12月下旬――
ハジメは義母の沙織さんと二人、正月の買いだしに出かけていた。
「あの・・・お義母さん?」
「なあに?」
ハジメの問いかけに沙織さんが振り返る。美しすぎる顔がなぜか超どアップだ。
「あの・・・なんで腕を組むんですか?」
「なんでって、デートだからよ^^」
あっけらかんと答える沙織さん。
「で、デートって!?ただの買い物じゃないですか!」
ハジメは顔を真っ赤にして否定した。
「あら、デートでいいじゃない^^」
そう言って、沙織さんは聖母のような極上の笑みを見せた。
「ハジメくんは私と腕を組むの嫌?」
「い、嫌じゃないですけど・・・」
「じゃあ、いいじゃない^^」
力ずくで振りほどこうにも、沙織さんのスーパーパワーに敵う訳もなく観念して歩き出す。
「ふふ、ハジメくんってほんといい子ね♪」
その時だった。
“ドオォォン!!”
二人のデート(?)をさえぎったのは、どこからか聞こえた爆発音だった。
振り返ってみると、通りの100mほど向こうの銀行から大きな黒煙が上がっていた。
「なにかあったのかしら?」
一転して、凛とした表情に変わる沙織さん。
その時、黒煙の中から大きな黒いバンが猛スピードで飛び出してきた。
「も、もしかして、銀行強盗!?」
「ハジメくん、ちょっとこれ持ってて」
沙織さんは手荷物をハジメに手渡すと、両手で力強くコートをはだける。
お馴染みのブルーのボディスーツがあらわになった。
沙織さんの大人の色気満載のほどよく肉のついた逞しい身体、はちきれんばかりの胸に「S」のエンブレムが力強く輝いている。
「お義母さん綺麗だ・・・」
ハジメは思わずつぶやいていた。
「ふふ、ありがと^^じゃあ、すぐ終わらせるからちょっと待っててね」
そう言うと、沙織さんは空気を切る音と共に、ハジメの前から姿を消した。
腰に手を当て爆走するバンの前に立ちふさがる沙織さん、いやスーパーウーマン。
「逃がさないわよ・・・!」
スーパーウーマンの眼が金色に光る。
その両眼から放たれた熱線が車の前輪に直撃した。
“バャァァン!”
タイヤがバーストしてコントロールを失ったバンは、激しく横転しそのまま猛スピードでスーパーウーマンに向かって飛んでくる。
「危ない!」
ハジメは思わず叫んでいた。
しかし、スーパーウーマンは慌てることなく右手を前方に差し出した。
空中で巨大車体を難なく片手でキャッチしてみせる。
車のボディはまるで粘土のようにぐにゃりと曲がり、スーパーウーマンの繊細な指を食い込ませていた。
「さあ、出てらっしゃい」
スーパーウーマンは空中でバンをひっくり返すと、車中から4人の覆面姿の男たちがふるい落とされた。
「これで全員かしら?」
中を確認してから、適当な場所にバンを投げ捨てるスーパーウーマン。
「く、くそ・・・何が起きたんだ・・・!?」
目出し帽を被った犯人たちは目を回して、まだ状況がよく分からないようだった。
スーパーウーマンは犯人たちを、片手で二人づつ、両手でまとめて四人の胸倉をむんずと掴むと宙高く吊るし上げた。
「ひぃ!?」
男たちの足が地面から1m以上浮き上がる。
「さあ、どうするの?自首してくれると、嬉しいんだけど」
「わ・・・わがりまじた・・・」
「ふふ・・・いい子ね♪」
スーパーウーマンは微笑むと空中で4人の頭をぶつけ合わせた。ゴンと鈍い音がして犯人たちは意識を失った。
ガードレールを捻じ曲げると、犯人たちの体に縛り付けるスーパーウーマン。
「一件落着♪」

スーパーウーマンは地面を蹴り大空へ飛び上がるとあっという間に消えていった。
「お義母さんすごいなぁ・・・」
スーパーウーマンの飛び去った空を見ながらつぶやくハジメ。
「おまたせ、ハジメくん」
突然の背後からの声にびくっとなった。
振り返ると、そこには沙織さん、いやスーパーウーマンがいた。
「お義母さん!?その格好見られちゃまずいって!」
狼狽するハジメを、沙織さんはひょいっと抱きかかえた。
お姫様抱っこの体勢だ。
「お、お義母さん!?」
「ふふ、デートの続きしましょ♪」
スーパーウーマン沙織さんはは悪戯っぽく微笑むと、ハジメを抱いたまま大空に飛び上がった。