【洋画】聖なる鹿殺し① 途中からネタバレあり | ROUTE8787 サンサクキロク

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聖なる鹿殺し /アイルランド・イギリス

2017年製作 AmazonPrime 121分

2024年7本目 ☆4.0

心臓外科医スティーブンは、美しい妻と健康な二人の子供に恵まれ郊外の豪邸に暮らしていた。しかし、彼らの特権的な生活は、ある少年を家に招き入れたときから奇妙なことが起こり始める。子供たちは突然歩けなくなり、目から赤い血を流す。そしてスティーブンはついに容赦ない選択を迫られることになる…。

 

以前から気になっていたんだけど、ついつい見送っていて、

この度、「バリーコーガンが出てるやないか!」となり、

すぐに視聴した。

 

ソルトバーン同様、バリーコーガンの気持ち悪さが炸裂!

独特な世界観も相まって、かなり私は、好きな作品となった。

 

とにかく、初めから終わりまで、不気味で不協和音な音楽。

 目を塞ぎたくなるような音響は、この作品に、

より不気味で宗教染みた世界を作り出している。

 なので、どれだけ出てくる人間が、

非常識で不条理であったとしても、

その違和感を受け入れてしまう。

もっといえば、人間の嫌な部分を凝縮したような人間ではないのかと、

まるで、人間の底を見せられているような気持ちになっていくのだ。

 

 一人の青年が裕福な家族に入り込み、

一家の主に、予言をする。

私は予備知識なしだが、物語の展開のベースは、

タイトルの雰囲気からも、宗教や聖書が関わっているのかな・・・

と思っていた。

 視聴後、確認すると、

ギリシャ神話がベースになっているとの事だ。

 

ギリシャ神話(悲劇)の「アウリスのイピゲネイア」

 簡単に説明すると・・・

 

ある男が、偉い女神さまの飼っていた鹿を殺してしまった。

女神さまは大変怒ったんだけど、殺した男は、

傲慢な態度で謝りもしなかったらしい。

 女神さまは、男の娘を生贄に差し出さない限り、

この怒りはおさまらないと言う。

 結局、男は娘を生贄に差し出してしまう。

 

・・・というお話。

 

この異質な物語は、あまり考えずに、視聴すればいいのかも知れない。

理由や原因、種明かしを求める作品ではない。

 不穏な演出と、キャスト陣の演技、そして不協和音。

現実的ではないが、非常に神との共存を感じる作品となっている。

神は常に人間の奥底すべてを見ている。

そう感じてしまい、ゾッとする秀作である。

 

以下ネタバレです

 

  簡単なネタバレあらすじ

マーティンは、心臓の手術中に、父親(鹿)を亡くしている。

執刀したのが、スティーブンだが、

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この時、彼は飲酒をして執刀しており、手術ミスを起こしていたのだ。

 しかし、彼はそれについて隠し通しており、自分の非を認めていない。

ただ、その罪悪感からか、マーティンとたまに会い、

食事をしたりプレゼントを送ったりしている。

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ある日、スティーブンは、自分の家に彼を招き、

娘(キム)息子(ボブ)妻(アナ)に紹介する。

 それをキッカケに、マーティンのストーカーのような行動が始まり、

スティーブは奇妙に感じていく。

 発言も、「あなたが父親を殺した」とハッキリと言うようになる。

 

 ある日、息子のボブが足が動かなくなる。検査をしても原因は不明。

マーティンは、

「家族3人のうち、一人を殺さないと、全滅する・・」と告げる。

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「歩けなくなる、ゴハンを食べなくなる、目から血を流す、死ぬ」

こういう段階を踏み、それまでに誰か一人を選ばないと、

全滅するというのだ。

 

スティーブンはその信じられない出来事を、打ち消すように、

息子を無理矢理に歩かせようとしたり、

ゴハンを無理矢理食べさせようとするんだけど、

そんな事をしている間に、娘のキムも歩けなくなる。

 

スティーブンは、妻アナにその話を告げる。

そして、マーティンを監禁して、暴力を振るい、

息子たちを救えと言うのだ。

 それでも、事態が変わらないと悟ると・・・・

 

娘は、マーティンに媚を売り、自分を助けて欲しいと懇願し、

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(這いながらマーティンの元へ行き、煙草に火をつけ、

彼の足にキスをする)

 

嫁は、「子供を殺しましょう。私たちが残れば、

子供はまた作れるわ」と言い、

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息子は、父親に「切れと言われた髪を切ったよ。

僕は、お父さんのような心臓外科医になりたい」と伝え、

 

父親は、学校に出向いて、

「息子と娘、どちらが優秀なのか」と尋ねた。

 

 結局、決心がつかないまま、スティーブンは神まかせのように、

家族を縛り、目隠しして、自分自身がクルクルと回って、

銃を打った。

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 銃弾は、ボブの胸を突き抜けた。

 

後日、歩けるようになったキムを含めた親子3人で、

カフェで食事をしていると、

マーティンが、その様子を見つめながら、そっと横切った。

 

キラキラアウリスのイピゲネイアの話で行くと、

 

鹿を殺したのは、心臓外科医の父親であるスティーブン。

鹿を殺されて激怒した女神が、マーティンである。

そして、生贄になった娘は、最終的に息子・ボブという事になるキラキラ