予てよりプレスリリースで告知されていた通り、京成バスは3月29日から成田空港-東京駅 (鍛冶橋駐車場) 間を結ぶ 「有楽町シャトル」 に二階建てバスを導入しますが、運行開始に先駆けて、京成バスの東雲車庫で二階建てバスのお披露目会が催され、私も行って来ました。
会場となった京成バス東雲車庫 (奥戸営業所東雲車庫) です。
主に東京駅発着の京成高速バスの待機場 (操車所) で、一部の便はここから発着するものもあります。
基本的にお披露目会はプレス対象なんですけど、一般の参加者 (早い話がヲタ) も参加OKということで、広く二階建てバスの存在を知ってもらおうという意気込みが伝えられています。 「もはねの小部屋」 もプレス扱いかなと思ったら、世の中そんなに甘くありませんでした。春休みということもあって、家族連れで賑わうかなと思ったら、家族連れはそんなにいませんでした。
10時、京成バスのプレゼンが始まり、二階建てバスのお披露目が始まりました。
入場テーマ曲はありませんでしたが、車庫端にある庫から出された二階建てバスは、ゆっくりと会場内に入ってきました。
一旦、左に曲がって、そこからバックで特設会場に据えられました。
やはり、二階建てバスの存在感は圧倒的です。
挨拶をする京成バスの幹部 (常務取締役の方だったと記憶しています) 。そこで、二階建てバスの導入経緯を簡単に説明していました。
国土交通省が推進する 「2020オリンピック・パラリンピック東京大会の円滑な運営に向けたバリアフリー化」 に対応すべく、数年前から導入に向けた検討を始めたそうです。既に京成バスには2台のリフト付きバスを導入していますが、乗降時間が相当数要することと、リフト設置により定員が減ることなどから、二階建ての導入が検討されました。しかし、既に国内には二階建てバスの製造を行っているメーカーは無く、他事業者からの譲渡も計画されたみたいですが、そんな折にはとバスが共同開発に参画したバンホール/スカニア製の二階建てバス 「アストロメガ」 が日本で走り始め大きな話題を呼びましたが、京成バスはこの車に注目し、導入に向けて本格的にスカニア側と折衝を重ねます。
「アストロメガ」 は既にはとバスと東京ヤサカ観光バス (常務は 「帝産観光バス」 って言ってたけど、正しくはヤサカです) 、での導入例がありますが、今回導入分は初の高速路線仕様であることと、1階部分をバリアフリー化したことが大きな特徴で、スカニア側との折衝は 「1階部分をどうするか?」 という一点にほぼほぼ重点が置かれたようです。
構造上、車いすスペースは1ヶ所のみになってしまいましたが、一般路線仕様車と同一の可搬式スロープを設置して、乗り降りを容易にしました。この結果、車いすの乗客を乗せるのに3分程度の時間で済んだことと、リフトを無設置にしたことで、定員が通常車両同様の53人を確保出来たということで一気に実戦投入に向けて計画が進行しました。
現業機関の偉い人から運転士にキーが手渡されます。
これがスロープを装着した状態です。
実際に、一般参加者の中に車いすに乗られた方がおりまして、体験乗車をしていましがが、これでもニーリング機能を使っているのでしょうが、勾配がきつくないか? と感じました。従来のリフトよりかは乗降がスムーズになること請け合いではあろうけど、この勾配のきつさは乗せる側もちょっと苦労しそうな部分です。 「これは苦労のうちに入らない」 ということであれば話は別ですが、車いす利用者は十人十色、標準的な体重であればそんなに苦労は伴わないのでしょうけど、私のような標準以上の体重だと、勾配と重なり合って重労働のような気がします。まぁ、それは一般路線車も同じだと思いますけどね。
それから、最近のノンステップバスのスロープは折り畳み式か格納式になっていますけど、こちらは着脱式。どっちが良いのかは、それぞれの事業者の判断に委ねられますが、私見は、折り畳み式とか格納式の方がセッティングに時間がかからないですよね。
挨拶が終わると、内覧会です。
試乗会は最初から申し込んでいないので、参加出来ませんでしたが、内覧会は申し込まなくても参加可能でした。
さりげなく (?) 撮ったコクピット。
12速機械式AMTを備えています。また、車間距離保持機能付きクルーズコントロールや衝突被害軽減ブレーキ、電子制御式安定走行プログラムなどを備えています。
1階部分です。
車いすスペースは1脚のみで、座席は介助者が座るものです。これも外して車いすを2脚据えられるようにすればいいのに・・・。
荷棚 (左) と料金箱 (右) です。っつうことは、一般乗客も車いす乗客も後方乗降になるんですね。
「こっちにも車いすスペースを・・・」 と思いましたが、成田空港へということを考えると、やっぱり荷物スペースは必要ですね。
乗降口の目の前にある便所。
これもバリアフリー対応でしょう。
二階席にやって来ました。
標準な4列シートで、2階席は51人乗り。でも、ちょっとシートピッチが狭そう・・・。
ちょこっとだけ座りましたが、座り心地はそんなに悪くありません。
補助席はありません。
後方を眺めています。
写っている女性は、京成バスの案内係の方 (広報担当でしょうか?) 。なかなか可愛かったりします。
アストロメガの心臓部、スカニア製ユーロ6 (DC13) エンジン。
NOxを95%削減しつつ、302kw (410PS) を叩き出すそのパワーに、欧州のユーザーは羨望を抱いている・・・・のだそうです。
こうしてバスを降り、申し込みに当選した人を乗せて試乗会へと出発していきましたが、その後も参加者は残っていたみたいです。私は帰還後の質疑応答には参加せず、そそくさと会場を後にしました。
これは、京成バス様からいただいた記念品。
二階建てバス導入のプレスリリース兼パンフレット、アストロメガの公式パンフレット (カタログではありません) 、スカニアジャパンが作成したパンフレットとボールペンとクリアファイル、 「有楽町シャトル」 のパンフレット、京成バス作成のマウスパッドと路線図が入っていました。また、受け付け時にお菓子とミネラルウォーターが配られました。
導入のニュースを聞いた時は、高速路線バスもバリアフリーに対して本腰を入れたと評価しましたし、二階建てバスの新たな活用法ということで、違った道筋が開けたと、二階建てバス復権の狼煙に喜びましたけど、現車を見ると、車いすは1脚しか乗せられないし、乗り降りがちょっと不自由っぽいし、そこは改善すべきかなと思ったりしました。例えば、乗り場を嵩上げして乗り場とバスとが完全に近いフラット状態にするとか、今回の荷棚は廃止してもう1~2脚据えられるようにするとか、その辺りの改善は早急にすべきだと考えます。それから、無理に50人もの客を詰め込む必要は無いような気がします。40人乗りくらいにすれば、もう少しゆったりと座れるのではないのでしょうか?
いずれにしても、まずは1台導入して、運行を兼ねながら検証していくことは言及しているので、その一つ一つの検証項目が増備車にどの程度、フィードバックされるのかが注目されます。
風の噂で聞きましたが、アストロメガはJRバス関東も導入を検討しているらしいとのこと。これに触発されて、国内のメーカーも二階建てバスの再生産を検討して欲しいなと切に願っています。
以上、現場からお伝えしました。