が東海道本線で、神戸以西は山陽本線となります。国鉄時代は 「京阪神緩行線」 なんて呼ばれ方していましたね。さらに 「JR大和路線」 も正しくは関西本線になります。その事をどれだけの方がご存じかな? と思ったりするのです。因みに 「JR宝塚線」 は福知山線ね。JR東西線はどうするんだろ?

 

さて 「片町」 行きを表示している103系、駅名票から放出駅で撮ったのは判るかと思います。 「 “放出” ? これ、学研都市線?」 と予想した平成、令和生まれのお子ちゃま鉄道ファン、正解です。でも、念のために言えば、 「JR学研都市線」 はあくまでも “愛称” で、 “本名” は片町線と申します。それで思い出しましたが、 「JRゆめ咲線」 の本名は桜島線ね。今のご時世、昭和世代も 「片町線」 とか 「桜島線」 とは呼ばないですよね。そして、行く先が示すように、片町駅というのは存在したのです。とはいえ、大阪の方ですら、もはや記憶の彼方に消え去っていることと思いますが。

 

片町駅の歴史は古く、1895年に浪速鉄道の駅として開業しました。1897年に浪速鉄道は関西鉄道 (現在のJR関西本線) に吸収されますが、1913年に城東線 (現、大阪環状線) の京橋駅が開業すると、乗客は乗り換えに便利な京橋を使うようになり、京橋と片町との間は500メートルしか離れていないこともあって、乗降客は年々減少します。

一応、JRに継承されましたが、いわゆる 「片福連絡線」 の工事着工によって、最終的には京橋から片福連絡線の地下線を介して尼崎まで到達することが決定したため、開業時に廃止になることも併せて決まりました。そして1997年3月に片町駅は廃止になります。その至近にJR東西線の大阪城北詰駅が開業しています。

 

民営化後の片町線列車です。

片町線は、大阪市内を走る国鉄線としては、近代化から取り残されていたガラパゴス諸島のような路線であったのは有名な話だったりします。例えば、大阪市内の重通勤路線でありながら、最後まで旧型国電が残されていた路線であること、桜島線とともにJR西日本最後の101系運用線区であったことが挙げられます。また、大阪市内ではないけど、長尾-木津間は比較的近年まで (・・といっても30年は経過してるけど) 非電化で気動車が走ってたしね。そうかと思えば、207系の第一陣は片町線に投入されたりするなど、全線電化が完成すると、堰を切ったように利用者が激増し、この事が片福連絡線に繋がることになり、後々 「JR東西線」 として結実することになります

 

2枚目の画像は黎明期のJR西日本における、103系の代表的な姿ですよね。

典型的なのが冷房装置。JR発足時はまだ非冷房車が多数存在していたので、サービス改善とばかりに、WAU102と呼ばれる分散型冷房装置を103系や113系といった通勤車両に取り付け、冷房化率の上昇につなげていきました。ただ、残存している103系の冷房装置は国鉄時代からのAU75系であるのは何とも皮肉な話ですが。

方向幕は103系のものではなく、廃車になった101系のを取り付けています。寸法が合っていません。

 

たまには、 「学研都市線に乗ろう」 ではなくて、 「片町線に乗ろう」 って言ってみては如何ですか・・・?

 

【画像提供】

1枚目・・ウ様

2枚目・・イ様

【参考文献・引用】

キャンブックス 「103系物語」 (JTBパブリッシング社 刊)

ウィキペディア (片町線、片町駅)