昨日はSTAR☆JACKS10周年記念作品「じんない」飛燕の陣を観劇してきました。
休憩をはさんで3時間近くに渡る長丁場の劇でしたが、時間を感じさせないほどの圧倒的な迫力に満ちた舞台でした。
実はSTAR☆JACKSの公演は2012年の「おぼろ」を観て以来という、かなり久しぶりなのですが、本作の前に見たゲキバカ版「おぼろ」で出演者の方がSTAR☆JACKSは特に時代考証を入念に行うと言ってましたが、実際、ストーリーを崩さずに観客を笑い殺さんばかりの派手さと見栄えとエンターテイメント性を追及して泣かせるシーンはしっかり泣かせていた感のあるゲキバカ版と比べると、確かに江戸時代の芝居小屋の雰囲気を現代劇に上手く取り入れた古風さと新しさが絶妙に融合した作風です。
ストーリーは三甚内と称された庄司甚内、高坂甚内、鳶沢甚内の3人と吉原の衆が江戸幕府の命を受けた柳生一族や風魔忍軍とある秘密を巡って熾烈な攻防戦を繰り広げるという筋書きで、笑いも涙もふんだんに取り入れ、正式な開業前の吉原遊郭で繰り広げられる種々の悲喜劇を盛り込みながら一気に決戦に雪崩れ込んでいきます。
男は徹底的にカッコよく(人によってはカッコ悪く)、女(?もいるけど)はより切なく美しく、
もう2回くらい観ればよかった。
本作からは住みにくくなっていく世の中に対応するために奮闘する流浪の民や苦界に生きざるを得ない人々の苦悩と奮闘、出自による劣等感からくる煩悶と怒りが随所ににじみ出ています。
特にある程度以上の身分の人々にとってはそれは正に人生は勿論、生死を分ける大問題。
そしてその狭間で少しでもいいポジションに付こうとしたり自由を得ようとしたりしたりする男女の大小様々な思惑のぶつかり合いと攻防が同時進行して全てが終盤のクライマックスに繋がっていきます。
一度しか観れなかったので詳しい感想は難しいですが次回は簡単なキャラ感想を交えてその辺りを考察したいと思います。
*吉原遊郭
ストーリーの流れから見て時代設定は大坂夏の陣直後の1616年春~初夏にかけてと思われる。史実では1612年に庄司甚右衛門が江戸の娼家を代表して幕府に陳情書を提出し、幾つかの条件を付けて受理され、1617年に正式開業の許可を得たのが吉原遊郭の始まりとされている。劇中の事件と史実の年代はきちんと符合する。