人はたとえ困窮してなくても現状に満足できず、更なる未知の世界を目指し、ひたむきに突き進む者もまた多い。烏丸千鶴はそういう人間の典型である。
烏丸千鶴は鞍馬流の使い手ではあるが、エインヘリアルを暴走させてしまった咎で鞍馬流を破門になった挙句、収容所送りになってしまう。そんな現状を打破しようと同じ収容者仲間の安藤昇子と組んで脱獄を計画するなど、どんな状況に置かれても挫けない強靭な精神力の持ち主でもある。
小烏丸は千年の時を生きてきたエインヘリアルの中でも最年長といえる日本刀で千年間の歴史の表裏の知識に通じている博識さと年長ゆえの堅苦しい物言いが特徴で、八咫烏の生い立ちに関して意味深な発言を残している。
道具でありながら千鶴の師匠然としている辺りが鞍馬流独特の師弟関係を伺わせる。
千鶴がどういう経緯で暴走を引き起こしたかは劇中で一切語られない。しかし、あの兎子が敢えて後輩格の大倶利伽羅広光をパートナーとし、鞍馬流の至宝であろう小烏丸を千鶴に託したという事が彼女への期待が大きかったことを物語っている。
アーデルハイド一味の殴り込みのどさくさで戦線復帰した千鶴は安藤昇子と共にハーピィを迎え撃ち、彼女を敗北寸前に追い込むが、ハーピィがブライドした時から一気に劣勢に追い込まれ、遂に自身もブライドする。
ハーピィを倒したものの、自身も致命傷を負った千鶴は小烏丸を兎子に託して息を引き取った。鞍馬兎子に憧れ、いつの日か彼女の背中を任される程の戦士になる事を夢見たフレイアの、これが最期だった。
そして小烏丸もいつか冥府で千鶴と再会するその時まで再び兎子と共に戦い続ける。
これは余談だが小烏丸は先端部分が諸刃になっている日本刀としては非常に珍しい刀である。パンフレットの写真では普通の日本刀だったが劇中で千鶴が振るっていた小烏丸はその形状が再現されていた。
次回は千鶴の姉貴分、安藤昇子&メリーベルです。