事業者名:弘南バス(青森)
使用・用途:都市間長距離夜行高速路線仕様(高速「ノクターン」号仕様)
登録番号:青森22 か ・286
社番:36106-12号車
配属:高崎営業所
初年度登録:1986年式
シャシーメーカー:三菱自動車工業
エンジン型式:三菱8DC9型
ボディ架装:三菱自工名古屋
車両型式:P-MS725SA改
車名:三菱ふそうスーパーエアロタイプⅡ
撮影日:1989年7月30日(日曜日)
撮影場所:京浜急行観光バスセンター
ここ最近、夜行高速路線バスはハイデッカーが中心となっていて、スーパーハイデッカーは殆ど新車では導入されなくなってしまいました。コスト削減というのもあるんでしょうけど、観光バスと違って夜行便の場合は基本的に 「如何にして熟睡出来るか」 がまず先にありきなので、熟睡出来ればハイデッカーでもスーパーハイデッカーでも関係ないという事業者の考えがあるんでしょうね。だから、購入価格を少しでも軽減して、浮いたお金は内装代 (特にシート) にかけているのかもしれません。だったら180度倒れる 「スリーピングシート」 を導入すれば良いじゃないかという声もありますが、まだ日本において180度倒れるシートは安全上の問題か何かで認可されていなかったはずですし、よしんば180度傾倒シートを導入したら、今度は定員に問題有り、つまりそんなに多くは乗せられないというのもあります。やはりその辺が寝台列車と違うところで、なかなか両立は難しいようです。
そこへいくと、1980年代から90年代にかけては、夜行高速路線バスといえばスーパーハイデッカー。一種のステイタスみたいな感じで、開設する路線、開設する路線がこぞってスーパーハイデッカーを導入して、それも観光バスとは違う特殊装備を持ったバスですので、乗る側と運転する側は優越感に浸り、撮影する側は羨望の眼差しでカメラを向けていたという時代でした。シャシーメーカーもボディメーカーも軒並みのオーダーに嬉しい悲鳴を上げていたに違いありません。
さて、画像は来年で開設30周年を迎える 「ノクターン」 号の初代専用車の中の1台です。
度々お伝えしているように、夜行高速路線バスの “三大レジェンド” が 「ドリーム号 (国鉄バス) 」 「ムーンライト号 (阪急電鉄、西日本鉄道) 」 、そしてこの 「ノクターン号 (京浜急行電鉄、弘南バス) 」 になるわけですが、 「ノクターン」 の凄いところは、運行開始から30年が経とうとしているのに、今だに需要が絶えることが無いという点。東北新幹線が新青森まで開通して、さすがに一頃に比べて減少しているようにも見えますが、それでも起終点の差異こそあれ、1日7台を出しているのは称賛に値します。それまでの夜行高速バスは、東京-大阪や大阪-福岡といったように、都市部と都市部を結ぶものが一般的でしたが、 「ノクターン」 は初めて都市部と地方都市を結ぶ便として大きな話題になりました。しかも青森市ではなくて弘前市という場所に着眼したのも、業界の注目を集めました。
度々お伝えしているように、夜行高速路線バスの “三大レジェンド” が 「ドリーム号 (国鉄バス) 」 「ムーンライト号 (阪急電鉄、西日本鉄道) 」 、そしてこの 「ノクターン号 (京浜急行電鉄、弘南バス) 」 になるわけですが、 「ノクターン」 の凄いところは、運行開始から30年が経とうとしているのに、今だに需要が絶えることが無いという点。東北新幹線が新青森まで開通して、さすがに一頃に比べて減少しているようにも見えますが、それでも起終点の差異こそあれ、1日7台を出しているのは称賛に値します。それまでの夜行高速バスは、東京-大阪や大阪-福岡といったように、都市部と都市部を結ぶものが一般的でしたが、 「ノクターン」 は初めて都市部と地方都市を結ぶ便として大きな話題になりました。しかも青森市ではなくて弘前市という場所に着眼したのも、業界の注目を集めました。
元々、弘南バスと京浜急行電鉄はお盆や年末年始に 「帰省バス」 を運行していましたが、これが結構好評だったのです。当時、東京 (上野) -青森間というと、鉄道が圧倒的シェアを誇っていましたが、特急にしても急行にしても切符が取れればラッキーという時代。しかし、場合によっては座れないばかりか、臨時列車となるとリクライニングしないシートの旧形客車を使うことがあり、おまけに非冷房となれば、夏場は最悪です。 「帰省バス」 の場合は、予約制で必ず座れますし、おまけに観光バスを使うから冷暖房は完備です。さらに国鉄よりも運賃が安いとなれば、多少疲れるけど、 「こっちの方が良い」 と敢えて 「帰省バス」 を選ぶ人も少なくなかったと聞きます。そこで弘南は 「帰省バスを定期化出来ないだろうか」 と京浜急行に話を持ちかけて、実現したのが 「ノクターン」 となるわけですが、当初はやはり不安視する声が大きかったみたいで、 「繁忙期ならいざ知らず、通常期に需要があるか?」 という声が圧倒的だったそうです。しかし、いざ蓋を開けてみれば大ヒット御礼で、弘前にこれだけの需要があるとは予想だにしなかったことでしょうね。
この 「ノクターン」 の成功がきっかけで、全国に夜行高速路線バスが相次いで開業することになるのですが、前述のように東北新幹線が全通したことによって、人気に翳りが見え隠れしているのも事実。実際、私も一度だけ 「ノクターン」 に乗りましたが、弘南ご自慢の 「スーパーシート」 にご満悦出来なかったんですね。寝台特急 「あけぼの」 が廃止になって、今は 「ノクターン」 の一人舞台になっていますが、車両は平凡な3列独立シート。いつの間にか 「スーパーシート」 が廃止になっているし、 「ノクターン」 の弘前到着時間と朝イチの 「はやぶさ」 の新青森到着時間が2時間しかないことを考えると、このままでは本当に新幹線に乗客を奪われかねません。今一度、 「ノクターン」 の今後について京急も弘南も考える時期に差し掛かっているのではないかと思います。
とはいえ、京急も弘南も夜行高速便に関してはスーパーハイデッカーを導入し続けているのは拍手ものです。
【参考文献】
ウィキペディア (弘南バス、ノクターン号)
ウィキペディア (弘南バス、ノクターン号)