ある日の夜の須賀ハジメさん宅の物語です。
今夜は年に数回満月がいつもよりも大きく見えるスーパームーンだった。
「なぁ。今夜はスーパームーンってことだから、お月見しないか?」
「いいわね。じゃあ、屋上に行ってみてみようよ。郁乃ちゃんもお月さま見に行くわよ」
ハジメ、郁子、そして娘の郁乃は非常階段を上がります屋上へ出ようとした。
「あ、鍵がかかってる」
ハジメのマンションでも最近は防犯の為に屋上へは出れないように施錠されていたのだ。
「はークン、ちょっとごめんね」
郁子はハジメの横をすり抜け、扉のドアノブを握った。
"バキッ"
郁子のスーパーパワーの前では、施錠の意味もなかった。
「さすが、スーパーウーマン…」
ハジメは思わず呟いた。
「さあ、外でお月見しましょ」
郁子は何事もなかったように、屋上へ出た。
「あれ?雲ってきたわね。鍵は壊れていたことにして、管理人さんに言っておくわ。
それより、もっと近くでお月見をしない?郁乃もいっしょよ」
郁子はそういうと、ハジメを抱き抱えた。
「はーくん、行くわよ」
郁子はそう言うと、軽く地面を蹴った。
ビュン
一瞬で雲を突き抜け、成層圏にでた 3人。
「はークン。こんなに月が大きく見えるわよ」
「ほんとうだ、キレイだね…って二人ともいつの間に!?」
スーパーガールの郁子、育乃の母娘は飛びながらいつの間にか、スーパーガールのコスチュームに変身をしていた。
「うぅ…それにしても随分冷えるな…」
「あらそう?」
彼女たち二人のスーパーガールにとって、灼熱の太陽から極寒の南極まで快適な生活環境なのだ。
「ねえ、はークン。もう少しわたしに近づいてくれる?」
「うん。こう?」
ハジメは、自分から郁子に抱きついた。
「これで寒くないでしょ?」
そう言って郁子は、ハジメ を真紅のマントでくるんだ。
間近で感じる郁子の柔らかな感触に顔を真っ赤にするハジメ。
「パパー!ママー!」
さらに上空から二人を呼ぶ娘の声がする。
「ふふふ、見て^^」
月をバックに華麗に空中でバレエを舞うスーパーガール郁乃。
「パパ、ちょっと待っててね」
郁乃は月に向かって猛スピードで飛び上がると、ものの数秒でハジメたちの元へ戻ってきた。
「へへ~、お月さまに行ってこれ拾ってたの、パパにあげる♪」
郁乃はそう言って手のひらのキラキラと光る鉱石を差し出した。
「へぇ、キレイだなぁ、ありがとう、かわいいス ーパーガールさん」
「どういたしまして♪」
ハジメが頭を撫でると、郁乃は満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか?」
「ふふ、はークン。せっかくだから世界一周して帰らない?」
郁子はそう言うと、いたずらっぽく微笑んだ。
ビュン
あっという間に、世界一周を終え、気がつくとハジメの部屋にいた。
「もう、いつまで抱きついてるの?うちに付いたよ」
ハジメが気がつくと、もう、家の中にいた。
「あれ?郁子さん、もう着替えちゃったの?」
気がつくと、郁乃、郁子の二人はいつの間にか普段の姿に戻っていた。
「こんな二人が、その気になれば光速で空を飛べるスーパーヒロインなのか…」
そう思うと、思わず股間を押さえるハジメだった。
ーおしまいー