ザリガニの鳴くところ / アメリカ
2022年製作 125分 NETFLIX
2024年44本目 ☆3.0
1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な家庭で育ち将来を期待されていた青年の変死体が発見された。容疑をかけられたのは、"ザリガニが鳴く"と言われる湿地帯でたったひとり育った、無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、花、草木、魚、鳥など、湿地の自然から生きる術を学び、ひとりで生き抜いてきた。そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。彼との出会いをきっかけに、すべての歯車が狂い始める…。
とにかく、私にはあまり縁のなさすぎる、湿地の映像が美しい。
美しいだけでなく、湿地という言葉通り、
湿っていて、謎めいている雰囲気が凄くいい。
そういう世界で育った主人公。
その特殊な状況で孤独なカイアが、事件に巻き込まれていく話。
以下、ネタバレです
全体的に面白く観れたんですけどね。
どうにも、ラブの部分と、法廷ものの部分と、ミステリーの部分と、
差別云々を含めたヒューマンの部分と。
その上で、最後のアッと驚かせる(?)隠し玉もあって、
色んなものが入り混じって、結局、どれに重きを置いているのか、
分からなくなる作品でしたね。
ラブの部分も、ちょっと古さを感じるし
法廷ものは、こんなに緊張感のないものかと思うし
ヒューマンの部分も、弁護士との関わりとか、
もうちょっと描いて欲しかった気がするし、
最後の隠し玉含めたミステリーの部分も、
ちょっと最後に違和感を生む結果になってるかな~と。
全ての要素を詰め込むから、
すべての要素が少しづつ足りない気がするんですよね。
特に、私は「設定」に違和感を覚えたら、
引きずるタイプなので、
どうしても、幼い少女が湿地に一人暮らし・・・というのは。
多くの大人がその事を知っているのに、
通報しないのか??って思う。
大人もいなくて、湿地で一人で生きてきた割には、
凄く、キレイだし。。。。
それなのに、妙に野生感を出そうとするからか・・・・
もう、北島マヤの「忘れられた荒野」のオオカミ少女・ジェーンが
思い出されて、仕方なかった・・・笑
むしろ、もっともっと野生感が必要だったのかも。
最後の隠し玉もね・・・・
裁判で、あれほど、カイヤが殺すのは難しい・・・って
言ってるのに、
結局、どうやって殺したワケよ??って。
殺す過程が描かれていないし、一体、どうやって、
殺したん??って疑問がね。
そういう意味ではミステリーとしては破綻してるよね。
私は、テイルが殺した・・・ってした方が良かったんじゃないかな??って
思うのよ~。
老人になって、テイトが先に死んで、
カイヤが殺人の証拠を見つけ出す・・・・・
自分の為に、殺人を犯した夫・・・・
語弊があるかもしれないけど。
愛だよね。
しかも、真面目人間テイト君だからこそ、
グッとくると思うんだけど~。
この湿地の世界には、
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」くらいの、
泥臭い感じがあっているような気がする。
もしくは、オオカミ少女・ジェーンくらいのね。
映像的には、湿気を感じるのに、
主人公には全く湿気の重さを感じない。
むしろ、乾燥してスカスカした軽さを纏っている。
しかも、最後は、軽やかに人生勝ち組。
美しい湿地の景色が、勿体なかったかな~・・・