いつもは地下鉄で通勤する恭子も週に一度は健康を気遣いジョギングで出社していた。彼女の場合は、パトロールも兼ねているのが実情だが…。
いつもは颯爽とスーツ姿で通勤をしている彼女もジョギング通勤のときはそれなりのスタイルである。
ホットパンツにスニーカー、ディパックを背負っていた。ただ、恭子の場合、ホットパンツからスラリとそして健康的なボリュームのある脚。Tシャツを今にも破りそうな豊かな胸の膨らみは、道行く人の注目の的でもあった。
川のほとりを心地良く走る恭子の背後を1台のバイクがつけていた。やがてそのバイクは恭子に並んだ。バイクにまたがった男は恭子に話かけた。
「おねえちゃん。ジョギングで通勤かい?よかったら、俺がオフィスまで送るよ」
「ありがとう。でも、また今度にして。私、急ぐから…」
「急いでいるなら、なおさらだなぁ…」
「うふふふ。私、自分で走った方が速いから…」
恭子はそういうと、スピードを徐々に上げていった。
「へぇ、おねえちゃん。なかなかじゃない?なにかスポーツやっていたの?」
恭子は無視をして、さらにスピードをあげた。
「あ、このアマ、無視しやがって。あれ?ウソだろ?」
男はバイクのスピードメーターを見て、驚愕の声をあげた。メーターは80マイルをさしていた。
「だから、言ったでしょ?私の方が速いって。じゃぁね」
恭子は音速に近い速度で走り出し、あっというまに姿を消した。
「な、なんだ?あの女。サイボーグか?スーパーガールか?」
男は唖然として、恭子の後ろ姿を見ていた。
「あれ?もうこんな時間。急がなくッチャ…。」
恭子はそういうと、運河を飛び越え、新聞社の裏手の公園へ降りた。
「誰も、見ていないわよね?」
恭子はまわりを見回しなにもなかったかのように歩きだした。
恭子、クラークたちのオフィスはビルの26階であった。
エレベーターに乗ろうとすると同じビルの中にあるオフィスにむかうサラリーマンやOLたちで長蛇の列ができていた。
そこへ恭子の姿を見つけたクラークがやってきた。
「おはよう。お嬢さん。早くしないと遅刻だゾ!おれ階段で行くから」
「クラーク。階段で26階まであがるの?私は遠慮するわ」
クラークは長蛇の列をすりぬけ階段ホールへ姿を消した。
「うふふふ。それなら、私は奥の手で行こうかな?あ、すみません」
恭子は列を離れて、ホールの外へ出た。彼女はビルの上を見ながらビルの周りを歩きだした。
「あ、あそこね。ようし…」
恭子は誰もいないか周りをみまわした。誰もいないのを確かめると、軽く膝を曲げ、一気に舗道を蹴った。
「えい!」
恭子はジャンプをし、いっきにオフィスのある26階の踊り場へ着地した。
「うふふふ。着地成功ね。あ、扉がロックされているわ。しかたが、ないわね。ちょっと失礼」
恭子はそうつぶやくと、ドアノブをぎゅっと握り締めた。
”ガチャ!”
恭子が自慢の怪力でドアを開けるとそこにはクラークが立っていた。クラークは普段はロックされていて開かないはずのドアの向こうにいた。恭子の姿を見て目を丸くしていた。
「キョ、キョウコ。なんでそこにいるんだ?それにここはいつもロックされているんだぞ?おまけに階段を登ってきたおれよりも早くここにいるなんて」
「クラーク、どうしたの?目を丸くして。まるで私が宇宙人かスーパーガールだなんて思っているの?なにか勘違いしていない?」
「だって、おれのあとにエレベーターに乗ったはずなのにもう、ここにいたし、このドアは開かないはずだぞ?」
「うふふふ。クラークが行ったあとすぐに続けてエレベーターがきたのよ。それにこのドア、私が来たときはもう開いていたわ。景色がきれいだから外を見ていたの」
「そ、そうか…。おれはてっきり…」
なにか腑におちないながらも、恭子の理路整然とした説明に無理矢理納得をせざるを得ないクラークであった。
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