
原宿駅に進入する山手線の103系・・・・あれっ!? 色がヘン。通常、山手線のラインカラーは黄緑ですけど、何でスカイブルーなの・・・? と感じた方も少なくないかと思われますが、察しの良い方ならすぐにお気づきでしょうけど、この列車はイベント列車です。
JR発足後間もない1987年4月11日と12日の2日間、山手線内に 「おもしろ電車」 という列車が走りました。使用車両はご覧の通り、103系なんですけど、基幹ラインカラー5色を混ぜ合わせて一つの編成に仕立て上げました。国鉄時代でも101系や103系の混色というのは特に珍しいことでも何でもなかったわけですが、5色混合というのはさすがにあまり実例が無く、関西ではエメラルドグリーンが無いため、関東でしか実現出来ない画期的なイベントだったと聞いています。因みに1987年4月11日と12日、私は休みで、2日間とも家でゴロゴロしていたと記録されていますが、この列車の存在を知っていれば撮りに行ったのに・・と悔やまれます。
さて、調べてみて 「じぇじぇっ!」 という事がありました。それは、この5色混合編成、2本組成されたんですね。てっきり1本のみかと思ったら、内回りと外回りで1本ずつ運行出来るように設定したのだとか。
当日の編成は下記の通りです。
↑内回り進行方向
【100編成~4月11日内回り、12日外回り】 【200編成~4月11日外回り、12日内回り】
クハ103-321 (ウラ) クハ103-741 (ヤテ)
サハ103-379 (ウラ) サハ103-272 (ヤテ)
モハ103-1005 (マト) モハ103-149 (ナハ)
モハ102-1005 (マト) モハ102-280 (ナハ)
モハ103-356 (トタ) モハ103-355 (トタ)
モハ102-512 (トタ) モハ102-511 (トタ)
モハ103-142 (ナハ) モハ103-1039 (マト)
モハ102-267 (ナハ) モハ102-1039 (マト)
サハ103-274 (ヤテ) サハ103-380 (ウラ)
クハ103-754 (ヤテ) クハ103-322 (ウラ)
↓外回り進行方向
まず、編成の車号を見てふと思ったのですが、各基地でも番号的には近似値の車両を捻出していますが、モハ102の2000番代とかは捻出されず、あまり面白味がないのも否めません。そういう意味で松戸の1000番代はちょっと際立っているようにも見えます。
何故か山手電車区のサハ (272と274) は、編成中唯一の非冷房車ということで、予備車が無かったものと推察します。豊田の朱色は武蔵野線用、中原の黄色は南武線用だったそうです。前述のように、松戸から持ってきた車は1000番代ということで、0番代に予備は無かったんですね。画像は内回りでスカイブルーなので、クハ103-321ということになりますか。
因みに・・
クハ103-321、322・・・・・・新製配置は浦和クハ103-741、754・・・・・・新製配置は池袋モハ103-355、356・・・・・・新製配置は池袋モハ102-511、512・・・・・・新製配置は池袋モハ103-142、149・・・・・ 新製配置は下十条モハ102-267、280・・・・・ 新製配置は下十条モハ103-1005、1039・・・新製配置は松戸モハ102-1005、1039・・・新製配置は松戸サハ103-272、274・・・・・ 新製配置は池袋サハ103-379、380・・・・・ 新製配置は浦和
となりまして、結局、出自は山手線や京浜東北線で活躍してた車ばかりで、久々に古巣で走ったという図式になります。
運用的には、特に臨電扱いというわけではなく、通常のダイヤに組み込まれての運用となっていたみたいです。山手線を待っていて、こんなカラフルな電車が来たら、 「これ、乗っていいの?」 ってことになりますよね。特に田端-品川間においてスカイブルーの先頭車だったら、京浜東北線と間違わないかと (方向幕は 「山手線」 となっていますが、方向幕の故障ということも考えられますからね) 。なお、方向幕については、松戸、中原、豊田の車両には 「山手線」 の幕は用意されていなかったみたいで、行き先なしの白幕になってたそうです。国鉄時代、首都圏103系の方向幕はどの線区にでも行けるようにと、ほぼ全線分の幕は用意していたのですが、国鉄末期はそれぞれの区所で独立した幕になったみたいですね (特に松戸車は常磐線、成田線対応の幕しか用意していなかった) 。
国鉄時代は転配が繰り返されて、塗装変更が間に合わなかったことから、古巣のカラーでそのまま走らせたのが混色の根源だったのですが、逆にそれが仇となって、 「何線に乗っているか判らないじゃねぇかっ!!」 という苦情が殺到した逸話もあります。特に国鉄末期の武蔵野線とか常磐線快速は3色とか4色混合なんてぇのも日常的に走っていましたからね。画像はあくまでもイベント。 “カラフル” を楽しむという意味では、この施策は大当たりだったのかもしれませんね。
【画像提供】
は様
【参考文献】
キャンブックス 「103系物語」 (JTBパブリッシング社 刊)
前納浩一のホームページ電車館