こんな猿回しはいらない
4月3日、あちこちで桜が咲き始めた。
わが町の市民公園で例年開催される桜まつりが今年も開催されていたので、小3の娘を連れて行った。
その中の催しの一つに「猿回し」が来ていたので、太鼓の音に引き寄せられて見に行ったのだが。
始まる前から、遠巻きに眺める見物人に向かって
「どうかもっと近くへ来てみて下さい」
まあここまでは良い。
が。
「最初から、途中でいなくなること前提でそんなに遠くで眺められるとテンション下がるんですよね」
「で、本当に途中でいなくなられるのはもっとテンション下がるんですよ」
ん?テンション下がる?しらんがな。そりゃあんたの芸のでき次第じゃないの?
で、そういう口上を何度も何度もしつこく繰り返す。
日傘をさした女性が、傘がじゃまになるかと遠慮して隅の方で立って眺めていたのに、彼女に向かって
「そんな端っこにいないで真ん中にどうぞ」「え?傘?大丈夫だから、関係ないでしょそんなの」
女性の方も頑なにその場所を移動しないので、これを延々と繰り返す。
もう良いじゃないかその辺にしておけよ。
こんな具合に御託を並べるばかりでいつまで経っても猿の芸が始まらない。
やっと少々芸を始めたかと思うと、猿が椅子に座るという「芸」?で拍手待ち…
「あれ、拍手がないですね」
は?最初から座ってましたよね。それを繰り返しただけじゃ?
挙句の果てには
「ご祝儀だけが収入源なんですよ、ご祝儀は4つに折り畳めるやつをいただけたら…あ、でも強制じゃありませんから」
「年間の経費が250万円、ご祝儀の収入が300万円だとすると、生活はカツカツですよ」
「私、埼玉から来てるんですよ、今回の遠征に15万円かかってます」
「あそこにあるキッチンカーは商品を出せば必ず自分で決めたお金がもらえますよね、一方私はこうして形ないものを売るので収入は全く保証されていません」
を延々繰り返す。生々しいわ!
見物人に気を遣わせるような大道芸、ホントいらん。
この辺から立ち去りたい気分になってきたが、最前列に座ってしまったばかりにそれもできず…
「最後まで見ていただければきっと感動しますから!」
って自分で勝手にハードル上げておいて、何かと思えば、猿に大人の胸くらいの高さのバーを飛び越えさせてフィニッシュ。
猿はまあ頑張ったんだろうけど、正直
「あ、これが感動のフィニッシュなんだ、へー」「やっと終わった」
という感想。
で、あれだけご祝儀クレクレされた上で黙って立ち去ると何言われるかわからんので、千円札を出している他の見物人を横目に小銭入れに入っていた全部の小銭、計421円をジャラジャラとカゴに放り込んで立ち去ったら、俺の背中に向かってさもガッカリした様子で
「あ!10円か~~これはキツイなあ~、いやあ今回キツイなあ~」
だって。イヤ10円だけじゃねーし、というか知らねーよ、そんなにキツイなら他の仕事探せや!
自分で猿回しすること選んだんだろうが。
こんなに適性のない大道芸人初めて見た。