ユーライア・ヒープ初のライヴ・アルバム、その名も「URIAH HEEP LIVE」。

 

 

僕が生まれて初めて行った本格的なロック・コンサートがこのユーライア・ヒープだった。

1973年3月20日、場所は大阪厚生年金ホール。

全5公演で大阪と名古屋で2公演ずつ、東京が珍しく1公演だけだった。

来日時のメンバーは知っての通り、デヴィッド・バイロン、ミック・ボックス、ケン・ヘンズレー、ゲイリー・セイン、リー・カースレイクというまさにヒープの長い歴史上でも最高といえる黄金期メンバーである。

 

場内がまだ暗い中、オルガンが厳かに響き出し、そしてヘヴィなリフと重厚なコーラスでオープニング曲「Sunrise」が始まった。最初の2曲は当時最新のアルバム「Magician's Birthday」から、そして続いて「Demons and Wizards」から2曲。「Easy Livin'」が早々に出たので、「Look at Yourself」は最後だろうなとその時思った。中盤で圧巻だったのは「Gypsy」。ケン・ヘンズレーのキーボード・ソロとリー・カースレイクのドラム・ソロを含めて約20分もの長さだった。この曲の時だったかは忘れたけど、ミック・ボックスがギターを高々と放り投げていた。たしか受け損ねてギターを落としていたような…(笑)

その後「Look at Yourself」「Love Machine」と続いて終了。

そしてアンコールだが、まさか「ロックンロール・メドレー」とは思わなかった。これをやるならオリジナルをもう何曲かやって欲しかったなぁ。まぁ当時はレッド・ツェッペリンをはじめ、多くのバンドもやっててちょっと流行っていたから仕方ないか。

 

 

 

 

それにしても、ヴォーカルのデヴィッド・バイロンの存在感は抜群だった。

まさに下の写真のような衣装だったと思うが、アル中とは思えないその美しくもパワフルなヴォーカルに圧倒された。この人は何を歌わせても上手い。それに聴けばすぐにバイロンだと分かるほど、個性的な声質をしている。やはりユーライア・ヒープのヴォーカリストは誰に代わろうが、バイロンが最高だ。

 

あと、ゲイリー・セインはやっぱりカッコ良かった。

超絶的なベースはもちろんだが、やはり飛びぬけてステージ映えしており、思わず目が釘付けになった。

    

 

 

さて、このアルバム「URIAH HEEP LIVE」は同年1月のイギリス・ツアーでの模様を収録したもの。セットリストは来日公演とほとんど同じだが、「Magician's Birthday」はやらなかったし、曲順も一部違っている。いずれにせよ来日公演に行った者としては、直後の6月にリリースされたのはその時を思い出されて実にタイムリーだったと思う。

聴いてまさにあの時の感動が蘇えった。

ただ1つダメ出しするなら、来日でのリー・カースレイクのドラム・ソロのド迫力が詰め込まれていない。生で聴いたカースレイクのソロは本当に凄まじかった。

 

 

ところで、メンバー・チェンジの激しいヒープだが、短期間の在籍ながら忘れてはならないメンバーがいる。

ゲイリー・セインの前任べーシストのマーク・クラークである。

 

この人はポール・ニュートン脱退後、新べーシストとして1972年にヒープに加入するもアルバム「Demons and Wizards」のレコーディング中に脱退してしまう。わずか数ヶ月の在籍だったが、「Wizard」と「Why」の2曲のみスタジオ録音が残された。

この人のベースは後に参加した「テンペスト」を聴いても分かるが、非常に個性的なのである。当時ギブソンのEBベースを愛器としており、ジャック・ブルースなみの自在なフレージングはとてつもなく強い存在感があった。

だから「合わない」という事でヒープ側がダメ出しをしたのだ。

ちなみに後にリッチー・ブラックモア率いるレインボーに加入するも、ここでもリッチーから「合わない」という事で、ライヴも行わないうちに即刻クビになっている。

どれだけ個性的なべーシストなんだ。

 

ユーライア・ヒープ。

この英国を代表するバンドは現在も活動を続けており、オリジナル・メンバーのミック・ボックスもいるが、個人的にはもはや別バンドだ。

ユーライア・ヒープは1970年代終盤にはすでに燃え尽きており、やはり頂点はこのアルバム「URIAH HEEP LIVE」発表時であったと思う真顔