誰が何と言おうと、国鉄最強のディーゼル機関車はこの911形を置いて他にはありません。
パワーユニットこそ、DD51と同じDML61 (1号機はDML61S、2~3号機はDML61Z) を搭載していますが、およそ日本の鉄道車両とは思えない流麗なスタイルは、 「鉄道車両界の岡田眞澄」 と言われたほど (大仰です) 。救援用機関車として非常時にしか出番が無く、ややもすれば、 「ドクターイエロー」 よりも見るチャンスは少なかったかもしれません。新幹線に客車列車があれば、この機関車も活用範囲が広がったのでしょうけど、生憎、新幹線の営業車両は全部電車ですし、よしんば客車列車があったとしても、牽引機関車は電気機関車になるでしょうから、やっぱり出番は限られていたでしょうね。
911形は東海道新幹線が開業した昭和39年に登場しました。当初から故障した新幹線電車を救援する非常用の機関車という立ち位置で、万が一の事態で電力供給がストップすることを考慮してディーゼル機関車としました。
前述のように、搭載エンジンはDD51と同じDML61型で、液体変速機はやはりDD51と同じDW2型としましたが、使用目的によって引張力と速度を二段に切り替えられるように、高速段と低速段の副変速機を付け加えたDW2B型を搭載しました。そうやって考えると、911形はDD51の派生モデルと言えなくも無いのですが、DD51は中間台車を付随台車としてD級としたのに対し、911形は6軸全てが動力軸としたので、F級機関車という扱いになります。そのため、ディーゼル機関車としては桁外れのパワーを叩き出していて、最高速度は160km/hとなっています。一部媒体で210km/hまで出せるようなことを記述したのもありましたが、どうやら誤った表記のようですね。勿論、当時としては世界最速のディーゼル機関車で、山陽新幹線開業時には、新大阪-岡山間を1時間で走破しまして、その平均速度は165km/h。ディーゼル機関車の世界最高速度をマークしました。
とはいえ、いつまで経っても非常用機関車という立ち位置は変わらず、ひっそりと退場したのはホントに勿体ないなって気がするのですが、1両くらい保存して欲しかったですね。世が世であれば、 「リニア・鉄道館」 での保存対象車両になったんでしょうけど、解体されてしまったのは惜しい限りです。
【画像提供】
タ様
【参考文献・引用】
ウィキペディア (新幹線911形ディーゼル機関車)