人は置かれている立場や待遇によって良い面を見せる時もあれば嫌な面を見せる時もある。
タカであるアプトとウパシはその典型である。
長髪がアプト、ノッポがウパシ。
天の章でマシラの王となったエトゥの下で働いていた時は彼の命で色々暗躍し、シュマリを見下していたヒャッハーな二人だったが、地の章でフムペの配下として街の巡察に出ていた時はハクトをからかいながらも悪気は感じられなかった。
もっとも言い回しが悪いせいで怒らせてしまったが。
タカらしく弓をよく使い、タカの王ニソロも彼等に特に目をかけていたのか、よく側に置いていた。そんな二人には特に大きな大志は無い。
自分たちが仕える王の為、その使命を忠実に果たすことに重きを置いている。
だからニソロもエトゥもそんな二人をよく重用した。
二人の本領は天の章でエトゥの密命を受け、タカのウサギの捜索を任された時に発揮される。使命こそ果たせなかったが、二人はタカのウサギ、マタに瓜二つの少女を見つけ出し、エトゥの元に連れてくる。
このあたりの小才が利く所が小癪であり、頼もしくもある。
そして地の章ではその弓の腕を買われ、ニソロがマシラからの離脱を表明し、激昂して彼に襲い掛かろうとしたオルカを牽制してその場からニソロを無傷で連れ出し、それからはハクト達と共に戦士として戦う頼れる同志として活躍した。
二人は仕える主君によって白にも黒にもなる。問われているのは二人の人格や力量ではなく、彼等のような人間を使いこなすニソロやエトゥの能力なのだ。
時空が違えば人も変わる。それを彼等は如実に示してくれた。
次回はハクトとセタの僚友、エサマンとペウレプです。