カブいてました | 本橋ユウコの部屋

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今日は、友人から業者チケット(無料)をもらってこんなん観て来ました~。歌舞伎です!

演目もらったときは「ん?鬼平??(池波正太郎は昭和の人では…)」とか思いましたが、こういうのもやるんですねぇ。まあ、中村吉右衛門だしな。そして、面白かったです。

会場の新橋演舞場は、おめかししたおばあちゃんとおばさんだらけでした。。
着物の人も結構いました。みんなここぞとばかりにキメキメで(笑)。でも、何が困るって、おばあちゃん達の歩調と進路がまったく読めないので、自分のペースで移動できないのですよ。通路のそこかしこで大渋滞が起こってましたね。(そして外はタクシーで大渋滞。。銀座だぞ~)


話の筋はここで話してもあんま意味無いと思うので省きますが。女形の美しいのに感銘を受けました。
他の人が演じてる間も、ずーっとお人形のように、完璧に同じポーズで待ってるんです。あれは見えないけどものすごい筋力を要するはず。でも言葉が独特で素人にはなかなか聞き取れまへんでした~。
美女は崖をよじ登っても、坂を転げ落ちても美女なのです…。

年寄り役の人も下半身ががっしり座っていて。見ていてまったく不安定さというものがないんですね。本当に凄い。つるべ(井戸にぶら下ってるアレ)引っ張ってる仕草とか、お酒を勧められて杯をあおる姿とか、無いはずなのに確かにその物体がそこにあるような。重さを感じさせるのですよ。”芸”だねぇぇ。
…不覚にも最後の方、ちょっと泣きそうになりました。。人情話で…。

あと、いわゆる歌舞伎の荒事(隈取りした主人公が頭をぶんぶん回すやつ)をちゃんと生で観たのはこれが初だったので、かなりしびれました。役者さん実に太くていい声ですよね~。

拍子木とか、床を踏み鳴らす音に合わせてぎゅんぎゅん見得を切るわけですが、これが迫力ありまして。なんか対戦もののマンガみたいとか思ったり。。(あ、向こうが参考にしてるのか?)
それから隈取りって、二階席だったんですが実際遠くでもよく見えるんですね。
会場は広いので、あのくらい万事大げさなほうが、逆に観る方は自然に感じるようなのも不思議です。


それにしても、歌舞伎って今でこそ着飾った有閑マダムが行くもんだと思われ、現にそうなんですが、本来あれがエンターテインメントとしてリアルだった当時は、まぎれもなく庶民の娯楽だったんですね。
台詞もちゃんと聞けばわりと分かるし。(文楽は古語っぽくてガイド無しにはほとんど分からなかったんですが、単純に時代が古いのかな…?)あと、思いのほか下ネタ多いし…(苦笑)。

高名なお坊さんが祈祷の最中に若い女の色香に迷って、うっかり身体に触れて「今、なんか味なものに触ったぞ」「どれもう一回…」とかいうあたり、ただのエロジジイですから!(しかもセクハラ。笑)

笑わせたり、泣かせたり、とにかく庶民を楽しませようという工夫があちこちに散りばめられている。

もぐも何か作る人間として、見習うべきところが多いと思いました…。
ううむ。面白いじゃねーか伝統芸能。
こうゆうのがもっと多くの人に観られて、そんでもって値段も下がってくれればいいのに~。
普通におひとり一万いくらって、若い人は無理ですから!!(タダ券バンザーイ)



というわけで、今日は作業的にはあんまり進んでいないのですが(これも立派な仕事です)、有意義な時を過ごさせて頂きました。もぐの友人、ありがとう!

帰り道、銀座の交差点で外人さんに歌舞伎座までの道を聞かれ、ついさっき、激・近くを通ってきたにもかかわらず、全然説明できなくって困った挙句に交番に連れて行ったら、そこにいた警察OB?みたいなおじいちゃんが大層達者な英語でペラペラペララ~っと説明してくれて。


外人さんは喜んでくれましたが、私の方はというとシワシワのおじいちゃんに語学力で圧倒的敗北を喫したことと、自分の救いがたい方向音痴とで、それはもの凄くへこんでしまいました…(泣)。

ほんとに、さっきそっちから歩いてきたってーのに……何でだ……。。